2ch黒猫スレまとめwiki

◆iImnD8ZhUs

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匿名ユーザー

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― ゴスロリ? ―



今日は土曜日なのだが、学校で模試があり、たった今(昼過ぎ)に帰宅したところだ。

そして今日、俺の家で「オタクっ娘あつまれー」のオフ会があったりする。

俺は「ただいま」と言って、玄関から階段を上がっていくと……

「だぁ~か~ら~、そんなんじゃないって言ってるっしょ!」

「フフ、それはどうかしらねぇ? もうネタは上がっているのよ。いい加減に観念なさい」

「まぁまぁ、お二人とも……」

相変わらずの声が聞こえてきた。

ホントに飽きずに喧嘩ばかりしているなぁ、お前らは……

などと思いながらも顔がにやけてきやがる。

俺も同じ穴の狢っていうわけか。

とりあえず自分の部屋に入って鞄を置き、そのまま桐乃の部屋の前に来た。



コンコン―― 「桐乃、いいか?」

そう言って部屋の扉をノックすると、勢いよく扉が開いた。

「遅い! もう、いつまでかかってんのよ」

「まったく、相変わらずノロマね。もっと早く来ることはできなかったのかしら?」

「ぐぐぐ……」

はぁ、こいつらは普段喧嘩ばかりの癖に、俺を弄るときはいつも共同戦線張りやがって……

「まぁまぁ、京介氏もテストで大変だったのでござるから……」

沙織はそう二人に言うと、俺のほうに振り返って

「京介氏は……わかっているのでしょう。

 この二人はこんなことを言ってはおりますが、翻訳すれば

 『お帰り兄貴、大変だったね』 

 『急いで来てくれたようね。ありがとう。待っていたわ』と言っているのでござるよ」

ああ、言われなくてもわかっているさ。

こいつらとの付き合いもいい加減長いから、きりりんガルも黒猫語もマスターしてるぜ。



「ところで、今日は何をする予定なんだ?」

「特に予定は決めていないわね。久しぶりだし、みんなで長話でもいいんじゃないかしら?」

「拙者もそのつもりでござった。なにより、三人のその後はどうなったのか、詳しく聞かねば……」

「「「な、なにを言っているんだ(のよ)!」」」

俺たち三人は一瞬固まりかけたが、

「と、とりあえずその話は置いといて、今日はあんたらに見せたいものがあんのよ」

いいぞ、桐乃。うまく話をそらしてくれた。

桐乃は何やら机の引き出しから取り出すと、黒猫、沙織の二人と俺の間に立った。

「じゃじゃ~ん。今日はみんなでこれを見るの」

そう言って桐乃は得意気にDVDのパッケージを片手に立てて持ち、

黒猫と沙織の二人に向けて中身をパカッと開いて見せた。

俺は桐乃の後ろから、肩越しにDVDのパッケージの表裏が見えたのだが……

そう、それは新作『メルル』のDVDのパッケージだった。

いや、何を隠そう、俺、そのDVDを5回も見せられたよ。

実はついこの前まで桐乃のパソコンが調子悪くって、DVDが見れなかったらしい。

それで俺の部屋にやってきて、「あんたのパソコンでメルル見るから」と強引にな……



俺は呆れ顔でその様子を見ていたのだが……

なにやら様子がおかしい。

沙織は唖然とした、それでいて「どうすんだこれ?」って顔で頬を掻いてるし、

黒猫にいたっては目を大きく見開いて、口をパクパクして固まっている。

そしてやっとの思いで黒猫が言葉を発した。

「あ、ああな、あなた、こここ、これを、どうしようって言うの?」

「えっ? みんなで見るに決まってんじゃん」

「み、みみみみんなで見るですって?」

「そうだけど」

「ちちちちょっと待って頂戴。き、きき京介? あ、あなたも見るの?」

訝しげな顔で俺のほうを見て黒猫が尋ねてきた。

「おう、実はもう何度も見ちまってるんだけどな、俺」

「な、なななな何度もですって?」

「っていうか、最近まで桐乃のパソコンが壊れちまっててさ。

 仕方がないから俺のパソコンで桐乃と一緒にな」

「なななな、なんですって?

 あなたたち二人でやったというの? これを?」

もう黒猫は信じられないと言う顔で俺たち二人を見ている。

混乱のあまりDVDを指差す手も震え、顔に冷や汗をびっしりとかいて、

瞬きをしきりにしながらDVDと俺たちを交互に見比べている。

沙織は沙織で、どん引きって感じで「ははは……」などと力ない笑いを漏らしている。

「??」

さすがに桐乃もおかしいと気がつき、開いたDVDのパッケージをくるりとこちらに向けると……

「「なっ!!」」

なんと、そこにはメルルのDVDは入っていなかった。

代わりに入っていたものはと言うと……

「『ゴス妹』-おかえりなさい、おにぃちゃん-」なんていうエロゲーじゃねーか!

しかも丁寧にレーベル面には18禁マークとともに、黒髪ロングのゴスロリ少女の絵が……

これじゃ黒猫のあの様子にも納得がいくってもんだ。

まるで自分を攻略する18禁ゲームをみんなでやろうなんて提案された日にゃぁ……

――やべぇ、しかも俺、何回もやっちゃったみたいなこと言わなかたっけ?

こりゃ、相当誤解されてるぞ、きっと。

桐乃は桐乃で、恥ずかしさで混乱しているのか、「あわわわ……」なんて言いながら、

自分がしでかしたことを理解できていないようだ。

「く、黒猫? ちょっと俺の話を聞いてくれ」

「い、いいえ、聞きたくないわ。まさかあなたの嗜好が、こっ、これだったとは……」

「違~う! いいから俺の話を聞け!」

そう言って黒猫に近付き、両肩に手を置いて説得しようとするが……

「ひぃっ! ちょ、ちょっとまって! い、い、いくらなんでもみんなの前だし、心の準備が……」

「そうじゃねぇ~!」

黒猫は涙目で真っ赤になって、今にも卒倒しそうだ。

それを見た桐乃はまだ混乱しているのか、

「あ、あんた、黒いのに何やってんの!」

「だから、ちょっとお前ら落ち着けよ!!」



数分後、やっと落ち着きを取り戻した俺たちだったが……

「だ・か・ら~、間違ったって言ってんじゃん」

「フ…… どうかしら? 案外二人で楽しくやっていたのではなくって?」

「いやいや、いくらなんでも妹とこんなゲームをやる勇気はねーよ」

「おや? 確か京介氏は『しすしす』をきりりん氏と一緒にやったことがあると仰っていたかと?」

「ぐぁ! そ、そこで俺の黒歴史が掘り返されるのかよ」

「クククク…… しかもあなたの嗜好がまたひとつ明白になったわ。

 なんなら、この『服』で言い寄ってあげましょうか? ねぇ『兄さん』」

「いや、だから……」

――ドカッ 「いて~よ」

後ろからクッションが投げつけられる。

「あんたにそんな趣味があったなんて、キモっ!!」

「ねーよ!! っつうか、お前んだろ、このゲーム」

「本当かしらねぇ? ククク…… もしかしたらあなた、わたしの『儀式』の遂行の効果で、

 闇の眷属の風習(ファッション)というものがわかるようになってきたのかしら?」

「はぁ? あんた、このエロ猫に誘惑されて、そこまで逝っちゃってるワケ?」

「まぁまぁ、お二人とも抑えて……

 そもそも、京介氏は元より拙者のような『眼鏡』と『ふくよかな胸』が……」

「ちょ、なに言ってやがる!!」

「――こうなったら、きちんと確認するほかはなさそうね、この雄の嗜好を。」

「か、確認?」 俺はゴクリと唾を飲み込んだ。

「あー、ベッドの下のあれを見ればわかるカモ……」

「桐乃、お前は何を言っている?

 っていうか、二人とも無言で部屋を出て行こうとするな。

 お、おい、待って! やめろ! いや、やめてください。お願いします……」

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