2ch黒猫スレまとめwiki

9uWp6

最終更新:

kuroneko_2ch

- view
だれでも歓迎! 編集
「えーっと… 入っても、いいんだよ、な?」俺は自分で自分に問いかけながらバスルームへの扉に手をかけた。

カチャ  …扉を開けると中は照明がついたままで明るく結構広々としている。ウチの狭い風呂とは大違いだぜ。
すぐ右手に大きな洗面化粧台があって、左にさらにバスルームの扉があるって格好だ。洗面化粧台の上には
トリートメントやらボディローションやらのアメニティがいっぱい並んでいて、その横の戸棚にはタオルなども
丁寧にたたまれて置かれていた。

「へー、前に来たときには、ここまで入らなかったもんな」改めて設備なんかに感心していると扉の方から
チャプ、チャプとお湯を操る音が聞こえてきた。

(は、入ってるんだよな… 黒猫。 ゴクッ!) 俺は曇りガラスの扉の向こうから聞こえてくる音に思わず喉を
鳴らした。ふと足下を見ると脱衣かごがあって、さっきまで黒猫が着ていた服が綺麗にたたまれて入っていた。

…落ち着け、俺。ここでつまらん欲情を露わにして「あぁ!これが黒猫のぱんつ、くんかくんか…」なんて
やった日にゃ、そのまま BAD END に直行だぜ。いくらお約束上手の俺でも、この期に及んでそこまで体を張った
ギャグを飛ばす余裕は無いぜ。ここは澄みきった青空の心を持つ大人の魅力あふれる男・京介で行くべきだ。
うん、そうしよう。

そうして俺はおもむろに服を脱ぎ始めた。…しかし服を脱ぐときって普通、下着は一番最後になるよな?
でも黒猫のは着てた服が一番上になっている。 …ってことは、ははーん、黒猫の奴、下着を俺に見られるのが
恥ずかしいから脱いだ後、服の下に隠したんだな。わかってるよ、俺はお前のそういう可愛らしいところ。

そうして俺は脱いだ服をその隣の脱衣かごに放り込んだ。洗面台の鏡にはおれの上半身裸の姿が映っている。
…イケる! さすが夏コミのコスプレで "リアル漆黒" と言われたこの俺だ。(←注:言われてません)
黒猫もこの魅惑のボディを目の当たりにしたら、一気に惚れなおすに違いないぜ。俺は鏡の前で幾つかコスプレ
写真と同じポーズを取ってみた。 …アホか、こんなことやってる場合じゃねえんだよ。隣の扉のすぐ向こうには
俺のエンジェルが待っているんだから…

腰にタオルを巻くと俺は軽く深呼吸したあと扉ごしに黒猫へ声をかけた。「く、黒猫? は、入っても、いいかな?」
やべ、ちょっと詰まっちゃった。俺が声を発したのと同時に聞こえていたお湯の音が止まった。そして少し間を置いて…

「…いいわ」

という黒猫の小さな声が聞こえてきた。 ゴクリ… 俺はこれまでに感じたことのない熱い鼓動を胸に感じながら
バスルームの扉を開けた。

やあ (´・ω・`) ようこそ、バスルームへ。俺の魅惑のボディはサービスだから、まず見て落ち着いて欲しい。
うん、「また」なんだ。済まない。黒猫の顔も三度って言うしね、謝って許してもらおうとも思っていない。

でも、ここまで読んでくれた君は、きっと言葉では言い表せない「ときめき」みたいなものを感じてくれたと思う。
殺伐としたスレッドの中で、そういう気持ちを忘れないで欲しい。そう思って、このSSを書いたんだ。
じゃあ、注文を聞こうか…

…って、違ーう!! でもバスルームの扉を開けた後、俺がこのメッセージを読んだときのように少々がっかりした
気持ちになったのは確かだ。なぜかって? それは俺のエンジェルの神々しい肢体が見られるかと思ったら、黒猫は
バスタブいっぱいに積もった泡の中に肩までつかって埋もれていたからだ。ほら、洋画とかでもよく見る「泡のお風呂」
ってやつだ。おかげで黒猫の首から下は泡に遮られて何も見えやしねえ…

ひとつ言っておくが、俺は何も自分の性的欲望を満たせなくてがっかりしているんじゃないぜ。あくまで愛する俺の
エンジェルの究極美を堪能できなくてがっかりしただけだ。俺の心は青空のように澄みきっているんだからな。…チクショー

黒猫は泡いっぱいの大きなバスタブの一番右端の方に座っていた。髪をアップにしてタオルで覆っているので、いつも
とはちょっと違う雰囲気だ。もしショートカットにしたら案外こんな感じなのかもな。

…でも俺が入ってきてからもずっと黒猫はうつむいたままでこちらを見ようともせずに固まったままだ。かなり緊張して
いるようだ。俺はなるべく平静を装って話しかけた。

「これ、黒猫がやったのか? 凄いな、泡がいっぱいだ」その俺の問いかけにも黒猫は目をそらしたまま答えた。
「…そうよ。 そこの、バスフォームを入れて、勢いよくお湯を注げば… こう、なるのよ…」

見るとバスタブの横の壁スペースに、そのバスフォームとやらが置いてあった。へー、さすが夜魔の女王(Queen of Nightmare)
博学だぜ。じゃあちょっと俺も入らせてもらおうかな。ざぶーん、と俺は黒猫が入っている方とは反対側に入った。
ちょうど黒猫とは対面になる形だ。バスタブ内はあいかわらずアワアワのモコモコ。お湯は熱くもなくぬるくもなく
ちょうどいい感じだ。そして黒猫も変わらず口元をきゅっと結んでうつむいたままだ。少し頬が紅く染まっている。

「…なかなかいい感じだな、これ。ははは」俺は手に泡を取って少しオドけてみせた。
「…そうね」 …必要最小限の返事しかしてくれない…

うーん、なんとかこの緊張を解きほぐさないと… 広いバスタブの対面以上の距離を感じた俺は黒猫をリラックス
させるための方策をあれこれ考え始めた。

ふと黒猫が座っている後ろの壁を見ると大画面液晶テレビが埋め込まれていた。すげーな、テレビまで付いてるのかよ、
この風呂。でもテレビがあるってことは、どこかにスイッチがあるってことだよな。えーっと… 見渡すとバスタブの
横にスイッチが並んだパネルのようなものがあった。なるほど、これで風呂に入りながらテレビの操作ができるってわけだ。

俺は"TV"と表示されたスイッチを押した。案の定、液晶テレビに映像が表示され音声も流れ始めた。部屋の中のテレビ
とは違って、どうやらこちらはCS放送のチャンネルになっているようだ。俺はパネルを操作してチャンネルを順番に切り替えた。
ピッ、ピッ、…短い電子音とともに液晶テレビの映像が切り替わる。でも、その間も黒猫の反応はほとんど無かった。
…何かいい放送やってねえかな… そう思っていたところに見覚えのある映像が画面に映し出された。

「あ! マスケラだ!」「…えっ?」 俺の言葉に初めて黒猫がこれまでと違う反応を見せた。画面には黒猫が大好きな
『MasChera ~堕天した獣の慟哭~』が映し出されている。黒猫はくるりと後ろを振り向いて液晶テレビの画面に見入った。

ふー、ナイスだぜアニ○ックス。この時間にマスケラを放送してくれるとは… なんとかこれをきっかけに黒猫の緊張が
ほぐれてくれれば… と、期待したのもつかの間、黒猫はまたこちらに向き直るとこれまでのようにうつむいてしまった。

「あれ? 観ないの?」「…だって、一期だし… …それにもう何度も観たし…」 そうですよねー、作戦失敗。

俺は画面を無難な洋楽PV系のチャンネルに切り替えると音量も小さくした。…さて、どうしたもんかね。なんとか打開策を
見つけないと、せっかくの「お風呂でいちゃいちゃタイム」が台無しになっちまうぜ。その頃の俺はもうとっくに澄みきった
青空の心はどっかに行ってしまっていた。

さっきテレビを操作したパネルを見ると、その横に"Bubble"と表示されたスイッチがあった。なんだろうこれは??
なかなか状況が改善しない じれったさ と 好奇心 から、俺は考えもせずそのスイッチを押してみた。

シュゴゴゴゴゴゴー 何かが吸い込まれるような音とともにバスタブが震えだした!と、同時にバスタブの四方からジェット
気流が勢いよく吹き出された!

「きゃっ!?」驚いた黒猫が可愛い悲鳴を上げて前につんのめった。そりゃそうだ、真後ろからいきなり強力なジェット
気流が吹き出したんだから。当然、俺の背中の方にもそれが感じられたが、俺はこれまで経験したことのないその感触が
妙に面白かった。少し消えかけていた泡も復活だ。なるほど、こうすればずっと泡風呂を楽しめるってわけだ。

「ははは、面白いな、これ」だが黒猫は動揺したまま俺に頼んだ。「落ち着かないわ!早く止めてちょうだい!」

そう言われたら仕方がない。おれは再びスイッチを押した。シュウウウウ スイッチを押すとすぐジェット気流は止まった。

「…ふう、驚いた」黒猫は、ほっと安心した顔をしてつぶやいた。だが、すぐまた緊張した表情に戻った。なぜなら
驚いて前のめりになったせいで、俺との距離がほとんど無いぐらいに近づいてしまっていたからだ。

それに気づいてまたすぐ元の位置に戻ろうとする黒猫。だがその腕を掴んで俺は叫んだ。「待って!」「!?」 
俺に腕を掴まれて動けない黒猫は怯えた表情で俺を見つめていた…

「…待って」俺は同じ言葉を繰り返した。黒猫の怯えた表情は変わらない。そんな黒猫を安心させるように俺は出来る限り
優しい口調で続けた。

「…待って。大丈夫だから… そのまま座って…」 微笑みながら話す俺に少し安心したのか、黒猫は素直にその場に
膝を立てて座った。

「じゃあこんどはそのまま後ろを向いて」「…えっ? うし、ろ?」「そう」 俺の言葉に黒猫は最初とまどっていたが、
やがてまた素直に後ろを向いた。「…これで、いいのかしら…?」

その黒猫の言葉が終わるか終わらないうちに俺は後ろから黒猫の腰の辺りに手を回すと、お腹のところで手を合わせて
ぐぃっと自分の方に引き寄せた。「きゃっ!」黒猫は短い悲鳴を上げたが腰に手を回されているので動けなかった。

「ちょっ、ちょっと貴方!」叫ぶ黒猫に俺は諭すように優しく話しかけた。「…これぐらいだったら、構わないだろ?」
俺の足と足の間のスペースに後ろ向きの黒猫が座っていて後ろから俺が腰を抱きかかえている状態。まるで小さい子供と
一緒にお風呂に入っているお父さんのようなスタイルだ。

俺の言葉を聞いた黒猫は、やがて静かに目を閉じると小さくコクンとうなずいた…

…俺は愛しい人を腕の中に抱いて夢見心地だった。黒猫の方はこれまでと同じで無言だった。でも、さっきまでとは全然違う…
優しいぬくもりに体全体が包まれているような感じだった… 「…ふふっ」 思わず笑みがこぼれてしまう俺に黒猫は
「何よ… 気持ち悪い…」と懐かしの憎まれ口を叩いた。…凄く幸せだった。こんな時間が永遠に続けばいいと思った。
俺は目の前にある黒猫の肩に自分の顔を埋め、そこにキスしながらつぶやいた。「 …大好きだよ、瑠璃… 」

「あっ…」肩にキスされた瞬間、黒猫は小さく声を上げたが、すぐに言葉を続けた。「…そちらの名前では呼ばないで頂戴…」
「…どうして? 嫌なの?」夢見心地の俺は普段では絶対に出さないような甘い声で耳元で囁くように耳元で聞いた。
「…前にも話したでしょう。それは此方の世界で生を営む時の仮の名前よ」そう言っている間の頬を染めた横顔も凄く可愛い…

「俺はそっちの名前で呼びたいんだけどな。二人だけでいる時は…」黒猫の横顔を見つめながら俺はお願いした。
「…す、好きにすればいいわ。どうせ言っても貴方は聞かないのだから」ちょっと拗ねたような横顔も凄く可愛い…

優しい時間がゆっくりと流れる… だいぶリラックスしたのか黒猫は俺の胸に背中を預けてもたれ掛かっていた。
そんな時間を楽しみながら、俺はふと思ったことを黒猫に尋ねた。

「…そういえば部屋に居たときはあんなに怒ってたのに、どうして一緒に入ろうなんて言ってくれたんだ?」
「それは…。…貴方が、あんまりがっかりしたような顔をしていたものだから…」
「えー? 俺ってそんなにがっかりしてたかなあ~? ニヤニヤ」そうだったのかもしれないが今となっては全然思い出せなかった。

その言葉を聞いた黒猫は半身を翻してこちらを向きながら叫んだ。
「すっごく残念がっていたわ! もうそれはこの世の終わりみたいな顔をしていたくせにっ! だ、だから私は…」
結構な剣幕だったが今の俺には全然効果がなかった。

「ははは、ごめんな ニコッ」「…もう、バカ。だいたい貴方がもうちょっと気を利かせていれば私だって最初から…ブツブツ」
最後の方はよく聞き取れなかったけど、大丈夫だ、問題ない。

すっかり心に余裕が出来た俺は(浮かれているともいう)また黒猫の肩にキスをした「ちゅっ」それから次は首筋に…
「ちゅっ」その次は耳元に…「ちゅっ」それから次はほっぺに…「ちゅっ」

「…ちょ、ちょっと貴方…」腰を支えられた黒猫が動けないのをいいことに俺はそのローテーションを何度も繰り返した。
「い、いい加減にしてちょうだい!」そう言うと黒猫は腰に回した俺の手を振り切ってバスタブの縁にとりすがった。

ははは、逃げられた。「…本当にちょっと隙をみせたらどこまでも欲望の尽きない獣のような人ね」
水面から腕だけ出してバスタブの縁に掴まりながら、黒猫は呆れたような口ぶりで言った。少しだけ見えてる脇がSexy。
「だって堕天した獣だし、俺」「漆黒はそんなふぬけた顔はしていないわ」 あーそれは言えてる、ごもっとも。

…また緩やかに優しい時間が流れる。しばし続いた優しい沈黙の後、今度は黒猫の方から話しかけてきた。

「ねぇ、貴方、初めて私に会った時、どう思った?」バスタブの縁に掴まりながら顔だけこちらに向けて尋ねる黒猫。
「…あのオフの二次会の時の話か? そうだな… すっげえ美人だけど性格キツそうで陰気そうな奴だと思ったな」
「フフ そうね。貴方にとっての私の第一印象は、そんな感じでしょうね」黒猫は別に悲観することも虚勢を張ることもなく応えた。

「じゃあ俺に初めて会ったときはどう思ったんだ?」「貴方のこと?」「ああ」
「フフ 実はね、私はあの二次会よりも前に貴方のことを知っていたのよ」「えっ?どこで?」「あのオフ会の待ち合わせ場所よ」
「ああ…」俺の中で記憶が蘇ってきた。「貴方、自分の妹と口論していたわね」「ああ、そうだったな」
「私は最初、貴方のことをあの子の恋人だと思っていたのよ」「…はは、そういえば沙織も最初はそう言ってたな」
「そうしたら今度は二次会で兄さんだって言うじゃない。どんなシスコン兄なのかと思ったわ」
「…確かに。今にして思えばそうかもな。…いや、今もそうか、ははは」

そう、あれが始まりだった。俺たちは桐乃が入ったSNSサークルのオフ会で知り合ったんだ。それからは桐乃と黒猫と沙織と俺と
ずっと一緒にやってきたんだ。でも、いつの頃からか俺にとっての黒猫は、そんな関係を超えた特別な存在になったんだっけ。

「…なんだか凄く懐かしい気がするな」「…そうね」 二人の間にこれまで以上の深い繋がりを感じるような気がした。

「…さて、と。そろそろ湯も冷めてきたことだし、上がろうか?」俺は黒猫に問いかけた。
その言葉を聞くと黒猫は急に眉をひそめると、すすすすっとバスタブの縁を伝って一番最初に居た場所まで戻ってしまった。
じーっとこちらを睨んでいる。「ど、どうしたんだよ?」

「貴方、上手いこと言って流れに乗って一緒に上がろうとか考えているでしょう?」

あー、やっぱりバレましたか。今のは上手いこといったと思ったんだけどなあ… さすが闇の眷属の眼を持つ女、見抜かれたか。
「笑ってゴマかしてもダメよ。当然のことだけど、貴方が先に上がるのよ」「はいはい、分かりました」
っと先に上がろうと考えたのだが…

いや待て待て。ここで素直に上がって終わりなんてことになったら、ここまで読んでくれた読者に申し訳が立たないと思わないか?
やはりここはメタ発言してでも読者を喜ばせるエンターテイメントが必要じゃないのか? 君もそう思うだろ? よし、分かった、
そうしよう。期待に応えるのも主人公の大切な役目だ。一番良いのを頼む。

「やっぱり上がるの止ーめた」「なっ!何を言っているのよ?私は貴方が上がってからじゃないと上がらないって言ってるじゃない!」
「じゃあ俺も上がらないー。瑠璃が先に上がるか一緒でないと上がらないー。」「な、何を子供みたいに駄々をこねているの!」
「だって一人で上がるのなんか、チョー淋しいしー」「…なんか私が一番嫌いな女の口調に似てきたわね… フン!いいわ。勝手にすれば!」

「私は絶対に先になんか上がらないわよ!」そう言うと黒猫は、ザブンとまた深くまで湯につかった。

「いいのかなー? 湯もだんだん冷めてきたし泡もなんだか消えてきたようなー」確かにだいぶ泡が少なくなってきていた。
「!? な、何よ! お湯なんかいくらでも入れればいいんだわ!」そう言うと黒猫は自分のすぐそばにあったレバーを回すと同時に
素早くバスフォームも継ぎ足した。本当に抜け目ない奴め。

ドザーっと蛇口からお湯が流れ出す。チッ、蛇口が向こう側にあったのは誤算だったぜ。と、黒猫が出てくるお湯を手でこちら側へ
押し流してきた。

「… あっちぃ!! おいっ!これ熱湯じゃんか!!」 そう、ホテルのお湯ってそのままだと凄く熱いんだよね。だからよい子の
みんなは必ず水と合わせて入れること。お兄さんとの約束だぞ!

「フフフ 私を甘くみたようね。貴方はそこで茹であがってしまいなさいな」そう言うと黒猫はどんどんお湯をこちら側に流してくる。
この野郎~、じゃあこっちにも考えがあるぞ。俺は流されてきた熱いお湯をまた黒猫の方へ手で押し戻した。
「…こ、この私に反抗するというの? 人間風情が! 覚悟しなさい!」黒猫はさらに意地になってお湯を押し流してきた。

そんな二人の攻防が続いている間にもずっとお湯が入り続けているわけで、どんどん温度が上昇して湯気もひどくなってきた。
泡の方も二人でかき混ぜるもんだから、また大復活してバスタブからこぼれ落ちるぐらいだ。…先に音を上げたのは俺だった。

「…わかった!わかったから!俺が先に上がるからお湯を止めてくれ!」「フフフ どうやら観念したようね…」
いやアンタもお顔が真っ赤っかですよ黒猫さん。…しかし本当に負けず嫌いだな、これだけはどうしようもないぜ。

「あーあ、仕方ないな。俺は先に上がるからノボせないうちにお前も早く上がってこいよ」そう言うと俺は立ち上がってバスタブから
外に出た。おっと!賢明な読者に言っておくが、ちゃんと腰にタオルをしっかり巻いているぜ。タオルが突然落ちてポロリもあるよ!
なんて使い古したお約束は、やらかさないから安心してくれ。

バスルームの扉に手をかけようとした時に「…待って」という黒猫の声が聞こえた。「ん?どうした?」俺が振り向いて尋ねると
黒猫はバスタブの中で座ったまま「ちょっとこっちに来てちょうだい」と言った。おいおいもうペナルティは十分受けたぜー、
と黒猫のそばに行くと…

ザバッ! という音とともに黒猫が立ち上がった。えっ!ちょっ!? 驚く暇もなく黒猫は俺の首に両手を回すとキスしてきた。

「…んっ!」 黒猫の柔らかい口唇の感触が伝わってくる… 正確な時間にすればほんの2、3秒だろうが俺には凄く長い時間のように
思えた… と、黒猫の口唇が俺の口唇から離れた瞬間にまた ザブーン!と音がして黒猫は再びバスタブの中にもぐってしまった。

「… … … ハッ!」俺は我に返ると黒猫は元通り泡のお風呂の中。し、しまったー!あまりの突然の出来事にせっかく立ち上がった
マイエンジェルの美しい肢体を見られなかったー! …いやほんの少しは見えたような… でも泡まみれだったような… そんななんとも
もどかしい思いを巡らしている俺に黒猫が話しかけた。

「フ、フン!これで一人で上がっても淋しくなんかないでしょう? 満足したなら早く出て行ってちょうだい」「…はい… わかりました…」
俺は半ば魂抜かれたような状態でバスルームを後にした。

…あっ、でもよく考えたら泡を落とさないで出てきちゃったよ、俺。どうしようかなこれ。いまさら戻れないしな。しょうがないこのまま
タオルで拭くか…  あれ? あ、これ凄え!タオルで拭いただけですぐ泡が消える! この泡って、そういう仕組みだったんだ!
また一つお利口さんになったわ、俺。 …と、さっき黒猫にキスされた感動をすぐ別の安い感動で上書きしてしまうイケてるんだかイケて
ないんだか最後まで分からない俺だった…

つづく…?

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

記事メニュー
目安箱バナー