- rewrite -
久しぶりの私の部屋。
ついこの前までは一日中この部屋に篭っていたわ。
机の上には私の”運命の記述”。
そしてその記述どおりに”儀式”は行われ、
現世は着実に私の”理想の世界”へと近づいていっていた。
昨日までは…
このノート一冊を文字と絵で埋め尽くしたとき、
私は”達成感”とともに”絶望”を抱いた。
もちろん、最初から”絶望”に繋げるつもりでいたのではなく、
私の欲求に素直になり、どちらも諦めないつもりだった。
私がちゃんと納得できるように、私なりの全力を尽くす…
そうしてたどり着いた処が”絶望”であっただけ。
自分で出した結論を否定したくて、
何度も何度もシミュレートを繰り返し、
気がつけばノートは修正ばかりで真っ黒になってしまっていたわ。
でも…
それでも結論は変わらなかった。
もともとピースが欠けているパズルを何度も何度もやり直している、
最後の頃はそんな空虚な作業を繰り返しているだけだった。
翌朝、寝不足と泣き腫らして酷い様子の自分の顔を鏡で見て、
何度も冷たい水で顔を洗い、部活にいくのがちょっと遅くなった。
その後あなたと一緒にいながら、”運命の記述”と異なることが起これば…
そう思いながら、ずっと過ごしてきた。
しかし…
途中で妹たちの介入というハプニングはあったものの、
ほぼ記述どおりに”儀式”は進行していった。
あなたと会っている時は、それはすばらしく輝かしい時間だったけど、
家で一人でいる時は、その結末を想い、涙が止まらなかった。
最初から、どちらか一方を諦めていたら…
そういう考えが何度も頭をよぎったわ。
しかし、あなたを選べばあの女は苦しみ、
それを知ったあなたが苦しむことになる。
だから、あなたが笑っていられるようにするためには、こうするしかなかった。
あなたたち二人の想いを白日の下に晒す。
しかし、そのためには、私はあなたの前から消えなければならなかった。
私が消えることで、あの女はあなたに本心を打ちあけ、
あなたはあの女の想いをきっと受け止めてくれる。
そうすることで、あなたはずっと笑っていられるようになる。
だから、たとえ私が傍にいられなくても、
私にとっては幸せなはずだった…
そうして、”運命の記述”どおり、私たちは別れた。
その後、食事もろくにとらず、ずっと部屋に引き篭もっていた私。
そんな私を心配してか、家族で旅行に行くことになった。
本当はどこにも行きたくなかったのだけど、
無碍に断ることもできず、行くことにした。
ただ、あまり気力もなかったから、ジャージ姿のままだったけれど。
そして…
さっき旅行から帰ってきて、久しぶりの私の部屋。
机の上には私の”昨日までの運命の記述”。
そしてその記述どおりに”儀式”は行われ、
現世は着実に私の”理想の世界”へと近づいていっていた。
しかし昨日、記述とは異なることが起こった。
私はあの二人の傍にはいられない、そう思っていたのに、
まさか、あの女が来てくれるとは、想定外だったわ。
これまで欠けていたパズルのピースが見つかったようね。
まだ、確実ではないけれど、
どうやらあなたが笑っている傍に、私もいていいらしい。
それまでは、あなたの傍にいることができないって、
本気でそう想っていたし、覚悟もしていた。
しかし、想定外のことが起こり、
これまでの”運命の記述”が覆されたことを知ったわ。
だから…
私はあなたの答えを聞くことができなかった。
私は机に向かい、新しいノートを取り出す。
”新しい運命の記述”を書くために。
これから、まだ紆余曲折はあるのだろうけれど、
今なら”新しい理想の世界”に向かって着実に進んでいける。
あなたと、あの女と、私、三人が笑っていられる世界に…
久しぶりの私の部屋。
ついこの前までは一日中この部屋に篭っていたわ。
机の上には私の”運命の記述”。
そしてその記述どおりに”儀式”は行われ、
現世は着実に私の”理想の世界”へと近づいていっていた。
昨日までは…
このノート一冊を文字と絵で埋め尽くしたとき、
私は”達成感”とともに”絶望”を抱いた。
もちろん、最初から”絶望”に繋げるつもりでいたのではなく、
私の欲求に素直になり、どちらも諦めないつもりだった。
私がちゃんと納得できるように、私なりの全力を尽くす…
そうしてたどり着いた処が”絶望”であっただけ。
自分で出した結論を否定したくて、
何度も何度もシミュレートを繰り返し、
気がつけばノートは修正ばかりで真っ黒になってしまっていたわ。
でも…
それでも結論は変わらなかった。
もともとピースが欠けているパズルを何度も何度もやり直している、
最後の頃はそんな空虚な作業を繰り返しているだけだった。
翌朝、寝不足と泣き腫らして酷い様子の自分の顔を鏡で見て、
何度も冷たい水で顔を洗い、部活にいくのがちょっと遅くなった。
その後あなたと一緒にいながら、”運命の記述”と異なることが起これば…
そう思いながら、ずっと過ごしてきた。
しかし…
途中で妹たちの介入というハプニングはあったものの、
ほぼ記述どおりに”儀式”は進行していった。
あなたと会っている時は、それはすばらしく輝かしい時間だったけど、
家で一人でいる時は、その結末を想い、涙が止まらなかった。
最初から、どちらか一方を諦めていたら…
そういう考えが何度も頭をよぎったわ。
しかし、あなたを選べばあの女は苦しみ、
それを知ったあなたが苦しむことになる。
だから、あなたが笑っていられるようにするためには、こうするしかなかった。
あなたたち二人の想いを白日の下に晒す。
しかし、そのためには、私はあなたの前から消えなければならなかった。
私が消えることで、あの女はあなたに本心を打ちあけ、
あなたはあの女の想いをきっと受け止めてくれる。
そうすることで、あなたはずっと笑っていられるようになる。
だから、たとえ私が傍にいられなくても、
私にとっては幸せなはずだった…
そうして、”運命の記述”どおり、私たちは別れた。
その後、食事もろくにとらず、ずっと部屋に引き篭もっていた私。
そんな私を心配してか、家族で旅行に行くことになった。
本当はどこにも行きたくなかったのだけど、
無碍に断ることもできず、行くことにした。
ただ、あまり気力もなかったから、ジャージ姿のままだったけれど。
そして…
さっき旅行から帰ってきて、久しぶりの私の部屋。
机の上には私の”昨日までの運命の記述”。
そしてその記述どおりに”儀式”は行われ、
現世は着実に私の”理想の世界”へと近づいていっていた。
しかし昨日、記述とは異なることが起こった。
私はあの二人の傍にはいられない、そう思っていたのに、
まさか、あの女が来てくれるとは、想定外だったわ。
これまで欠けていたパズルのピースが見つかったようね。
まだ、確実ではないけれど、
どうやらあなたが笑っている傍に、私もいていいらしい。
それまでは、あなたの傍にいることができないって、
本気でそう想っていたし、覚悟もしていた。
しかし、想定外のことが起こり、
これまでの”運命の記述”が覆されたことを知ったわ。
だから…
私はあなたの答えを聞くことができなかった。
私は机に向かい、新しいノートを取り出す。
”新しい運命の記述”を書くために。
これから、まだ紆余曲折はあるのだろうけれど、
今なら”新しい理想の世界”に向かって着実に進んでいける。
あなたと、あの女と、私、三人が笑っていられる世界に…