桐乃 「いらしゃいませっ! キリリン・ニャンニャンです! にゃんっ!」
黒猫 「……く、クロネコ・ニャンニャンよ……です、にゃん」
ダル 「ぉおっ、ニューフェイスキター!」
岡部 「何だ、新しいバイトか? この店はそんなに忙しいのか」
フェイリス 「違うニャン。今メイクイーンでは『一日メイドさん体験フェア』をやってるのニャン!」
岡部 「一日体験?」
フェイリス 「凶真もやってみるかニャ?」
岡部 「やらんっ。そもそも男でも出来るのかそれは? ルカ子みたいのならともかく」
フェイリス 「一応女性限定ニャけど、ちゃんと大きいサイズのメイド服もあるニャン」
ダル 「フェイリスたんとお揃いのメイド服……ぼ、僕やってみようかな!?」
フェイリス 「……さすがにダルニャンの着れるサイズは無いかもニャン」
ダル 「orz」
岡部 「それで? 体験とは一体何を体験するのだ」
フェイリス 「基本的には普通に働いてもらうだけニャン。というわけで、キリニャン、クロニャン、よろしくニャン♪」
桐乃 「はいっ! それじゃご注文をお伺いしまーす! にゃん!」
岡部 「では、アイスコーヒーを」
ダル 「それじゃ僕もそれで」
桐乃 「アイスコーヒー2つですね。かしこまりました! にゃん!」
黒猫 「し、少々お待ちください。……にゃん」
☆
フェイリス 「キリニャンは飲み込みが早くて凄いニャン。メイドの天性があるニャン! もう本当にここでバイトしてみるかニャ?」
桐乃 「そ、そうですか? ヘヘ。……チョットやってみたい気もするケド、あたし他にお仕事やってたりするんですよね」
フェイリス 「そっかぁ。残念ニャン」
まゆり 「ダメだよフェイリスちゃん、無理言っちゃ。――クロニャンちゃんは、だいじょうぶ? メイドのお仕事」
黒猫 「え……は、はい」
まゆり 「無理しなくていいからね? でも、やってるうちに段々慣れてくるから。元気出して、楽しくやろうね♪」
桐乃 「あ、えっと、元気がないとかじゃなくて、この子はこれが素なんです。こう見えて、結構ノリノリで着替えてたし」
黒猫 「う、五月蝿いわね。……メイド服はかわいいけれど、接客がちょっと……き、緊張するだけよ」
桐乃 「マユシィさんも言ってたけど、そんなの慣れだって! ホラ、アイスコーヒー出来たから、さっきのお客さんに持ってってみ?」
黒猫 「え、私一人で? あ……あなたもちゃんと働きなさいっ」
桐乃 「あたしさっき注文取ったじゃん。今度はあんたの番。ちゃんとここから見ててあげるから」
まゆり 「がんばってっ、クロニャンちゃん」
フェイリス 「さっきの二人は常連さんだから、少しくらい粗相しても大丈夫ニャン! ドーンと行ってくるニャン!」
黒猫 「……わ、分かっ……りました……うぅ」
☆
黒猫 (そうは言ったものの……やっぱり緊張するわね……。相手が女性ならまだいいのだけれど……)
黒猫 「……お……、……お待t……」
岡部 「――それでダルよ、電話レンジ(仮)の改良はどうなっているのだ」
ダル 「一応、出来る事は全部やった気がするお。これ以上は電話レンジの仕組みがはっきり解明されないと無理ゲー」
岡部 「そうか……。ならば現状はやはりDメールの実験を繰り返してデータを集めるしか手はない、か……」
ダル 「それそれ。オカリン、実験繰り返してるってマジなん? 僕たちにはそんな記憶が全くないわけだが」
岡部 「……ああ。俺にはこの魔眼“リーディング・シュタイナー”があるからな」
黒猫 (! ……“魔眼”……リーディングシュタイナー……?)
ダル 「またそれですか。何度聞いてもいつもの厨二病乙!にしか聞こえないわけだが」
岡部 「厨二病ではないっ! それは、こことは違う世界線での過去の記憶を全て維持出来る異能の力……フゥーハハハ!」
黒猫 「……過去の……記憶……ですって……?」
岡部 「ぬおわっ!?」
黒猫 (……この男……まさか“彼方 の世界”の記憶を持っているとでもいうの……?)
岡部 「い、いつからそこに居たっ!? ……クッ、盗み聞きとは卑怯な真似を……っ」
ダル 「ま、マジで全く気配を感じなかったレベル。やるな、おぬし」
岡部 「……俺だ。……“機関”の諜報員 に嗅ぎつけられた。……ああ、大丈夫だ、俺を誰だと思っている。
……いざと言う時は、ここで口を封じればいいだけの事……!」
……いざと言う時は、ここで口を封じればいいだけの事……!」
黒猫 (……“異世界”との念話まで出来るなんて……これは間違いないわね。
……問題は、この男が“天使”の手先かどうか……)
……問題は、この男が“天使”の手先かどうか……)
岡部 「フッ、運が無かったな、体験メイドよ。秘密を知られたからには死んでもらうぞ……!」
黒猫 「……この私を殺す、ですって? ……ふ……ククク、身の程を知りなさい。それとも……“天使”の同胞を呼ぶつもりかしら?」
岡部 「…………て、てん、し?」
ダル 「まさかフェイリスたん以外にオカリンの電波に対抗出来るメイドがこの世に存在するとは」
岡部 「ふ、……フハハ、俺は天使などではない! 狂気のマァーッドサイエンティスト、鳳凰院凶真だッ!」
黒猫 「……“天使”の眷属ではない、と言うの……?
フッ、たかが人間風情がこの私の命を狙ってくるなんて……無謀を通り越して、愚の骨頂というべきね」
フッ、たかが人間風情がこの私の命を狙ってくるなんて……無謀を通り越して、愚の骨頂というべきね」
岡部 「なにっ、貴様……何者だっ?」
黒猫 「ククク……、我が名は“千葉の堕天聖”黒猫。宵闇の加護を受けし、黒き獣……」 ←荒ぶる堕天聖のポーズ
岡部 「千葉の……堕天聖……だと……!?」
ダル 「駄目だこいつら、早くなんとかしないと」
黒猫 「“天使”ではないというなら、見逃してあげてもいいけれど……。……過去の記憶を持っていると言ったわね? 鳳凰院凶真」
岡部 「……だとしたら、どうするというのだ」
黒猫 「簡単なことよ。……全て話してもらうわ。“彼方 の世界”のことを」
岡部 「あ、彼方 の世界? ……フッ、ま、まあいい。どうやらそちらも“機関”の人間ではないようだな……ならば条件がある」
黒猫 「……条件?」
岡部 「秘密を知るからには、我がラボの一員となってもらう――今日からお前は、ラボメンNo,009だ!」
黒猫 「…………は?」
☆
まゆり 「すごいよ~クロニャンちゃんっ! オカリンと初対面でいきなりラボメンになれるなんて~! 新記録だよ~!」
フェイリス 「凶真と互角に渡り合えるなんて、そうそう居ない逸材ニャン! クロニャン、見直したニャン!」
黒猫 「え……あの……こ、これは喜んでいいことなのかしら……?」
桐乃 「ん~、まァいいんじゃん? ラボメンとか、会話の内容とかはともかく……一応友達になれたってことなんだからさ?」
黒猫 「と、友達……と言えるのかしら……」
桐乃 「それは、これからのあんた次第だって。今度その『ラボ』に遊びに行くんでしょ? 面白そうだからあたしも行こっかなァ~」
まゆり 「おいでおいで~! そのときはキリニャンちゃんもラボメンだね~。
最近女の子のラボメンがいっぱい増えて、まゆしぃは嬉しいのです♪」
最近女の子のラボメンがいっぱい増えて、まゆしぃは嬉しいのです♪」
黒猫 「…………過去に送れる……メール、ね……」
黒猫 (正直、半信半疑だけれど)
黒猫 (もし、それによって過去を変えられるというのが……本当だとしたら)
黒猫 (……私は……此処に在る“今”を、変えようと思うのかしら……?)
-END-(“運命石の扉”の交錯)