サーチ&バトルのその前に

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匿名ユーザー

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だれでも歓迎! 編集
『泉こなた
 南夏奈
 南光太郎
 東京タワー
 杉下右京
 脱衣拳
 アーカード
 イチロー
 昏き海淵の禍神
 以上になります。 それから・・・・・・』

「そんな、こんなに人が……」

主催者からの定時放送。
聞き逃すわけにはいかない死者と禁止区域の情報を前に、誰もがその動きを止める。
それは民家を物色していたこの二人組も例外ではない。

「……」

無言で、しかし沈んだ表情でハクは支給された名簿に横線を引っ張っていく。
自分の大切な人たちの名が呼ばれなかったのはありがたいが、
そもそも殺し合いにはやはり呼ばれてしまっていたのだ。素直に喜べるわけがない。
それでなくとも、半日も待たずして9名もの犠牲者が出たのだ。
東京タワーとか妙な言葉も聞こえてきたが、自分と同じく私生活にも馴染んだ芸名か何かだったのだろう。
南夏奈と南光太郎は兄妹だろうか? レンとリンの二人もいつ同じ運命を辿るかわかったものではない。
それに、イチロー。ありふれた名前だが、カナ表記である点が、あの大スターであることを物語っている。
あまりにも残酷過ぎる、現実。

「……僕の家族や知り合いは呼ばれていませんでしたが、ハクさんの方は?」
「大丈夫でした。……今は」

作業を中断し、ラグナもハクの持つ名簿を見やり、そして顔を曇らせた。
見たくないというのが本音だが、確認せざるを得ない。
そして……

「タケシ……」

思わずその名前が口からこぼれた。
自分の名前の下に書かれているが、この参加者との直接の面識はない。
しかし聞いたことはある。忘れたくても忘れることなどできない名前だ。

「この人が、あの人の息子さんなんですね……」

ラグナに続き、ハクもまたその名前に反応を示す。
タケシ。最初に出会った参加者が叫んでいた名前、息子だと叫んでいた名前だ。
ありふれた名前ではあるが、複数の家庭が家族単位で巻き込まれているのだから、彼が息子である可能性は高い。
――息子のために、息子の友達を蘇らせる――子煩悩な母は、確かにそう言っていた。
もし、その息子まで殺害されたなら、あの母はどうするのだろうか?

「あのお母さんの、説得はできないのでしょうか……」
「無理でしょうね。このタケシさんを殺されてしまったら尚更ですが、
 そうでなくても、あの人の意思は固い。自分のことより、息子のため……その気持ちは、わからなくもないです」
「そうなんですか?」
「ハクさんも、いつか子供ができたら……いや、ハクさんだって、自分のことより家族のことを優先してるじゃないですか」
「う……」

タケシという名があっても、その母親の名前まではこの名簿からは判断できない。
それでも二人は、名もわからない母と戦いたくないと願っていた。
自分達が殺されかかったからではなく、もっと別の理由で……

「あの人と戦わずに済む方法は、やはり一刻も早くこの殺し合いを終わらせることなんですが……」
「それができたら苦労しませんよね……」
「ええ……それに、ここ数時間調べていてちょっと妙なことに気がつきまして……」
「妙なこと?」

名簿から離れ、ラグナは頷いた。
彼の鞄には既に細々とした道具やらなにやらが多数放り込まれている。
食事を終えた後、ハクの案内で電気街などから拝借してきたものだ。
食料は米のあった民家以後見つかることはなかったが、調理器具だけは確保できた。
放送までの間、二人がとった行動は物資の調達。
その理由はもちろん、生命維持と首輪の解除のためだ。
その最中、気がついた違和感。

「そうです。ちょっとというか、かなり妙なんですけど……」

放送により中断されたその作業を、ラグナは再開する。
つかつかと歩き、荷物の詰まった鞄に近づき……




それを素通りして……



後ろにある、この民家に設置されていたベッドの前に立ち止まり……



「すぅぅぅーーーーーーはあぁぁぁぁーーーーーすぅぅぅーーーーーー………」



顔を埋めて深呼吸。

「はあぁぁぁぁーーーーーすぅぅぅーーーーー……」

もう一度念入りに。

「……うん、やっぱりここも変だ」
「ごめんなさいラグナさん、失礼ですけど私にはちょっとあなたが変な人に見えてきました……」

真顔で青年がベッドに顔を埋めて深呼吸を繰り返す……
少し前から繰り返されているこの作業、ベッドチェックの光景に流石のハクもちょっとだけ引いていた。

「ちょ、ハクさんひどいですよ! 確かに見た目はちょっとアレかもしれませんけど、僕は大真面目です。
 変だというのは……この町のベッド、どこの物も全くと言っていいほど『匂い』がしないんですよ」
「匂い……ですか?」

うずめた顔を上げ、真顔でラグナははっきりと言ってのける。
確かにその表情は、ふざけていたり冗談を言っているようには見えなかった。


「ベッドというのは、普通の生活を送っていればまず一番身体が触れる場所です。
 ともなれば、そこに寝てる人独特の匂いが染み付きます。洗濯とかは無意味ですよ?
 甘い匂いや、やすらぐ匂い。優しい匂いや背徳的な匂い。落ち着ける匂いに柔らかい匂い……
 似てるようですがみんな違うんです。微妙な違いがあって、そこから正体を判断することができる。
 それに、このベッドはさっきまでのベッドと違ってダブルベッドですよ、ダブルベッド!
 いやー、僕も昔はこれを手に入れるのにやっきになったものですよ。早く早くと辺りの木を次々伐採したのもいい思い出です。
 まあそれはさておき、ダブルベッドと言えばあれですからね、夫婦の必需品なわけであって、これも無しに結婚は考えられませんよね。
 一人寂しくダブルベッドを使うこともあるかもしれませんが、基本的には奥さんと一緒に使うものであって……
 それはもう毎晩毎晩この上でくんずほぐれつ、あんなことやこんなこと、色々なことをやらかしていれば、
 もっともっと濃密な匂いが染み付くはずなんですよ。日数が経過すると壁とかにも染み付くんですが、このベッドからは全く匂いがしない。
 新品には見えないんですが、まるで新品のような……本当に生活の匂いを感じられないんですよ。これっておかしいと思いませんか?」
「………………ラグナさん?」
「なんで一歩後ろにさがるんですかハクさん」

今度はハクも無意識のうちにもう一歩引いていた。物理的に。
とても一息で喋れるとは思えないほどの言葉を、目の前の青年は変わらぬ真顔で言い切ったのだ。
自分の頬が熱くなっているのがわかる。
無理もないだろう。端々にハクには少々刺激の強い言葉が混じっていたのだから。
あの変わり者揃いの音楽一家の、主に長女や次女のおかげで多少は耐性が出来たと思っていたらこのざまだ。
それを表情を変えずに言い切れるこの青年は本当に一体何者なのだろうか。

「その……ラグナさん、もしかしてそういったこと……常日頃から?」
「……そうですね。わりと生傷は絶えないんで普段から傷薬の調合や畑用の農薬も調合してますから。薬学は匙加減が難しいんですよ。
 ああ、あと村の鍋祭りの時もよく匂いを嗅いで判断しますね。また胃の中で爆発する料理は食べたくないんで……
 普段の生活から鍛えられた嗅覚……とでも言っておきましょう」
「そ、そうだったんですか。すみません、私ちょっと恥ずかしい勘違いを……」
「へえ……どういった?」
「その……そ、それより確かに匂いがしないというのは妙ですね!」
「そうでしょう?」

赤面したままの状態で、ハクは話の続きを促した。
ここらの話題は早急に次に進まないとまずいと判断しての行動だ。
正直理解は追いついていないが、やむを得ない。

「さらに言えば、この会場そのものが妙なんですよね。
 大地の力を感じないと言うか……大気中を飛び交うルーンの精霊はおろか、虫や鳥を一匹も見かけてないんです。
 ベッドの件もですが、会場全体に生活……生命が活動していた痕跡がないというか……」
「純粋に、私たちだけで殺し合わせるために主催者が全てを回収したとか……?」
「小型の蟻や空を飛びまわる小鳥も含めてですか? 事前に猛毒を散布したとして虫の屍骸一つ見当たらないというのはどうでしょう」
「た、確かに……」

いつの間にか、話は本当に真面目なものとなっていた。
感じた違和感、会場への不信感。
謎が多い主催者達と、残り参加者45名以外が存在しない大都市東京都。
それらが意味するのは、なんなのか。

「機密性の高い空間に、元の街とそっくりな街を作る技術があれば、この状況も少しは納得できるんですけど。
 でも見た感じ、石造りの建物が大部分を占めてますから流石に無理な話か……
 木造一戸建てなら僕でも2時間でぱっぱと建てられるんですけど、高層物となると1日仕事になりますからねえ……」
「ラグナさん、先程から凄いことをさらりと言いますよね……」

え? そうですか?」
「ええ。本当に、凄いです」

特に実感はないといった様子だが、それでもハクは素直に賞賛の言葉を口にする。
出会って間もないが、それでもこの短時間でラグナの多種多様な技能とそのレベルの高さはよくわかった。
魔法の概念はわからないが、それでも用意されたカレーから調理技術が店を開けるレベルなのは確かだ。
僅かな匂いの違いさえ判断できるほど精通した薬学の知識。自分を助けてくれた際の軽い身のこなし。
明らかに実戦を経験しているであろう剣の腕前。そして何気なく口にされた建築士としての実力。
芸能界を生き延びるためにあらゆることを学んできたハクから見ても、敵わないと思った。

「うーん……僕はどちらかと言えば、ハクさんの方が凄いと思いますけどね」
「私が……ですか?」

だから、この返答には驚いた。
あらゆる物事に精通した、芸能界でなくともあらゆる道で生きていくことができそうな相手に、自分が認められたのだから。

「家族を思う心もそうですけど、剣の腕前といい……その、二つの意味で凄い身体だなあと思いますよ。
 第一印象は、風が吹けば飛ぶような儚げな感じでしたし、実際華奢ですからね。どこにそれだけの力を秘めているのか……」
「ありがとうございます。でも、私も最初からこうだったわけじゃないんですよ? 生まれつき病弱な身体でしたし」
「とても想像つかないんですけど……」
「それでも歌を歌いたい一心で芸能界入りして……失敗して。でも自分より周りの人が羽ばたいて行くのが嬉しかったですね。
 ただ、そんな人たちを見たり支えるためには芸能界に留まらなければいけないわけでして……そこからですね、丈夫になれたのは」
「よく知らないんですけど、やはり厳しい世界なんですか?」

ここで、ハクはふうと息をつく。
そして思い起こすは、芸能界の荒波に揉まれ続けた日々。

「厳しいですよ。特に売れない私の場合、裏方やレギュラー陣に怪我をさせないために単発で危険なバラエティー任務が多かったですから。
 そうですね……野生の荒ぶる動物に追いかけ回されたり、それらに素手で挑む異種格闘技とかはよくありましたし……
 手を出しちゃいけなかった分、狭いライオンの檻に閉じ込められた時の方が何倍も大変だったんですけどね。
 台風直撃中の真冬の無人島に小麦粉一袋だけで放り込まれた0円生活とかも大変でしたね。ウツボとチネリ技がなければ危なかったです。
 あとはクイズに間違えるとスーパー人形じゃなくて本人が突然開いた穴に落とされる番組も。嫌でも知識を増やさないと辛かったですよ。
 他はそうですね……大御所の悪乗りで開かれたトマト祭りならぬ固ゆで卵祭りとか。ライジングタイプは回避しないと即死ものなんです。
 酔って、しと? とかいう生き物を捕食し始めた芸能界の首領の仲裁というお仕事だけは、流石に丁重にお断りしたんですけど……」
「さっきの言葉そっくりお返しする形になりますけど、やっぱりハクさんの方が凄いことをさらりと言ってますよね……」
「そうでしょうか? でも私の力というよりも、アドバイスをくれた大先輩達のおかげだと思います」

ハクの口から語られる芸能界の厳しさに、今度はラグナの方が物理的に引いていた。
それと同時に、何故ハクがあそこまでの身体能力を有しているかも納得できた。
こんな仕事ばかりでは、芸能界に残るというより生き残るために強くならねばやっていけるわけがない。

「えーと、流石にそこまで無茶なことをすれば待遇は……」
「そうですね。最近はちょっとずつギャラも増えてたんですけど……
 芸能界入ってすぐに参加した、歌のコンテストでやらかした大惨事が各局からマークされてまして……
 表立った番組には基本的に映れませんし、ギャラも大抵やけ酒に消えてしまうんですよ……」
「芸能界厳しすぎでしょう……身体は大切にしてください。本当に……」
「あ、そういえば芸能界といえば、私も名簿で少し気になる点があったんです」
「名簿に……ですか?」

恐ろしい芸能界の片鱗を知った直後に、芸能界と関係があるという名簿――つまりは参加者――の話。
一体何が始まるんです? とは言えずに、ラグナはただ黙って唾を飲み下した。
内容がどうであれ、名簿にからむ、つまりは殺し合いに関わる重要なことなのだ。
聞き逃すわけにはいかない。

「この名簿、妙に変わった名前の人が多いと思いませんか?」
「確かに、雰囲気で異質だという感じはしますね。フグとサザエの人もそうですが、アナゴは完全に魚類ですし……」
「これ……ほとんどの人が芸名……芸能人なんじゃないかな、と。私を含めてミクさん達も芸名で記載されていますから……
 あ、ラグナさんの感じた違和感とは違って、私なんかの感じた違和感なんて本当にどうでもいいことなんですけど、一応……」
「……参加者のほとんどが芸能人だとしたら、僕生き残れる自信無くなってきましたよ。
 でもハクさんと同じ世界を生き抜いてきた人なら、もし味方になってくれさえすれば……」
「すみません、底辺芸能人の私ではこの名簿の中で知っている芸能人は、ミクさん達を除けばこの人だけです」

そういうと、ハクの指が紙の上をすべり、一つの名を示した。
名簿の中では比較的最初のほうに記載された、その名前。

『所ジョージ』

「この人が……」
「はい。芸能界でも間違いなくトップクラスの人です。
 過去に恐れ多くも一度だけ共演させていただきましたが……物凄い投擲力と豊富な知識を持つ方なんですよ」
「すごいじゃないですか、そんな人と一緒に……」
「あ、私は所さんのダーツの腕前を見せ付けるための的役で林檎を頭「この人を探してみましょう!」

ハクの言葉を遮り、ラグナは荷物を抱えて立ち上がった。
あらかたの物資は調達したし、ベッドチェックもこれ以上はどこで行っても結果は同じだろう。
それなりの収穫はあった。となれば、そろそろ動く時期なのかもしれない。
少し無駄話が過ぎたかもしれないし、動くなら早く動いた方がいい。
これ以上芸能界の恐ろしさを知りたくなかったわけでは決してない。

「そうですね。所さんほどの人なら、おそらく殺し合いを崩す方法を探しているはずですし……」
「どこにいけば会えるかわからないのが辛いところですけどね……人が集まりそうな場所でしょうかね?
 タケシという子や、ハクさんの家族も心配ですし、そろそろ動きましょう。大丈夫ですか?」
「はい、大丈夫です」

続いて、ハクも立ち上がる。
時刻は既に6時を回っているが、夜間の外回りは二人にとっては慣れたものであり、行動に支障はなさそうだ。
民家の玄関を開き、外に――

「……そういえば、KAITOさんは参加者にいたのに、どうしてMEIKOさんだけ名簿にいなかったんだろう?
 MEIKOさんだけでも安全なのは嬉しいことだけど……」
「MEIKO? どこかで……」

と、思い出したように、なんとなく呟かれたハクの一言により二人の動きは中断された。

「はい、MEIKOさんは一家の最年長の方なんですが……」
「ああ、思い出した! 最初に確認した支給品に、そのMEIKOさんのものがあったんですよ!」
「え!?」
「僕には必要のないものだったんですけど……」

ここで予想外なことに、ラグナの支給品に、何故かこのバトルロワイアルに参加せずに済んだ幸運な長女の私物があることが判明した。
出発しようとした矢先ではあったが、身内の品と聞いては確認せざるを得ない。
今まで出さなかったということは、役に立つものではなかったのだろうが……
あのMEIKOの私物なら、酒かマイクだろうか? どちらにせよハクにとっては大好きな品物である。
荷物が増えて探すのが面倒そうであったが、ラグナはごそごそとデイバックを漁り、それをひっぱり出してくれた。

「これですよ。ほら、黒いペンでMEIKO専用って――」


ヴィィィィィィィン……

「きゃあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

ソレを見た瞬間、ハクは絶叫と共に飛び退き、玄関扉に後頭部を打ちつけた。

「ハ、ハクさん!? 大丈夫ですか!?」
「ラ、ラグナさん!? そ、そそ、それは……」

口をパクパクと動かしながら、取り出された支給品をハクは指差す。

確かにそれには、小さな文字で『MEIKO専用』と器用に書かれている。

間違いない。あれはMEIKOの物だ。



小刻みな振動を繰り返す彼女の愛用の物――ピンクロー○ー――だ。


「それが、説明書には用途も名前も書いてなかったんですよね。
 小型機械なんで首輪解体前の実験台にしようかとも考えたんですけど、この程度の作りじゃ簡単にばらせそうですし、止めました。
 というより、これ振動弱いですよね。少し弄って3倍の速度にした方が――」
「3倍!?」
「いや、そもそも小さすぎるのが問題ですよね。自宅に戻ればもっと強力な電気クラゲイカの触手があるんですけど……」
「触手!?」
「ええ、思った以上に気持ちいいんで奥さんにも愛用してますよ」
「愛用!? ……その、ラグナさん? さっきも聞きましたけど、やっぱりその、そういったことを毎日……?」
「たまに……ですかね。農業も釣りも採掘もずっとやってると全身が凝っちゃって。いいマッサージになるんですよ」
「…………」
「ハクさん? どうかし「な、なんでもないです! そろそろ生きましょう!」
「そうですね。ではこれはハクさんが使ってください」
「使――っ!?」
「はい。僕が持つより、同じ家族であるハクさんが持っていた方がいいでしょう。
 いずれMEIKOさんに返す時もその方がいいですし。あ、でもやっぱり使うんだったら3倍以上の振動の方が効きますかね?
 幸い、道具は色々調達済みですから時間もそんなにかけず「行きましょうラグナさん!」

どがん、とまるで扉を蹴破るように開けると、ハクはラグナの手を引っ張って足早に民家を後にした。
素早く彼の手から例のブツを奪い取り、自分のデイバックの底に叩き込むことも忘れていない。
あんなものではあるが、家族の大事な品物だ。お守り代わりになってくれるだろうか。
捨てずに回収した恥ずかしさもあるが、夜であれば顔の赤みも少しはごまかせることだろう。

「……思ったよりも陽が落ちるのが早いですね。闇に紛れての奇襲に注意しましょう」

外に出るなり、再び真面目な声でラグナが警戒を促した。

「は、はい……!」

先程はからかわれたのか、大真面目だったのかはわからない。
しかしそれはもう些細なことだ。一度外に飛び出してしまえば、もう下手に言葉を、音を発せなくなる。
会場への違和感からの考察も、他愛のない話も、できなくなる。
いくら夜目がきくとはいえ、日中と比べたら視界が悪い事実は変わらない。
篭城する作戦もあるが、探し人が多すぎた。
これからは、捜索と戦いの時間。

できれば望む人物に出会えることを祈りながら、二人は闇夜を行く。



【文京区/一日目・夜】

【弱音ハク@VOCALOID】
【状態】健康、両腕に包帯(完治済み)若干の精神疲労
【装備】メタルキングの剣、メイド服、ヘッドドレス
【道具】基本支給品一式、おにぎり、ピンクロー○ー
【思考】
基本:家族を見つけて守りつつ、首輪を外して主催者に挑む
0:所ジョージとの合流を目指す
1:ラグナについていく
2:自分の死より他人の死の方が気になる
3:ジャイアンの母とはあまり戦いたくない
4:魔法というものに興味
5:謎の少女(巴マミ)を警戒
6:家族やタケシの安否も気になる

【ラグナ@ルーンファクトリー フロンティア】
【状態】:健康、RP65%、若干の精神疲労
【装備】:鋼の槍
【道具】:基本支給品一式(ランダム品0~1)、調理器具、細工道具
【思考】基本:主催者の撃破
0:所ジョージとの合流を目指す
1:ハクと共に行動
2:回復用の食料と武器及び素材の確保
3:殺人は控えるが、場合によってはやむなし
4:謎の少女(巴マミ)を警戒。できれば説得したい
5:会場の正体が知りたい
※食事による回復量にも若干制限がかかっています

※二人ともタケシをジャイアンの母の息子だと認識しています

※現地調達、支給品紹介

【MEIKOピンクロー○ー@現実?】

ラグナに支給。
非常にいやらしい代物です。詳細は省略。
MEIKO姉さん愛用の物のようだ。

【調理器具@現実】
【細工道具@現実】

それぞれラグナが現地調達。
一般家庭にあるフライパンや鍋などの調理器具。
そして首輪解除のために持ち出された道具。
普通の工具などとは違い、細工用のため小さいものが多い。


081:天国へのカウントダウン? 投下順 083:外道カルテット
081:天国へのカウントダウン? 時系列順 083:外道カルテット
065:とある魔法少女の災難 弱音ハク 085:彼の者の名は……ベン
065:とある魔法少女の災難 ラグナ 085:彼の者の名は……ベン

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