PART2

大いなる転換点を迎えるシリーズ第六巻の第二部



あらすじ

『VI 宿怨 PART1』から3年後の西暦2502年。
シェパード号の惑星ハーブC到着まであと1年。

最後の、そしてわずかな希望であったQ2UA-2502は不調におわり、人類に対して戦端を開いたプラクティス優勢で戦いは進む。
全太陽系が降服しそうな中、アイネイアの操るドロテア・ワットプラクティスへ。
そしてジニ号は太陽系をあとにリギル・ケンタウルスに向けて出発する。


ストーリー

断章三 ファースト・コンタクト、羊飼いの口承、そして「ビーバー

まとめ
  1. オムニフロラの侵略に対抗するため、こっそりと太陽系へ到着したパマナハン発光体は、人類以上の科学技術を持つ異星人カンミアの宇宙船であった。
  2. ラバーズプラクティスに接触したカンミアはオガシカルミアン(穏健な者)と名づけられる。西暦2480年代後半からプラクティスハニカムエウレカへ移動したのも、クラスト化を施せたのも、探知できない船をつくれたのも、すべてカルミアンの技術によるものであった。
  3. 西暦2501年セレス・シティーにいるジョージ・ヴァンディを幼馴染のメララが訪ねる。
  4. パラスの自宅で飼っている羊(に被展開しているノルルスカインが)が話しかけてくると語るメララジョージナシュリンガは真剣に相談にのり、話す内容をメモにとることを薦めた。メララは了承し一週間後にパラスに帰る。
  5. SCS(カロリー自決装置)の存在と太陽系国家の繁栄がビーバー(SCSピープル)の増加をまねいた。

情報・謎・他


カンミア
現在のカンミアは三百億体(p.16-19)
母恒星は太陽系から、銀河系中心方向とは反対方向に200光年離れたところにある。
ミスミィを含め100匹の女王が他の恒星に向かった。

・頭に三本の角を持つ(p.7)
・「沸き出でる座」から生まれる(p.7)
・生まれたばかりのときは白い(p.7)
・同時に生まれた複数の姉妹がグループで生涯を過ごす(p.7-8)
・個体間で共意識をもち(p.7)、特に同時に生まれた姉妹間で強い
・蜂や蟻に似た社会性をもつ
・無能で愚鈍な少数のオスが存在する。(オス蟻)
・数千体の女王というメスがいて、卵を産み姉妹たちに命令する(女王蟻)
・女王達の上には惑星に一体しかいない総女王がオスを与奪して全体を律し、種族全体の行き方を決める(女王蟻)
・数百億の個体は繁殖力を持たず単純労働に従事するメスの姉妹である(働き蟻、兵隊蟻)

ミスン族(p.10)
共意識を誘導する能力が高い頭にひれのある個体が、姉妹全体を統御することで生まれる大きな自意識。
女王のなかでも限られたものがミスン族である。
・個々の個体の理解の範疇を超える存在で思考力は従える固体の数の累乗に比例する。
・思考力と繁殖力をともに備える者は少ないが、総女王は例外なく思考力と繁殖力を持つ。
・[[ミスン族]]は[[カンミア]]より200年ほど寿命が長い(p.20-21)
  • 歴代の総女王(p.12-14)
  ・初代:チンギ 二万体を従える
  ・10代:クンブコ 百万体を従える
  ・14代:グルコン 遠い宇宙で星が滅んでおりいずれカンミアの世界も滅ぼされることを発見する。この代から考察と探求が始まる。
  ・18代:クセンニカ テクノロジーの発展が必要だと認識する。
  ・26代:カンポンヴェー この代までに諸学が飛躍的な発展を遂げる
  ・29代:ドッセ 状況を正確に理科したが、そのためカンミアたちが絶望して社会が乱れた
  ・30代:3人の総女王が鼎立し相争う。
  ・31代:サクサリコン 31代として統一する。
  ・35代:ヒュントン 星を滅ぼす危機は超新星と赤色巨星などの超新星になる前の星を避けているため、母恒星の赤色巨星化を決める。
  ・98代:アミュンツィ 当代の総女王。
母星の赤色巨星化が完了させた当代の総女王は、ミスン族を他の恒星に向かわせる(p.16)
  • 危機を切り抜ける知識や資源を求めるため。。
  • 母星と長い基線をとり、危機の詳細な観測を行うため。
  • 万が一に備えて星間規模で分封を行うため。
  • 別のミスン族から自発的に力を引き出すため。



  ・西暦466年頃 母星を出発(p.24)
  ・西暦1466年 中間点に到着。減速開始(p.21)
  ・西暦2349年 パマナハン発光体として太陽系に知られる(V巻 p.423)
  ・西暦2430年 減速中止。そのままのスピードで太陽系に向かう(p.23-24)
  ・西暦2438年 太陽系を一旦通過(p.23) 減速再開。
  ・西暦2446年 太陽系を通り過ぎて停止。再び太陽系に向かう(p.24)
  ・西暦2466年 太陽系に到着(p.24) 太陽系および接触対象の調査を開始
  ・西暦2470年 ラバーズに接触(p.29)
  ・西暦2476年 ハニカムエウレカへ移動(p.34) プラクティスとも交流し始める。
  ・西暦2480年代~ プラクティスカルミアンの技術を導入し始める。
  ・西暦2496年 ハニカムを訪れたオガシクラスト化(p.37)
  ・西暦2499年 エウレカ-ハニカム公転体からノルルスカインを追い出す(p.47、VI巻 PART1 p.347)
         カンミア母星へ通信するアンテナを建造(p.47、VI巻 PART1 p.357) 母星へ報告開始。
           →西暦2699年ごろに報告が母星に届き、西暦2899年ごろに返事が太陽系に届くことになる。
  ・12種類あり、それぞれ太陽系各天体の名産。レッドホットキスのみ産地が伏せられている。
    ・アリエルノート、マギサンド、タバスコーマ、レッドホットキス、その他不明。
  ・ユレイン・ウェルフロイ ここ2年で身長が25センチ伸びた。自分がハンサムであることを自覚し、女の子の扱いが得意な陽性の色男に。
  ・グロッサ いつもどっしり悠然と構えている力持ちに。
  ・ベル 感情豊かな美人に。
  ・サンドラ 物静かでやさしく
  ・ナシュリンガ いつも笑っていて子供っぽく。イルマサイ族を祖先に持つ。
  ・ハン 行動力があるリーダーに
  ・アイネイアミゲルはよくジニ号の訓練にいっている
  • ノルルスカインオムニフロラのことを人間に話すようになったきっかけは?(p.56)
  • ノルルスカインメララだけに話す理由は?(p.67)
  • 「漏れて困るのは話じゃないのかもな」の意味は?(p.68)
  • ガルドヘッピゲン会派の方言は元ネタあり?
  • メララはもっとも大事な人々との別れと引き換えにジョージに再会するとは何を指す?
  • 地球人口が最大になったのは西暦2068年8月1日、123億7566万214人(p.73、77) 以後は減少の一途をたどり西暦2200年には20億人に。
  • 太陽系諸国家の成立過程とロイズが覇権を握るまでの経緯(p.83)
  ・ノイジーラントが栄え、サンタクルス・クリオーリョブラックチャイナが建国され、ケープコッド自由連盟が発起し
   そこから漏れた人々のうち非ムスリムがパナストロを旗揚げし、ムスリムはイスラム巡礼艦隊を形成した。
  ・事故と過失と人為による核爆発被害が続く22世紀が終わり23世紀になると地球を除く太陽系各国で、
   最終戦争を防ぐための条約とそれを運用する仕組みが必要だという流れになった。
    →西暦2222年にクアッドツーが批准され、同条約の運用監視機関としてロイズ非分極保険社団が発足する。
     ただし当時の最大勢力であったケープコッドと地球は反対した。
    →西暦2249年に両者は開戦する。西暦2253年にケープコッド・地球連盟が敗北。ロイズ手動の地球環境観察委員会が地球を管理し始めた。


第二部 西暦二五〇二年

ビーバー

まとめ
  1. 西暦2502年2月、プラクティス代表としてQ2UAに向かうロサリオイサリミヒル姉妹。降下シャトルでオープニングスピーチを練習するイサリの目にセレス地表にあるビーバー達の家が映る。
  2. 不安をよそにイサリのオープニングスピーチは列席者から暖かい拍手で迎えられた。同日夕刻、姉妹は滞在施設をこっそりと抜け出し徒歩で市内見学に向う
  3. ばれないように顔の斑紋を化粧で隠す姉妹。さらにプラクティスの衣装では目立つため現地で着るものを調達する。しかしマルメーと名乗るビーバーに声をかけられる。
  4. 夜半にロサリオは姉妹の企みに気づく。しかしコムギアの位置情報は切られていた。一方、共に向かった市外のビーバー達の家で彼らのジェズベルをはじめとする会議に参加する要人殺害テロに協力するように要請される姉妹。
  5. 協力しない姉妹は会議終了までビーバーの家に軟禁される。コムギアを取り上げられ連絡の術がない中、イサリは一計を案じセレスに住むアイネイアにタレットのレーザーで連絡を試みる。
  6. 翌日、ロサリオMHD社長ジェズベルと二人っきりで会合するものの、成果は両者の間の溝を再確認しただけであった。そのころイサリの通信を聞きつけたアイネイアビーバーの家から姉妹を救出する。姉妹の無事を喜ぶアイネイア。再開とアイネイアの変わりなさに嬉しくなるイサリ。ジャームレスに借りをつくってしまったことに我慢のならないミヒル
  7. ビーバー達のテロに備えながら会議は進む。最終日、ロサリオの意に反してプラクティスの国家としての資格を問われるという論調で会議は進む。反論しようにもロイズに操られているムーヴェグからは声がだせないロサリオ。全会一致でプラクティスに対する査察が決議されてしまう。プラクティスの会議参加許可から全てロイズの計略であり、完全に敗北するロサリオは会議のため休止していたVO計画を続行する。
  8. 2ヵ月後、Q2UAの決定を受けロイズの査察チームがエウレカに到着するがカルミアン達のテクノロジーでチームの目を欺くことに成功するプラクティスたち。翌5月プラクティス全員がクラスト化を施す。さらに翌月、ついにプラクティスは人類に宣戦を布告した。
情報・謎・他
  • セレス地表には、居住施設やプラント、遊園地ドームなどが点在している(p.91)
  • Q2UAについて
  ・Q2UAとは「二二二二年第三次拡張ジュネーブ条約についてのアップデート会議」の略称(p.102)
  ・太陽系でもっとも重要な安全保障に関する会議で有力国が全て参加する(p.102)
  ・26世紀の幕開けを記念する場と位置づけられているが、主要各国の天体の位置があまりにも離れていたため、翌年の2502年開催となった(p.103)
  ・会議の主催はロイズ(p.103)
  ・列席者はおよそ千人(p.106)
  ・今回の会議の名称は「Q2UA-2502」(p.107)
  ・会場となったのはセレス北極シティーから40キロメートルはなれたタングリンという小都市(p.97) シティーからは地下列車で20分。
  ・ロサリオとしては参加を拒否されることを開戦の口実の一つにするつもりであったようだ(p.103、105)
  ・これまで開戦の準備をしてはきたが、参加を認められたからには、会議の結果次第では開戦を回避するつもりであるようだ(p.136)
  ・滞在場所は同市に用意した施設で、そこでは特に感染防護措置は不要となっている(p.110)
  ・移動手段はムーヴェグと呼ばれる、密封され透明な一人乗りの小型乗り物。その中でも特に感染防護措置は不要(p.100-101)
  ・30歳前後のたくましい男。顔立ちはしっかりしており、髪は金髪。
  ・小惑星コムソモーリスクナレネーの出身。
  ・13歳で軌道共産主義とは縁を切る。20過ぎまでサンタクルスで勉強しプランバー(閉鎖環境技術者)となり養殖会社に3年勤める。
  ・その後ビーバーとなり、セレスに来た。
  ・セレス地下にある氷層を掘削して網の目のようなトンネルを掘っている(p.142)
  ・マルメーたちの集落はタングリン宇宙港の余剰スペースにあり、500戸ほど(p.143)
  ・子供たちも生活のために働いており、学校には行っていない(p.144)
  ・ビーバー達は「誰にも征服されない」という唯一つの同意のもとに集まっている(p.147)
  ・ビーバー達はアナーキスト(p.147)
  ・プラクティスも裕福ではないが、ビーバー達はそれに輪をかけている(p.155)
  ・内通者をつかってツェン・バーガーレッドホットキスにマイクロカプセルを混入させ、同社の物流ネットワークを通じで太陽系各所に頒布する。

旋転

まとめ
  1. 西暦2502年6月、攻撃を目前にプラクティス遠征軍は総司令官オガシ、副司令官シグムントが演説し全軍の士気をあげる。
  2. ついに攻撃を開始する遠征軍。先制した電子戦、クアッドツーを無視した火力投射、地球側が想定外の事態にとまどったことをあわせ、予定通り6つの静止軌道要塞の撃破に成功する。
  3. 地球の状況がセレスMHDに届く。しかしなかなか状況を認識できないMHD社長のジェズベル。敵が軌道エレベータを占領し始めたという追加報告を受け、ようやくシステムフリートの召集を決断した。一方軌道エレベータを守る地球防衛艦隊を退け、遂に軌道エレベータ占領を開始した遠征軍。
  4. 犠牲は出たものの遠征軍は全ての軌道エレベータを占拠した。次の目標である地球の首都オーランド占領に向かう。
  5. 一斉に降下を始めた全軌道エレベータのケージ。地球軍はエレベータの地上駅で待ち伏せる。しかしブラス・ウォッチは地球軍を欺き首都オークランドに現れ、冥王斑ウイルスを散布する。
情報・謎・他
  ・29歳(p.217)
  ・男性として生まれ若くして軍務につく(p.217)
  ・14歳で性別を選択(p.218) 女性性男性に。
  ・15歳で冥王斑に罹患(p.218)
  ・その後シグムントらとノイジーラントを離脱(p.225)
  ・灰色の髪と白い目、曲がった背の持ち主(p.220)
  ・ワイラケイ会派主教を世襲で継いだ(p.220)
  ・軍艦に勤務した経験は無く、当然マイキャプテンとも呼ばれたことがない(p.220)
  ・22歳で冥王斑に罹患(VI巻p.) 西暦2488年のこと。
  ・アンチオックスとしてのアイデンティティーを常に思い悩む(p.220-)
  ・アンチオックスならば新しい国を作るべきと考える(p.223)
  ・冥王斑回復者のアンチオックスたちには名前が必要で、さらに移住して繁殖していくべきと考える(p.223)
  ・冥王斑回復者のアンチオックス達を、地球のブラック・ウオッチにちなみブラス・ウォオッチと名づける(p.224)
  ・冥王斑となったため、ワイラケイ市は主教会議直轄領となった(p.225)
  ・ワイラケイ会派の国家離脱を宣言後、冥王斑になったアンチオックスたち504名と共にとエウレカに身を寄せる(p.225)
  • 静止軌道要塞について
  ・6機存在し、それぞれ星座の名前をつけられている(p.243)
    ・フォート・キャンサー
    ・フォート・ヴァーゴ
    ・フォート・タウルス
    ・フォート・スコーピオ
    ・フォート・パイシーズ
    ・フォート・カプリコーン
  ・6つの軌道エレベータから30度離れた場所にそれぞれ位置している。(p.243)
  ・1つの要塞で150隻の主力戦闘艦を運用可能(p.243)
  ・フォート・カプリコーンの形はトウモロコシに似ていることからコーンカブとも呼ばれる(p.252)
  ・艦隊の編成は以下94隻(p.262)
    ・旗艦ワイラケイを含む電子情報通信艦、4隻
    ・哨戒母艦、10隻
    ・長射程狙撃艦、28隻
    ・装甲強襲輸送艦、40隻
    ・補給医療艦、2隻
  ・致命的対艦戦闘能力を持つのは長射程狙撃艦のみ(p.262)
  ・戦力係数は地球側の1/10以下(p.262)
  • 地球で最も栄えている都市は以下7都市(p.262)
  ・バマコ(アフリカ西部マリ共和国の元首都)
  ・ルアンダ(アフリカ南西部アンゴラ共和国の元首都)
  ・ナイロビ(アフリカ東部ケニア共和国の元首都)
  ・ヤンゴン(東南アジア、ミャンマーの元首都)
  ・ジャカルタ(東南アジア、インドネシアの元首都)
  ・コアツァコアルコス(中米メキシコ中部の都市)
  ・ベレン(南米ブラジル北部の都市)
  • 軌道エレベータ6基の接地場所
  ・キリバス(東南アジアのミクロネシア)(p.258)
  ・ボルネオ(東南アジアのインドネシア)(p.260)
  ・キト(南米エクアドル)(p.273)
  ・マカバ(南米ブラジル)(p.278)
  ・サントメ(アフリカ西部、サントメ・プリンシパル)(p.278)
  ・ナイロビ(アフリカ東部ケニア共和国の元首都)(p.278)


五百年の凱歌

まとめ
  1. ジニ号を狙ったシグムントの攻撃をなんとか防ぐアンチオックス達。いよいよ出発間近のジニ号で、太陽系が大変なことになっているのに見捨てて出発してもいいのかとミゲラは不安感にかられる。しかし本当の不安の種はアイネイアだけがいまだにジニ号に合流できていないことであった。アイネイアと連絡が取れないミゲラは、代わりにアイネイアの父ディトマールや祖母エレオノーラに連絡を試みる。一方オークランドに現れたブラス・ウォッチ冥王斑ウィルスをオークランドに散布したのち、人類の全面降伏を促すためにキュンティア通告を突きつけた。これを受け太陽系各国はようやくシステムフリートに参加し始めた。急ぎブラスウォッチの動向を調査するロイズは、今回の攻撃は単なる暴走に過ぎず戦略性の無いものという結論に達する。このこともありシステムフリートのうち準備の整った107隻で編成した第一次連合討伐艦隊を地球に向かわせるが、意に反して地球到着前にブラスウォッチに壊滅させられるのであった。これに懲りたロイズは950隻からなる特別殲滅艦隊艦隊と400隻の迂回別働隊の投入を決定した。
  2. そのころ理屈に合わないブラス・ウォッチの強さは謎の太陽系外生命と手を組んでいるためと考えたジェズベルドロテア・ワットの起動に望みを託す。唯一試していない方法を実行するため、フェオドールとアイネイアをつれてドロテア・ワットに向かう。しかし母が何を言っているのかわからないアイネイアは困惑してしまう。
  3. 一方エウレカでは、残留組のプラクティスたちが到着したロイズの調査チームを襲う。その中には出来るだけ戦わないようにと思っていたがイサリがいた。しかし止まない相手の抵抗の中とうとう戦いに我を忘れてしまう。勝利の後も苦悩するイサリに、冥王斑を完治する治療薬を製造できると告げるミスミィ。一旦は製造を依頼するイサリだが、プラクティス全体の行く末を考え製造を取り消させる。すでに製造着手した分についてはラバーズの工房であるシェパード号に隠匿させるのであった。
  4. アンチオックス市民が見送る中ついにジニ号は出発する。PPL議長モウサ・ヤヒロは太陽系全体に冥王斑ウィルスの原種を広め任意に感染させられると発表した。抵抗が無駄であることの証として、かねてからプラクティスを迫害してきたマーズ・パニッシャー(戦神の罰し手)に感染させたと宣言し引き続き降伏を求めるモウサ。しかし実際にマーズ・パニッシャーが発病してもいまだ抵抗をやめない太陽系の各国家。ついにモウサは各国家に対し時限付きの降服宣言を要求した。パナストロサンタクルス・クリオーリョをはじめとして降服宣言が続く中、唯一拒否を示したノイジーラントであったが程なく冥王斑のエピデミックに襲われるのであった。一方モウサの降服要求は唯一パラスを対象外としていたが、これは太陽系を代表して降服させるために温存しているに過ぎないという意見が多勢を占める。とはいえ人々はパラスに期待をかけずにはいられなかった。
  5. エレオノーラからの返信も期待した内容ではなく悶々とするミゲラ。しかし近日点を通過したジニ号アイネイアからの通信が入る。しかもその通信はジニ号の近くを航行するロイズ艦隊とドロテア・ワットからであった。はやく合流して欲しいミゲラに、先にプラクティスを倒すと答えるアイネイア。一方、ロサリオセツルCにてオガシが仲間を惨殺しているとミスミィ連絡が入る。きっかけはクラストライゼーション時に全てのプラクティス平民から生殖能力を奪ったと伝えたことであった。
情報・謎・他
  • 章タイトルの凱歌とは、戦勝を祝う歌や勝どきのこと。
  • ノイジーラントの十二主教はそれぞれ小惑星領地をもつ。セナーセーと同じで全て双子天体(p.307)
  • ジニ号の航路(p.308、309)
  ・母港エスレルを出発→太陽でスイングバイ(近日点は火星軌道の内側)→セレス・シティー]]近傍を通過→太陽系外、リギル・ケンタウルス
  ・ロイズが運用する宇宙艦隊。
  ・MHDが各国にリースしている艦隊化ヒューマノイドを同意のうえ各国から引き上げ、艦隊を編成する。
  ・総勢1900隻とも3000隻ともいわれる。
  ・カヨ 役職不明、女性、MHD製メイドロボット(p.368)
  ・オラニエ・アウレーリア キャプテン(船長)、年齢不明、男性?、ノイジーラント出身、[[エスレル会派]]主教、[[エスレル]]市長
  ・アイネイア・セアキ 役職不明、17歳、男性、セレス出身 MHD社長子息、ミゲラの婚約者
  ・ミゲラ・マーカス チョッサー(チーフオフィサー、航海長)、17歳、女性、セレス出身、アイネイアと共に最年少
  ・ノンゴダイ CELLS技術者兼コック、年齢不明、男性、出身不明、東洋系
  ・ヴィサワール 情報士官、年齢不明、女性、出身不明、氷のような冷静さをもつ
  ・アンテルム・ブビエ 博士、年齢不詳、男性、ノイジーラント出身、初老の黒人(p.353)
  ・コーニカ 天文学者兼料理長 女性、性別不詳、出身不詳(p.363-364、367)
  ・クライン 船医兼冷凍睡眠技術者 年齢不詳、男性、出身不詳、物静かで冷静、引き締まった痩身の男(p.366)
  • サーレクショッコ会派はノイジーラントの一会派(p.311)
  • ブラス・ウォッチは軌道エレベーター6箇所を全て陽動につかい、実際には6つの星座の破片にまぎれて地球の首都オークランドへ降下していた(p.315)
  • ブラスウォッチは大型噴霧器を使いオークランドに冥王斑ウイルスをばらまいた(p.315)
 →なぜ噴霧器を使ったのか?
  →ツェン・バーガー社はオークランドに出店していないのか? もしくはレッド・ホット・キススパイスを取り扱っていない?
  • ジニ号は千分の1G定常加速(p353)
  • レーザーを照射してエスレルの公転軌道を廻るジニ号を太陽に近づけるには(p.356)
 ・太陽を廻る物体はそれぞれ公転速度をもっており、速度を増やせば遠日点が遠のき減らせば近づく。
 ・このためプロペライトリーからの照射を公転速度を落とす向きで受ければ、ジニ号を太陽に近づけることが出来る。ということ?


オマージュ



あら探し

西暦2100年が22世紀?

  ・VI巻PART1と同様、巻末年表にて西暦2100年が22世紀に分類されているが、西暦2100年までが21世紀。(p.392)
  ・西暦2200年、西暦2400年も同様。(p.393、394)


その他

ジニ号がリギル・ケンタウルス(アルファ・ケンタウリ)に到着した時、地球では何年経過しているかを考えてみる。

I巻のシェパード号やハーブCとの関連とかありますので。。。
1.前提条件
 1-1. ジニ号の航宙計画は以下と仮定する。
     ・中間点までは水星軌道上のプロペライトリーにレーザー照射してもらう。(0.001G定常加速)
     ・中間点で180度回頭し、今度はアルファ・ケンタウリのプロペライトリーにレーザー照射してもらう。(0.001G定常減速)
 1-2. 計算上の細かい部分はまるめる。もしくは省く。
 1-3. ルートは最短距離と仮定する。
 1-4. 途中でいかなるものにも影響されないと仮定する。(太陽の重力とか太陽風、星間物質の抵抗とかetc)
 1-5. 出発時の太陽スイングバイ等々は計算から除外する。

2.定義する定数
 2-1. アルファ・ケンタウリまでの距離は4.37光年≒41,340,200,000,000,000メートルとする。
 2-2. 中間点までの距離は20,670,100,000,000,000メートルとする。
 2-3. 1Gは9.8m/s^2とする。ジニ号の加速度は「千分の一G」なので0.0098m/s^2とする。

3.まず中間点までに必要な時間tを算出し、それを2倍した時間を地球での経過時間とする。

求める時間tと定数を公式(距離=初速*時間+0.5*加速度*時間^2)にあてはめる。
  20,670,100,000,000,000=0*t+0.5*0.0098*t^2
                        =0.0049*t^2
tを求める。
   t^2=20,670,100,000,000,000/0.0049
      ≒4,218,387,755,102,040,816
   t≒2053871406(秒)
    ≒34231190(分)
    ≒570519(時)
    ≒23771(日)
    ≒65年

ゆえに、ジニ号がアルファ・ケンタウリに到着したとき、地球上は130年後の西暦2632年。
出発時の太陽スイングバイとか、中間点付近ではしばらく等速運動するとか、もろもろを勘案してもプラス1~2年?


ついでに、減速できずに太陽系に戻ってきた時、地球では何年経過しているか考えてみる。

1.前提条件
 1-1. ジニ号の航宙計画は以下と仮定する。
     アルファ・ケンタウリまでは水星軌道上のプロペライトリーにレーザー照射してもらう。(0.001G定常加速)
     アルファ・ケンタウリでスイングバイし、さらに180度回頭して、やはり水星軌道上のプロペライトリーにレーザー照射してもらう。(0.001G定常減速)
 1-2. 計算上の細かい部分はまるめる。もしくは省く。
 1-3. ルートは最短距離と仮定する。
 1-4. 途中でいかなるものにも影響されないと仮定する。(太陽の重力とか太陽風、星間物質の抵抗とかetc)
 1-5. 出発時の太陽スイングバイや、アルファ・ケンタウリでのスイングバイ等々は計算から除外する。

2.定義する定数
 2-1. アルファ・ケンタウリまでの距離は4.37光年≒41,340,200,000,000,000メートルとする。
 2-2. 1Gは9.8m/s^2とする。ジニ号の加速度は「千分の一G」なので0.0098m/s^2とする。

3.まずアルファ・ケンタウリ到着までに必要な時間tを算出し、それを2倍した時間を地球での経過時間とする。

求める時間tと定数を公式(距離=初速*時間+0.5*加速度*時間^2)にあてはめる。
  41,340,200,000,000,000=0*t+0.5*0.0098*t^2
                        =0.0049*t^2
tを求める。
  t^2=41,340,200,000,000,000/0.0049
     ≒8,436,775,510,204,081,632
  t≒2,904,612,798(秒)
   ≒48,410,213(分)
   ≒806,836(時)
   ≒33,618(日)
   ≒92年

ゆえに、ジニ号が地球に戻ってきたとき、地球上は184年後の西暦2686年。
まぁ、おっしゃる通りでした、オラニエ船長!


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最終更新:2022年10月19日 17:33
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