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ベリ高 後夜祭の巻1


大繁盛の内に終えたメイド喫茶の後片付けに、矢島が張り切っていた。
すっかりクラスメイト達に溶け込み、まるでクラス一の人気者のようにみんなに慕われている。
 お目当ての子のメアドを何とか聞きだそうとして
帰ろうとしない数組の客の相手も笑顔でこなしていた。

生来の人の良さのせいか、強引な客に押し切られ
「ぼ、僕のメアドだけで良かったら・・・」
などと自分の携帯を取り出してる始末だ。

厨房を一人で任されていた須藤が出てきて客を追い返さなかったら
“この世界での俺ら”にまで、メアドを教えてしまう所だった。

「す、須藤くん!助かったよ、ありがとう!えへへ!」
須藤がじっと矢島の顔を睨んで、
「成る程な」と呟いた。
「・・・?」と矢島が首を傾げて不思議そうに須藤の顔を覗き込んでいる。
(熊井じゃなくともコイツの頭は、何か叩きたくなるな・・・)

「ところで当店一番人気のアイツはどこ行ったんだ?」
「あ、熊井くんなら休憩に行くって・・・ついてくって言ったら叩かれちゃった!えへへ!」
須藤が矢島の頭頂部を見つめながら、拳を握りしめた。




ベリ高 後夜祭の巻2


屋上にメイド姿のまま大の字に寝転がり、熊井は今日かいた一生分の恥の事を思い出していた。
「んなああああああああッ!!」とか「うぎょおおおおおおおおおおッ!!!」とかの
悲鳴とも奇声ともつかぬ声を上げて涙ぐんでいた事は内緒だ。

「やっぱり此処かい、熊井くんw」
寝転がった熊井の頭の上から覗き込むようにして夏焼が現れる。

その声に目を上げる熊井。
角度的にその目に飛び込んできたのは・・・メイド姿の夏焼のスカートの中、
白い三角形が見えた。
「んぅわわッ!!!」
と、今日の恥にまた一つ追加になりそうな情けない声を出して熊井が跳び起きた。

「見たね?」夏焼がスカートを押さえながら妖艶な顔で笑う。
「見て・・・ない」熊井が熟す前のトマトの様な顔色に変わる。

「見た・・・でしょ?」夏焼が頬を少し赤らめて潤んだ瞳で更に問う。
「み・・・見てねーって!」トマトの色は食べ頃だった。
夏焼の演技のソレと違い、熊井の瞳が本当に潤んで来ている。

夏焼が熊井の懐にスイッと飛び込んできて、
「お嫁に・・・貰ってくれる?」
と人差し指を熊井の胸に当てて、その指をくるくると回しながら顔を見上げてきた。
「痛い!!」
夏焼が頭を押さえてしゃがみ込んだ。
「や、矢島くんって・・・石頭なんだねw驚いた!・・・えへへ!」

矢島の声色を真似た夏焼のセリフに熊井がもう一度、拳を握りしめた。




ベリ高 後夜祭の巻3


「おっと!」
熊井の殺気を感じ取った夏焼が、後方へ軽く跳躍する。
屋上の風の中での跳躍は、夏焼のミニスカートをひらりと捲りあげた。
「やァだ~!」
夏焼の黄色い悲鳴と露わになる美しい太ももに、さすがの熊井も目眩を覚えていた。
その隙を見逃さず、夏焼が再び懐に飛び込んでくる。
「ふふッ・・・」
妖しい笑顔で下から見上げるその笑顔は、熊井でなければ抱きしめてしまいたくなる程、
…美しかった。

「ところで、熊井くん?この後、ベリ高後夜祭恒例の肝試し大会があるんだけど。」

「きっ・・・!!」
熊井の顔色が変わったのを夏焼が見逃す筈がない。
「も、もういいだろ、夏焼・・・今日は疲れた・・・帰る。」
くるりと背を向けた熊井の表情を、夏焼が横から覗き込んでくる。
「アレー?アレレー?熊井くん?・・・ひょっとして・・・苦手?」

夏焼の視線から更に顔を背けるようにした熊井の首や耳が赤い。
「い、いりゃ疲れただけだ・・・帰る。」
熊井が言葉を噛んだ事にはあえて夏焼は触れずに、言葉を続ける。
「メイド姿の嗣永とペアでまわれるかも知れないよ?」

「!!!・・・いや、いい。・・・帰る。」

夏焼が満面の笑顔を浮かべた。
清水がこの場にいたら、あの明るかった頃の雅ですら見せなかったその表情に
腰を抜かしてしまうかもしれないような最上級の笑顔だった。

つづく。




ベリ高 後夜祭の巻4


「へー、へええー?・・・熊井くんにも苦手なモノがあったなんて!」
夏焼のこんなに嬉しそうな声を聞けるのは、
ひょっとすると世界中で熊井只一人なのかも知れない。
が、熊井本人にはひたすら迷惑な話でしかなかった。

(や・やっぱり蹴り殺して逃げるしかない・・・そうだ完全にそうしよう)
振り返りざまに蹴りを放つ熊井は、あの悪魔さえも恐れる表情に変わっていた。
恐ろしい蹴りが顔面に迫りながらも、夏焼が瞬き一つせずに言う。
「約束。」
その言葉を聞いた熊井の蹴りが夏焼の顔まで、あと数センチと言う所でピタリと止まる。
「覚えてるよね?熊井くん」
「あう・・・」熊井が情けない声を漏らした。
「僕は約束通り、嗣永のメイド姿を見せてあげたよね?
熊井くんも今日一日、文化祭にきっちり付き合ってくれないと・・・ね?」
「あう・・・」
「ごめんねww熊井くんwww・・・あ!あと、パンツ。見えてるよ?」
「あう・・・」
「お嫁に貰って欲しくなったら、いつでも言って来てね。熊井くんwww」
「あう・・・」




ベリ高 後夜祭の巻5


「矢島ァー!矢島いるかああぁ!!」
熊井の声が教室中に響き渡った。
もうすっかり後片付けのリーダーとして熱心に掃除をこなしていた矢島が顔を上げる。
「あ!熊井君!!」
熊井を見つけた時の矢島の美しすぎる笑顔にクラス中が頬を赤く染めた。

矢島がまだいる事を確認した熊井がホッとしたような表情でその首根っこを掴む。
「来い!矢島」
「う・・・うん!熊井君!えへへ!・・・ごめんね、みんな!」

クラスメイトA「あ、…矢島くん行っちゃった…」
B「あーあ…でもしょうがないよ…あの二人、お似合いだもん」
C「メイド姿だと二人とも信じられないくらい綺麗で本当にお似合いだよなー…」
D「メイド姿のまま、二人で何処行って…何するんだろ?」

「ソレは、きっとこうよ!『矢島、メイド服は脱がずに下着を下ろせ!』
『く、熊井君!…うん。ぼく…熊井君になら…』そして二人はデスネ・・・」

クラスメイトA「あんた誰?(…つかすげー美少女…)」
との問いかけにも答えようとはせず、突然教室のど真ん中に現れた美少女は延々と喋り続けた。
美少女の語る熊井と矢島の話に、クラス中の男子達がどんどん前屈みになっていく。

「あ・・・愛理!」厨房の片付けを終えて出てきた須藤がその美少女の名前を呼んだ。




ベリ高 後夜祭の巻6


使われていない教室に矢島を強引に連れ込んだ熊井が、後ろ手でドアをピタリと閉める。
その真剣な眼差しに、矢島が少し顔を赤くした。

「く、熊井君?・・・こんな所で・・なに?・・・あ!!
脱ぐ?脱ぐの?脱ぐよ!・・・痛い!!」
「・・・なに脱いでんだバカ」

「だ、だって熊井君…ここの処、僕には『脱げ!』『脱げ!』しか言ってくれないから・・・痛い!!」

「いいか矢島!」
熊井がメイド服の胸元をはだけた矢島の両腕を痛いほどに掴み、祈るような表情で言う。
「きょ、今日は絶対に俺の傍を離れるな。・・・ずっと俺と一緒にいるんだ。良いな?」

熊井の言葉をポカンとしたような表情で聞いていた矢島の顔が、見る見る赤く染まってゆく。

「・・・うん!熊井君!・・・えへへ!」
嬉しそうに矢島が抱きついてきた。
腰に手を回し、胸元に顔をうずめて動かない。
「な、何してんだ・・・」
「離れない!ずっと一緒!えへへ!・・・痛い!!」