(04)194 『黄昏のDR.マルシェ』



「今年の風邪はたちが悪い」

冬になればテレビで風物詩のように聞く台詞である。
それでも今年は異常な位だった。
町のあちこちでマスクをする人が増え、全国各地の学校では学級閉鎖が相次いでいた。

リゾナンターのメンバーもご他聞に漏れず、メンバーの何名かは寝込んでいる状況だ。

「ただいま~。ってみんな具合はどう?」
道重は「本日休業」の札の掲げられた店内へ入っていく。
店内には光井しかおらず、閑散としている。
「ああ、道重さん。・・・相変わらずですわ・・・」
「みんなまだ回復してないんだ。」
「ええ・・・リーダーも咳が止まりませんし、田中さんも熱が相変わらず39度近くあります。」
「そう・・・」
道重はふう、と軽くため息をつくとカバンを置いて厨房へ入っていった。

「今、とりあえず皆さんの分のおかゆが出来たんで、持って行こうかと・・・」
「あ、さゆみも手伝うよ。」
二人は人数分のおかゆをお盆に乗せ、2階へ向かった。


2階では聞こえてくる咳や鼻水をすする音が、現状の悲惨さを表している。
「おかゆ持って来たよ~。」
道重は部屋に入るなり極力明るい声を出した。
そうでもしないと自分まで暗くなってしまいそうな雰囲気だったからだ。

「ああ、さゆ来てたんや・・・ゴホッ!ゴホッ!」
高橋が迎えの声を上げるが既に辛そうだ。

「リーダー大丈夫ですか?あんまり無理して喋らない方が良いですよ。」
「ああ・・・そうするがし・・・」
この部屋で寝込んでいるのは高橋、新垣、田中、久住の4人だ。

ジュンジュンとリンリンはバイト先の中華料理屋に住み込んでいるが、
ジュンジュンから聞いた話ではリンリンも風邪でダウンしているらしい。

「みっつぃー、リンリンはどうなのかなあ?」
「ジュンジュンからさっきメールが来ましたけど、芳しくないようですね。」
「そうなんだ・・・」
「『バナナしか食べられない』って言ってました。」
「『食べさせてない』の間違いじゃないの?」
道重はそう言い放つと、田中のベッドの近くに寄って行った。


田中は、氷枕を頭に当て、赤い顔をしながら肩で息をしている。
「れいな、具合はどう?」
「ああ・・・最悪やけん・・・目の前がグルグル回りよう・・・」
「おかゆ・・・食べられそう?」
「無理っぽい・・・何も胃に入れたくないけん・・・」
「でも何か食べないと持たないよ?」
「それはわかっとうけど・・・」
いつもの元気さがウソのように田中には覇気が無い。

「じゃあ、さゆみが何か食べられそうなもの作ってあげようか?」
「・・・やめとく・・・戦いで死ぬならともかく、味方の差し入れで死ぬなんてみっともないけん。」
「どういう意味よ!」
「どうも無いっちゃよ。」
道重の田中の言い合いが始まろうとした時
「ウルサイ・・・ズー。頭に響くから、ズー、大声出さないで、ズー。」
隣の新垣から抑止の言葉が入る。
尤もその言葉の端々に鼻をすする音が入る以上、新垣も似たような体の具合なのだが。

「道重さんはなんとも無いんですか?」
おかゆを配り終えた光井が田中の氷枕を変えながら話す。

「うん。さゆみはなんとも。みっつぃーは?」
「アタシも今の所は・・・でもみんな急に来ましたから油断は出来ませんね。」
ふうん、と軽く頷いた後、道重は立ち上がった。

「ごめん。さゆみ、絵里の所に行ってくる。」
「はい。気をつけて下さいね。」


30分後、亀井の入院している病院から出てきた道重の表情は暗かった。
訪れた亀井の病室に貼ってあったのは「面会謝絶」の札だった。

不安で看護婦に食って掛かる勢いの道重を落ち着かせ、看護婦は

亀井が風邪を引いた事
現段階では命に別状があるわけではないが、外部からの滅菌をする為に面会謝絶にしている事
但しこのまま長引けば、心臓に負担がかかってしまう可能性がある事

を伝えた。

はあっ、と大きくため息をついた後、道重は誰にとも無く呟く。
「あ~あ、さゆみの能力でみんな治せたら早いんだろうけどなあ・・・」
道重の持っている「治癒能力」では戦闘で負った傷等の外傷は治せるが、風邪を治すような内科的な治療は出来ない。

「こういう時、無力感を感じるよね。」
道重の独り言が終わりかけた時、病院のロビーでは丁度ニュースが報道されていた。

「現在蔓延しているウイルスですが、明確な対処法が無く、このまま長引く事が予想されます。」
アナウンサーは沈痛な面持ちで原稿を読み上げる。
「又、今回のウイルスにより死亡した方が今日現在で3名おられます。
 明確な予防法は無いのですが、帰ったらうがい、手洗いをしっかりして頂くようにお願い致します。」
小学校の先生じゃないんだから、と道重は思いつつ病院を後にした。


いつもの喫茶店へ戻ろうとタクシーに乗り込んだ道重は運転手も大きなマスクをしているのに気付く。
「運転手さんも風邪なんですか?」
「ええ、まだ症状は軽いんですがね。他の社員がみんな休んじゃってるんで出勤しないわけには・・・」
年老いた運転手はそう告げるとメーターを「賃走」に切り替える。

「何かすごいですよね。今年の風邪は。」
メールを打っている道重に運転手が語りかける。
「ええ、私の友達も何人か風邪引いちゃったんです。大変なんですよ、看病が。」
「私の家もねえ、家内と娘がかかっちゃいまして。今はおとなしく家で寝させてますが。」
そうなんですか、と道重は軽く相槌を打つ。

「うちの会社じゃどっかの国の細菌兵器なんかじゃないかって話が出てる位ですよ。」
「細菌兵器?」
「そう。どっかの国が攻めてくる為に風邪のウイルスを撒き散らしてるんじゃないかって。」
「・・・」
道重の顔色が変わる。確かに風邪の度合いがひどすぎる。
これがダークネスの企みの一つだとしたら?
現実問題として、今、リゾナンターのメンバーの三分の二が戦力外となっている状況だ。
この状況で何か起きれば防ぎようが無い。

「ま、考えが飛躍しすぎだと思いますがね。・・・とお客さんココで良いんでしたっけ?」
タクシーは「リゾナント」の前で止まる。
上の空の道重につり銭を渡した後、タクシーはすぐに走り出していった。
「お大事に」って言ってあげればよかったな、と軽く後悔の念を抱きながら、道重は店内に入った。


「みっつぃーも!?」
「リゾナント」に戻った道重は報告に対し驚愕の声を上げた。
どうやら、光井も風邪を引いたらしい。
ただの看病疲れですよ、と光井は言っていたが明らかに赤い顔をしていた。

この現状は先ほどの道重の不安をますます加速させる事となった。
(いくらなんでも異常な気がする・・・)
(ダークネスの仕業?だとしたらなんとしても阻止しなきゃ!)
(でもどうやって?)
(どこに拠点があるのかもわからない・・・)
色々な考えが頭をよぎるが今一つ解決策が思いつかない。
他のメンバーが眠りに付いたのを確認して、道重は階下へ下りていった。

好きなハーブティを淹れ、道重は一人店内で考えていた。
もしこの状況がダークネスの仕業だとしたら・・・
道重はメンバーの中でも頭の回転は速いほうだ。

ハーブの香りが道重の頭のフル回転させる。
やがて彼女は一つの結論を出した。
一番高い可能性を持つ結論。そして一番信じたくない結論。


おもむろに道重は携帯電話を出すと、メールを打ち始めた。

to:ジュンジュン
件名:今の状態について
本文:さゆみにちょっと考えがあるの。それを確かめたいからジュンジュンはこっちでみんなの様子を見ててくれる?
リンリンのこともあるから大変だと思うけどお願いできないかな?

敢えて電話で伝えなかったのは、皆を起こしたくないという気持ちと、今出てる結論を口に出したくなかったからだ。

ジュンジュンからは程なくして返事が来た。

from:ジュンジュン
件名:Re:今の状態について
本文:わかりました。道重。でも無理はしないで下さい。

丁寧なのか無礼なのか、よくわからないメールに道重は軽く笑うと、手早く返信を打った。

to:ジュンジュン
件名:Re:Re:今の状態について
本文:大丈夫。危険になったらすぐに逃げるから。道重「さん」より

ジュンジュンからの謝罪メールが届いた時、道重は既にタクシーに乗り込んでいた。


2時間後、道重が立っていたのは一軒の建物の前だった。
いや、「建物」とは既に言いがたい。どちらかといえば「廃墟」といった感じがしっくり来る。
家の塗装は剥げかけているし、まともな窓ガラスは一枚も無い。
辺りに無造作に生えている木々が廃墟を一層際立たせている。
「しばらく来ないうちにだいぶオンボロになっちゃたなあ~。」

道重は感慨深く呟いた。ココに最後に立ち寄ったのはだいぶ昔の事だが、今でもはっきり覚えている。

道重は多少躊躇したが、意を決してドアノブに手を掛けた。

ガチャ。金属の錆付く音が軽くした後、ツン、と道重の鼻を薬品臭がつく。
あまり好きな臭いではない。

中に入るとその臭いは一層激しさを増した。
道重は手で口元を押さえると、奥へ入り込んだ。

廃墟の中に人影と呼べるものを見出す事はできなかったが、
奥にあったのは真新しい実験器具となにやら用途不明の機械だった。

それぞれの存在が、今さっきまで人が居たことを証明していた。
道重は自分の予想が半分は当たっていたことを実感した。
今回のウイルスの発生源はこの建物、もっと言えば目の前の機械だ。

どうやら稼動しているであろう機械を目の前に、道重は見回してみるが、どこをどうすれば機械が停止するのかは皆目見当が付かない。
変に弄くって余計な事になっては元も子もない。
「無理に壊すわけにもいかないし・・・」
「機械を止めるには右の赤いスイッチ。2秒以上長押ししたら強制停止するよ。」

不意に聞こえた声に道重は慌てて振り返る。
そこに立っていたのは白衣を着用し、眼鏡をかけた女だった。


「ココに来たのはやっぱりさゆだったんだね。」
白衣の女はそう言うと、躊躇うことなく部屋に入り込んできた。

「ご無沙汰してます・・・っていう挨拶の方が良いんでしょうか?」
道重も女の正体には対して驚くことなく真っ直ぐに女を見つめる。

「こん・・・いや、今はDR.マルシェでしたっけ?」
「そう。そして今は貴女たちリゾナンターの敵、ダークネスの一員でもある。」

一番高い可能性を持つ結論
そして一番信じたくない結論
しかしそれは現実のことだった。

道重の目の前にいたのはかつての盟友、紺野あさ美だった。


紺野は道重が入隊した時、既にリゾナンターの一員だった。
道重と同じ治癒能力を持っていたが、その力は道重を遥かに凌駕していた。
道重が大量のエネルギーを使って治癒するほどの怪我を、紺野はいとも簡単にやってのけた。
その頃の道重が持っていなかった「遠隔治癒」の能力も紺野は持っていた。

だが、ある日突如として紺野はリゾンナンターを抜けた。
その原因は高橋や新垣も知らなかった。
だから突如としていなくなった彼女が1年後、ダークネスの一員として活動している事を聞いた時、
道重は信じられなかった。

しかし、今実際に目の前に立っているのはリゾナンターの紺野ではなく、ダークネスのDR.マルシェだ。
「なんで・・・」
道重の問いに対し紺野は冷静な回答を返した。
「『なんで』?何が?」


自分は何の回答が欲しいんだろう?

細菌兵器を発動させた理由?
リゾナンターを裏切ってダークネスに付いた理由?
ここに来た理由?

いろいろな事が頭を巡る。

紺野はそんな道重を観た後、軽く微笑んだ。
「さゆは何でココに来たの?」
「この状況がダークネスの仕業じゃないかって思った時、紺野さんの事を思い出したんです。
紺野さんが一番来そうな場所はココでしたから。」
「そっか。さゆにとっては忘れられない場所だもんね。」

この古ぼけた建物。それは紺野がリゾナンターを抜ける前日、道重に対して能力の伝授を行った場所だった。
あれ以来、道重の能力は格段に上がった。
治癒力は紺野に匹敵するほどになったし、「遠隔治癒」も可能になった。

もし、紺野が今回の原因ならば、リゾナンターとして最後にいた場所に来ると考えた。
道重の予想は当たっていた。
心の奥で当たっていて欲しくなかっただけに道重は少なからずショックを受けていた。


「さゆがここを見つけるって事はやっぱり私とさゆって似てるんだね。」
紺野の微笑みとは対照的に道重は険しい顔で応える。
「紺野さんは昔から私と似てるって言い張りますけど。」
「え?嫌なの?」
「私はメンバーを裏切ってダークネスにつく様な真似はしません。」
「・・・」
「どうして・・・いてくれなかったんですか?どうしてダークネスについちゃったんですか?」
道重は今にも泣きそうな顔で紺野を攻める。

「ごめん。その問いに対しては答えられないよ。」
「私は紺野さんにいて欲しかったんです。」
「さゆ、昔話はこれ位にしよう。それに今は『DR.マルシェ』だよ。だから・・・」
紺野の表情から微笑みが消えた。
それと同時に白衣のポケットから試験管を取り出した。
そこに入っていた液体は無色透明だが、何らかの危険性をはらんでいる事は容易に想像ができた。

「ここでさゆを殺さなきゃいけない。」


DR.マルシェの投げつけた試験管の中身は劇薬だった。
とっさに顔を庇って被弾した道重の右腕からは強烈な薬品臭と肉の焦げる嫌な臭いがした。
痛みに耐え切れず、片膝を付く。

道重は激痛に顔をゆがめながらも、すぐに治癒能力を使った。
ピンク色の光と共に、道重の傷が塞がっていった。

「強くなったんだね、さゆ。昔はそれ位の傷を治すのに大分時間かかってたのに。」
DR.マルシェの呟きに対し、道重は無言で相手を見つめた。

もはや、目の前にいるのは「紺野さん」ではなく「DR.マルシェ」なんだ。
頭の中でそう納得すると道重は立ち上がり、DR.マルシェを見据えた。
「むざむざと殺されるわけにはいきません。こっちも本気で行きます、DR.マルシェ。」


とはいえ、道重の能力は治癒能力であり、戦闘向きではない。
その上、道重はリゾナンター内では最も体術を不得手としている。
戦って勝てる要素は皆無だった。

次々と劇薬を被弾し、それの回復に追われる道重。
既に10分が経過していたが、道重の気力は尽きかけていた。

貧血にも似た症状を起こし、道重は倒れそうになるのをかろうじて堪えた。
「気力不足だね。」

攻撃の手を休めたDR.マルシェはそう言うと胸ポケットから今までとは違う武器を取り出した。

―短刀
今までとは違い直接的に殺しに来ている。

「元々治癒能力っていうのは人間が元々持っている生命力、それを促進させる能力なんだよね。」
DR.マルシェは右手に短刀を持ち替えながら、道重との距離を縮めていく。

「本来怪我をしても人間は勝手に治っていく。そういった成長力とか生命力を能力で異常促進させる・・・そんな能力なんだよ。」
道重はDR.マルシェの言葉を聞きながら、道重は耐え切れず再び片膝を付いた。
しかし、真っ直ぐにDR.マルシェを見つめる道重の目には「あきらめ」という言葉を見出す事はできなかった。

「その目・・・まだ諦めてないんだね。でも結果は見えちゃってるんだよ。」
DR.マルシェは道重を見下ろすと短刀を振りかぶり、一気に右手を振り下ろした。

「残念だよ。さゆ。」


一瞬の後―
刃は道重には突き刺さっていなかった。

その代わり、といって良いのだろうか。
DR.マルシェの右肩には道重の爪が刺さっていた。

道重の左手から異常に伸びた爪。
それはDR.マルシェの右肩を貫通し、白衣を赤く染めていた。

「・・・っつ!まさか・・・こんな事が出来るとはね・・・」
DR.マルシェは苦悶の表情と共に道重との距離を開けた。
同時に右肩を貫いていた爪は急激に短くなり、道重の爪は元通りとなった。

「貴女のお陰です。DR.マルシェ。」
道重は肩で息をしながら答えた。

「成長力の異常促進・・・それがさゆみの能力なら、その能力を一点に集中させればどうなるか・・・」
道重は自分の最後の気力を全て自分の左爪に注ぎ込んだ。
成長力を異常促進された爪は急激に伸び、狙い通りに相手の肩を貫いたのだ。

「一か八かの賭けでしたけど。」
道重はそう言うと壁に持たれかかる様に立ち上がった。


一矢報いる事ができたものの、油断は出来なかった。
相手はあのDR.マルシェである。
リゾナンター時代に培った治癒能力。
それを使えば、今道重が与えた傷など一瞬で回復させられるだろう。

しかし、DR.マルシェは傷を抑えたまま、一向に回復する気配は無かった。
「回復するかも、って思ってるでしょ・・・出来ないんだ。」
「出来ない!?」
「私はね、『こっち』側についたときから、もう治癒能力なんて無くしちゃったんだよ・・・」
「・・・」
「この場は知力及ばず。私の負け。」
放たれたセリフと表情は既に「DR.マルシェ」では無かった。


「さゆ・・・ガキさんは元気?」
突然のセリフに道重は困惑しながらも答えた。
「新垣さんは・・・ええ。私たちの大事な仲間です。」
「そう・・・なら良かった。これからも・・・大事にしてあげてね・・・」
「どういう・・・意味ですか?」
紺野はそれに答えることなく微笑むと、傷口を押さえていた手を離し、ポケットから丸い球のようなものを取り出した。

それを紺野が床にぶつけた途端、球は煙のようなものを生み出し、紺野の姿はあっという間に見えなくなった。
「紺野さん!」
道重は恐らく逃げるであろう紺野を追う気力も無く、ただ叫ぶことしか出来なかった。

視界がはっきりしたと同時に、道重は尻餅をついた。
「ふうっ!」
大きなため息と共に道重の体を疲労感が襲う。

何とか壁に捕まりながら立ち上がると、道重は今回の元凶である機械の停止スイッチを押した。
(これで大丈夫なはず・・・)


(紺野さん・・・何でダークネスについちゃったんだろう・・・)
(そういえば・・・紺野さんは何故さゆみに能力のヒントを与えるような事を言ったんだろう?)
(それに・・・新垣さんの事を気にしてた・・・)
(新垣さんが元ダークネスだったことはさゆみだって知ってる・・・新垣さん自身は言ってないけど。)
(そういえば最近新垣さんへの襲撃が減ってる気がする・・・)
(襲撃が減ったのは・・・紺野さんがDR.マルシェになったって言う噂を聞いて以来・・・)
(ひょっとすると紺野さんは・・・新垣さんの為に・・・)

道重の頭の中に紺野の顔が浮かんでくる。
その表情は「DR.マルシェ」ではなく「リゾナンター」の顔であった。

(全ては仮説に過ぎない・・・だから、もう一度紺野さんに会って真相を聞こう。)

道重はそう決心すると廃墟を後にし、「リゾナント」へ向かった。
メンバーには看病した恩をたっぷり着せてやろうと思いながら。
























最終更新:2012年11月23日 21:35