(14)182 名無しじゃないやい



あの日世界に絶望した瞬間から
闇はもう私の一部と化しいつしか私自身となった

思えば闇はいつでも私のすぐ傍にあり
星のような小さな光を掲げていた私をいつも包み込もうとしていた

闇と化した私にはどんな言葉も届かない
そこにあったはずの光はもう潰えて

闇は光と対立する概念ではなく
光の存在の前提としてそこにあるのが闇なのだと
闇自身になった今そう想う

闇は恐ろしいものだと光を掲げていた頃は思っていた
だがそれは間違いだった
強い絶対的な力を持ちながら人を包み込む優しさを持つ
闇は原初
すなわち、全てを包み込む母なる存在



―――全ての者に告ぐ、闇に還りなさい。





















最終更新:2012年12月02日 11:18