(24)496 『絶対解ける問題 X=『A』』



 >本部メインホストからの脳量子波インフォメーション通知
 >受信

20090228 0:23 「R」、抵抗組織「リゾナンター」に敗北。回収班により回収。

 >交戦記録閲覧>動画表示

 >モニター中・・・

交戦記録からの警戒度の推測

銭淋:警戒度B
李純:警戒度B
光井愛佳:警戒度C
久住小春:警戒度C。但し、過去交戦記録からの推測は警戒度A
田中れいな:単体では警戒度C。共鳴増幅能力により他能力者の能力を向上させる為、実質警戒度はA+
道重さゆみ:本交戦記録からは推測不可能。但し、過去交戦記録からの推測は警戒度D
道重さえみ:本交戦記録には登場せず。但し、過去交戦記録からの推測は警戒度S
亀井絵里:警戒度B
新垣里沙:警戒度C
高橋愛(i914):本交戦記録からは推測不可能。過去開発記録から推測・・・


過去開発記録閲覧
開発コード:i914
特性:物質の光子化、光子コントロール、リーディング
19860914 関西エリアFブロックラボにて製造。コード付与。
 ・・・
 ・・・
19910425 実験中に暴走事故を起こす。この事故によりFブロックラボは消滅。
     生存者無し。i914は脱走。

 >閲覧「Fブロックラボ消滅事故記録」
状況:建造物、設備、器物、研究員、他の被験体、全てが光子化により消滅
推測原因:i914への過剰洗脳。
 ・・・
 ・・・
「i914を止められるのはお前しか居ない・・・やってくれるな、アヤ」
「お父さ

 >システムに問題発生。開発記録閲覧を強制終了します

 >再起動
 >交戦記録、警戒度推測のDB反映
 >反映中・・・


20090301 20:40
 >本部メインホストからの脳量子波通信(指令:優先度S)
 >受信

ミッション:抵抗組織「リゾナンター」構成員の捕獲
1stターゲット:李純、銭淋

 >戦略衛星システム接続
 >接続中・・・
 >住所データのGPS情報から捜索範囲確定
 >捜索中・・・
 >李純、銭淋の現所在確認
 >所在データインプット
 >李純、銭淋の現所在地までの予想到達時刻・・・20090301 21:33

 >思考回路を戦闘モードに切替
 >System「A」起動

ミッションスタート



起動中は、わずかに思考を許される。
ミッションの遂行にはインプットだけでは不足で、思考が必要とされる為だ。
ミッション中、わずかに思考を許された中で、いつも考える。
私は誰なのか?私の存在意義は何なのか?

 >システムに問題発生。思考修正。
 >コードネーム「A」
 >存在意義:ダークネスの離反者、抵抗組織の処罰、殲滅

そう、私は「A」。ダークネスの粛清人。行き着く答えはいつも同じだ。
それ以外の答えや意味は必要ない。必要ないのだ。
ナノマシン細胞もそう言っている。

 >目的地への最短到達手段検索・・・完了
 >コード、3821入力
 >ジェットストライカー、S区地下ラボより発進・・・間もなく現在地到着


「マルシェ様、緊急事態です!」
(ふぅ・・・めんどくさいなぁ)
研究に没頭したいところだが、アラート通信とあれば無視できない。
私は研究責任者であって司令官ではない、と本部には何度も上奏しているのに・・・
一応、髪を整えマルシェはモニターに向かった。

「はいはい、何事ですか?」
「ドックから新兵器のジェットストライカーが無人で発進しました!」
「あぁ、アレには脳量子波コントロール装置が搭載されています。
 おそらくは『A』が呼び出したのでしょう」
「脳量子波・・・それは一体何なのですか?」
「ほほう、『A』の出撃についてではなく脳量子波に興味を持つとは
 下級兵にしては見どころがありますねぇ。ではまず基礎理論ですが○×△#・・・」
「いえ、結構です。失礼しました!」

慌てて通信を切る下級兵。
マルシェの長講釈はS区地下のダークネス秘密ラボ内では有名なのだ。

「人に訊ねておいて結構ですとは何ですか!まぁいいでしょう、今度ゆっくり説明してあげます」

気を取り直してマルシェは再びデスクに向かい、お気に入りのスイーツに使うマンゴーの糖度を上げる研究を始めた。




















最終更新:2012年12月02日 08:31