(20)046 名無し募集中。。。 (大切な人)



「ガキんちょもバカだねえ。 どこに逃げたってダークネスから逃れられるはずがないだろう。」

そんなことは判っている。
私がリゾナントを遠く離れたこの土地に来たのは、私へ差し向けられる組織の処刑人の魔の手からあの子達を少しでも遠ざけたかったから。
相討ち覚悟なら、一人ぐらいは倒せると思ってたけど。

「上の連中からは前非を悔いて、戻ってこないか意思確認をしろって言われてきたけど、聞くだけ無駄だよね。だから殺してあげる。 ゆっくりと時間をかけて、惨くね」

氷の魔女が私の唇に自分の唇を重ねてきた。
体温が急激に下がっていくのを感じる。 身体の内側から凍っていく、呼吸が困難になっていく。
それはひどく残酷な処刑のやり方だったけど、仲間に別れを告げる時間が与えてくれた氷の魔女に感謝した。

愛佳は強くなったよね、リンリンのギャグは寒かったけど心は暖まったよ。
ジュンジュンの歌をもう一度聞きたかったな、小春はきらりを頑張りなよ。
れいなはもうちょっと素直に自分を出していい、さゆは私に代わって愛ちゃんをサポートしたげて。
それと亀、本当は私のほうがあんたに助けられてたんだよ。

(何でや) この声は…幻聴よね。
(里沙ちゃんは何で皆の名前ばっかり呼んで、あーしのことを呼んでくれんのや) それはね…
(あーしのことが嫌いになったから、リゾナンターをやめる言うたんか) 違うんだ、愛ちゃん。
私が愛ちゃんの名前を呼ばなかったのは、いちばん大切な人の名は私の人生が終わるその瞬間に口にしていたいって決めていたから。

(それやったらええけど、ガキさん人生が終わるんか) うん、もうすぐみたいだよ、だから愛…
「それやったら呼ばんでいい。 あっしが里沙ちゃんを助けるから」
「うわぁーーーっ」

至近距離から光を浴びせられた氷の魔女が苦悶の表情と共に身体を四散させていく。
漆黒の闇が消えた後には、私のいちばん大切な人が泣きそうな顔をしてそこに立っていた。





















最終更新:2012年11月27日 08:55