(19)284 『笑う折鶴』



「キャハハハ、汚物は消毒だぁー」

女は楽しげに笑いながら兵士の所持していたマシンガンを手にすると店の窓を乱射し始めた。
店の名は喫茶リゾナント。
ダークネス政府に対する反逆者、リゾナンター達のアジト。

新垣里沙を奪還する為に、リゾナンターがダークネスの本拠に強襲をかけている間に、ダークネス別働隊は国会を占拠した。
マインドコントロールされた議員達は、次々とダークネスを合法化する法案を成立させた。
リゾナンターとの決戦の為に、本拠地に召集されていた能力者の多くは倒れ傷ついたが、元々戦闘能力を
高くは買われてなかった女は、別働隊の指揮を任されていたこともあって、無傷のままだった。
そして今女はずっと自分を痛い目に合わせて来たリゾナンター達の大事な場所を蹂躙しようとしている。

「お前だな。 最初は月島きらりの追っかけで、リゾナントの客になったのに、そのうち亀井とかいう奴に熱を上げたのは、この浮気者が」
「そんなの勝手だろ。 それより僕達をどうするつもりだ」

リゾナントの前には常連客十数名が拘束されている。

「お前らは国家への反逆者リゾナンターの支援者として拘束されている。
おめーらが生きるも死ぬもオイラ次第。 口の聞き方には注意しろ、あん」

年下の高校生に悪態をついた女の目が邪な光で輝いた。

「お前らにチャンスをやる。 解放されたいやつは自分の手で自分の大好きだったリゾナントを壊せ。」
「…このドチビ」

自分の気にしていたことを口にされて逆上した女は、高校生目がけて銃を乱射した。
高校生は着弾の衝撃で倒れてしまった、が血は流れない。

(え、やべ。 傷の共有かよ)
周囲を見回した女は、自分が連れてきた兵士達が、全員地面に倒れ伏している光景を目にした。
次の瞬間、体中に着弾の衝撃を受けて女は倒れてしまった。
仰向けに倒れた女を嘲笑うように、折鶴が待っていた、ひらひらと。  以上(駅からホゼナント)





















最終更新:2012年11月27日 00:42