(16)269 『共鳴修学旅行~リゾナンター古都散策~ 』



共鳴修学旅行~リゾナンター古都散策~


リゾナンター達を乗せた新幹線は無事、京都駅に到着
駅前に停められた観光バスにゾロゾロと乗り込む3組の面々とリゾナンター達

「れな、車酔いするけん一番うしろー!」
「絵里ちゃんも眠いからうしろに行きますよ」
「絵里?!まだ寝るつもり?いい加減寝過ぎだと思うの!」
「ナンダ?一番ウシロだとナニカ良いコトあるノカ?」
「後ろはね、クラスの偉い人が座るの!だから小春達も座るのー!」
「ジュンジュンもクスミさんも行くダッタラ、ワタシも行ク!」
「コラー!アンタ達!勝手に座らなーい!」
「里沙ちゃん里沙ちゃん!見てみぃ!京都駅えれーデケーで!」
「愛ちゃん…」

大人気なくバスの後方を占拠したリゾナンター達
そのしわ寄せは確実に現れていた
当初使うはずではなかった補助席がすべて使用され、何の罪もない
クラスメート達が最初の目的地まで揺られる事となった




━一行は由緒正しき著名な寺に到着

「寺や!寺!歴史感じるわ!」
「愛ちゃんのテンションが俄然強めですよ。ウヘへ~」
「ニイガキ。寺バナナとカ売ってナイのカ?」
「寺バナナ?何よそれ?」
「ニガキさん!トウキョバナナとカそーゆーヤツですヨ!」
「ある訳ないでしょーがっ!!何でもバナナに結び付けんじゃないわよっ!」
「モウ…ニイガキはイッツモ怒ル…」
「ジュンジュン…新垣さんの怒りは愛のムチやで…」

「あーっ!おみくじがありますよ!小春ひきまーす!」
「さゆみも~」
「絵里も~」
「やったー!小春、大吉ですーーーっ!」
「ッ!!…さゆみは……」
「さゆ?どうしたと?」
「さゆみは…“微吉”…ってなに?」
「…“微妙”な“吉”…ってことやなかと?」
「絵里の…絵里のなんか、もっとスゴい事になってますよ…ウヘ」
「すごいってなんね?」
「“絶凶”…ですよ」
「……“絶対”に“凶”…ってことかいな…」
「……“壮絶”な“凶”…ってことかもしれないの…」

    ………。

リゾナンター達は絵里が引いた“絶凶”おみくじを囲んで
しばらく絶句したまま立ちすくんでいた…


「そんなおみくじ聞いた事あらへんし…何かの間違い…ハッ!!」

愛佳が沈黙を破ったと同時にリゾナンター全員が周りの異変を感じた
素早く戦闘態勢を取るリゾナンター達
先程まで晴れ渡っていた青空には暗雲が立ち込め、
穏やかに流れていた風は激しく落ち葉を舞い上がらせる
カラスがやかましく鳴き声を響かせると、
寺の本堂の扉が耳障りな音を撒き散らしながらゆっくりと開いた

『ようこそリゾナンターよ…』

この世の者ではない様な、地の底から響くしわがれた声

「何者やっ?!」

本堂の奥からゆっくりと姿を現したのは真っ黒の袈裟を纏った僧侶だった

「まさか…ダークネスの手先っ?!」
『フッフッフッ…如何にも…』
「…おかしい…」

里沙は他のメンバーには悟られないように首を傾げる
ダークネスから襲撃の連絡は来ていなかったはずなのに…
しかし、目の前に現れた僧侶からはダークネス特有の禍々しい気を感じる

『フハハハハ…怖じけついて体が動かぬか!リゾナンターも大した事ないのぉ!』


「なにぃ?!舐めとると痛い目を見るのはそっちっちゃよ!!」

僧侶の挑発にまんまと乗ったのはれいな
れいなは地を蹴って、僧侶に一直線に飛びかかろうとした、その時

「田中さん!あきません!」

何かが視えた愛佳が声を上げ、
その声を受けたジュンジュンがれいなの襟首を掴んで制止した

「ぐぇっ!!ッ…ゲホッ…ジュンジュン!止めるならもうちょっと優しく…」
「タナカ動キ早イ。ダカラ優しクはムリ!」
「で、愛佳なんや?何が視えたんや?」

先頭に立ち真っ直ぐ前を見据えながら愛は愛佳に問掛ける

「敵さんは…あの人ひとりやないみたいですわ…」
「確かに…あの人の後ろからも別の気を感じるの」
『フフフ…流石リゾナンター…馬鹿ばかりではない様だな』
「あー!バカって言った!小春の事バカって言った!」
「小春!静かにせぃ!アホ!」
「あー!リーダーまでアホって言った!」
「クスミさん落チ着ク!」
『ならば我々の力をお見せしようではないか!』
「来るっ?!全員固まって!!」

敵の正体がわからぬままの攻撃宣言に備え、愛が叫ぶ
それに従い8人はフォーメーションを固め、身構えた


大きな地響きと共に本堂の扉の向こう側からリゾナンター達の前に
姿を現したのは鬼の形相をした仏像が二体
宝棒を振り回しながらこちらに襲いかかって来た

ェェェエエエ川*’∀’)・e・)^ー^)・ 。.・)` ロ´)´ゥ`リ´┴`)・_o・)^A^)エエエェェェ



      。o゚
ウーン川;´┴`) ブツゾウガテキトカ…ガOツデスヤン…

「みっつぃーがうなされてるの…」
「変な夢でも見とるんやない?」
「アンタ達が愛佳に余計な心配かけるからでしょーが!」
「あれや!愛佳は今日の修学旅行が楽しみ過ぎて昨日、よぅ寝れんかったんやろ」
「愛ちゃん、違うから」





。oO

「リンリン!まずはアイツらの動きを止めて!」
「リョウカイデス!」

リンリンの返事と同時にリゾナンター達と仏像の間、横一文字に緑炎が走る
仏像はいきなり立ち昇った炎に怯む
追い討ちをかけるように絵里の風で勢いが増した緑炎が仏像に襲いかかる

「ジュンジュン!行くと!」
「ワタシミギ!タナカヒダリ!」

れいなとジュンジュンが息を合わせ、緑炎を飛び越えて攻撃を仕掛ける
ジュンジュンは自身の右手を獣化させ、その鋭い爪で仏像の右手を削り落とす
仏像の動きが一瞬止まった隙を見逃さず追撃
ジュンジュンの爪は仏像の腹部を派手にえぐり取った
大きな音をたてて崩れ落ちる仏像

れいなはもう一体の仏像との距離を素早く詰め、宝棒を奪い取った

「おっ…と…意外と重いっちゃね、これ」

軽口を叩きながら頭の上で宝棒を数回転

「れーな孫悟空みたい!」
「喰らえ!れいな様の棒捌き!」

れいなは自分の身長よりも長い宝棒を華麗に振り回しながら
仏像の関節部分へ的確に打撃を与え、確実に仏像の動きは鈍くなる
完全にその動きが止まった所でさえみの登場


「跡形残らず…崩れなさい」

桃色の光が仏像を包み込み、光が消えた後には
腐りきった木片が山の様に積み上げられているだけだった

『なっ…くっ…糞がっ!!』
「これで終りや…観念しぃや!」

狼狽する僧侶に向かって愛が掌をかざす

『こうなったら総力戦じゃ!いでよ!』

顔面蒼白の僧侶の叫びと共に消えかけていた禍々しい気が増殖する
本堂の暗闇から現れたのは先程の二体の仏像には及ばないものの
普通の人間の身長よりは大きい、十数体の仏像

「ちょっと!なによ?数が多いわよ!」

予想外の反撃に慌てる里沙
『オン ベイシラマナヤ ソワカ!』

僧侶が妖しげな呪文を口の中で唱えるとその邪気がますます強くなる

「これは!密教の真言!危険です!下がって!」

愛佳がその危険性をいち早く察して警告する
が、ただ一人喜々としてテンションを上げるリゾナンターが居た…



「コレ!マンガで見ましタ!初メテ生デ聞キましタ!」
「ちょリンリン…そんな事言うてる場合やない…」
「ワタシ、似タようなノできマス!」
「すごーい!リンリンすごーい!見たい見たい!」
「ちょ!小春!リンリンを煽らない!」
「イイですヨー見てテくだサーイ」

リンリンはスッと真剣な表情になったかと思うと
両手を胸の前で組み合わせた

「臨兵闘者皆陣列在前!」
「エェェ?!なんでぇぇ~?!!!」
「ハァッ!!」

素早く組み替えた印を気合いと共に解き放つと
先程とは比べ物にならない緑炎が龍の姿に形を変え仏像群に襲いかる
断末魔の叫びを上げながら仏像は全て燃え尽きた

「ウッソ!ウソ!ウソ!ウッソ~!リンリンがなんでそんなのできるの?!」
『クッ…まだまだぁ!』

黒い僧侶は手にした数珠を振り上げて尚も喰い下がる
またも本堂の奥からは十数体の仏像が這い出て来る




      。o゚
ウーン川;;´┴`) クスミサン…ムチャシスギデスッテ…

「アハ!みっつぃーってば小春の夢見てるー!」


悪夢にうなされる愛佳とノー天気なリゾナンター達をを乗せたバスは
平和に今日の宿へと向かって走って行くのであった…


宿に着いた一行は大広間で温かい京料理に舌鼓を打つ

「おーいしーぃ!」


悪夢のせいか、何だかすっきりしない愛佳以外は騒がしく夕食を楽しんでいる

「ハァ…なんや今日はめちゃ疲れたわ…」

疲労の色を隠せない愛佳の耳につけっぱなしのテレビから
関西訛りのリポーターの興奮した声が流れ込んだ

<こちらが落雷の現場となった寺の本堂です!>

「え……」

<激しい落雷の様子を物語る様に、建物は跡形もなく崩れ去っています!>

「まぢで……夢やなかったんや…」

「リーダー!リーダー!テレビに写ってますよ!小春のっモガモガッ」

嬉しそうにテレビを指差す小春の口は隣のジュンジュンによって塞がれた

「こっ小春!黙るがし!」


「この人ら…無茶しすぎですって…」




















最終更新:2012年11月25日 18:07