(14)968 『リゾナンター劇場版? さよならリンリン』



最上階に着いたエレベーターを降り、機械室を抜けると屋上への出口がある
リンリンはそのドアを蹴破らんばかりの勢いで、屋上に飛び出た

―いた、あの女がいた
刃千吏の連絡員と称してリンリンに接触し、組織からの指令を伝えた女
その指令―神獣”パンダ”の保護という使命を果たす為、刃千吏はダークネスと盟約を結んだ
同志銭琳はリゾナンターを離脱して、ダークネスに協力せよ

リンリンは悩んだ、悩みに悩んでその指令を拒否したが、女は言った

「もしお前がこの指令を拒否するなら、裏切り者としておまえを粛清せねばならない
組織の慣例としてお前の知己が優先してその任に当たるだろう
お前は昔の顔なじみを相手にして戦うことが出来るのか。 リゾナンターをその手で倒せとは言わない
ある場所に呼び出せばよい、それは…」

「もしもし、高橋サンですか、リンリンです。 ええ皆に見せたいものがあるンです。
ですから、明日の夜7時に…まできていただけませんか」

屋上に飛び出たリンリンの視界を遮るヘリコプターからのサーチライト

「何故、お前が来た。 他のメンバーは?」

「今頃は夜の遊園地で遊ンでいます。
私、リゾナントの皆の事を裏切れないし、昔の仲間とも戦う気は無い。 だから…好きにしろ」

「2年にも満たない交わりの為に命を落とすか、愚かな」

「時間の長さは関係ない。 私はあの人たちから言葉で言い表せないいぐらいのモノを貰った
そのためなら、この命惜しくは無い」

「ふふふ、ではこれから命を奪うお前へのせめてもの誠意として、真実を教えよう
私は刃千吏の人間ではない。 ダークネスの一員だ」


「そしてもう一人、おいっ」

刃千吏を詐称した女が言うと、リンリンの背後で誰かが降り立つ気配がした

目の前の女からも只ならぬ気配が漂ってくるが、背後からのそれも尋常ではない

「お前を介して刃千吏と手を結べたならと思って策を弄したが、無駄だったか
もう一度聞く。 刃千吏の戦士、リンリン
我らダークネスの一員として働く気は無いか」

「断る」
決然と応えたリンリン

「なら死ね」

前後から覆いつくす闇の気配に怯むことなく、体内の闘気を高めるリンリン

―きっと、きっと喫茶リゾナントに帰る

揺るがぬ意志を矛にして、リンリンは闇に襲い掛かった




















最終更新:2012年11月25日 17:03