(13)185 名無し募集中。。。 (ガキカメ対決)



心弱き者は、闇に呑まれる運命。
心弱き者よ、我に身を委ねよ。

さすれば、お前に力を与えてやろう。

さぁ、その手を差し出すがいい。
この手を選んだその時、お前は最強の能力者に生まれ変わるだろう。

―――力が、欲しいのだろう?さぁ、この手を選ぶのだ。



亀井絵里がいなくなった。
手紙もメールも、何一つ手がかりとなるものは残さずに。
失踪する前から何らかの変化があったのなら、皆絶対に気付くことが出来た。

共鳴という得体の知れぬものによって深く繋がれた9人。
その感覚がある限り、どんな些細な変化も見逃すはずがない。
だが、それこそはただの思い上がった感情に過ぎなかったのかもしれないと。
絵里がいなくなった時に、残された8人はそう痛感した。

何も言わずにいなくなられたら、残された人は一体どうしたらいいというのだろう。
呼べど叫べど、応えを返すどころか。
全く聞こえない心の音。
何の手がかりもない人間をひたすら捜し続ける日々に、8人の体力も心もすり減るばかりで。

そんな中でも、ダークネスとの激しい戦いは続いていた。
少しずつ、少しずつ。
戦いの激しさに、徐々に絵里のことを考える余裕がなくなっていく8人。
絵里のことを忘れたわけじゃない、ただただ、皆何も考えられない程疲弊していた。


傷つきながらも何とか、今日も戦いに勝利したリゾナンター達。
次にいつ襲撃があるのかと思うと、勝利しても家に帰る足取りは重い。
片や巨大超能力者組織、こっちはそれなりのレベルの能力者であるとはいえ、たった10人に満たない少数組織。

毎日のように戦いが行わる度に、1人また1人と少しずつ怪我の度合いが大きくなっていく。
先週なら傷1つつけられることなく勝てたレベルの能力者に、今日は傷をいくつか付けられた。
傷つく者が増えれば増える程、リゾナンターたった1人の治癒能力者であるさゆみの負担が大きくなる。
このままだと、いずれ大きな怪我をさせられた時にはさゆみの回復が追いつかずに、戦線離脱者が出るに違いない。

ジリジリと追いつめられていっているのが分かるから、皆自然と無口になる。
こんな時だからこそ、心を強く持たないといけないのだが。
それが分かっていても、心の中に生まれる焦燥感は皆を苦しめた。
どうなっていくのか考えたくもないのに、嫌でも意識させられた―――やがてくる終わりの時を。

せめて9人揃っていたら、というのは気休めでしかなかった。
共鳴によって生まれる、火事場の馬鹿力で戦い続けるのはある種自傷行為とも言えることだから。
巨大な力で敵を打ち倒す代償は、気付かないうちに体を侵蝕する。
人が生み出すには大きすぎる力によって、少しずつ自分達の生命力が削り取られていると分かっていても。

闇に迎合してまで生き長らえることに、何の意味があるのか。
そう思ううちは、まだまだダークネスに屈服するわけにはいかない。
折れそうになる心を、必死に奮い立たせる。

―――リゾナンターのサブリーダーである新垣里沙も、折れそうな心と戦うリゾナンターの1人であった。


今日はまだ勝てた、明日もまだいける。
精神力も体力も消耗したが、まだ当分は大丈夫だろう。
問題はこの戦いをもっと長期的な目線で捉えた場合、よい方向に持って行く材料がないことだろうか。


こんな時でも冷静に分析してしまう自分が嫌になるが、皆が疲弊している今だからこそ落ち着いて考えなければいけない。
少しでも希望を見つけ出したい、その想いだけが里沙の平静さを保つ唯一の砦であった。
誰か1人でも心が折れれば、それは皆に連鎖する。
そうなったら、組織としてはおしまい。

皆の心のケアをしながら、同時に戦況を分析し今後の戦いに役立てる。
1人でやれること以上のことをやっている気がしなくもないが、それは皆同じ。
1人1人が互いを思いやり、何とかしていこうとしている。


(それにしても、こんな時だっていうのにあのバカ亀は何してるのかな)


絵里が失踪してから3ヶ月、ひょっとしたら激化していく一方の戦いに嫌気がさして出ていったのかもしれない。
元々、戦闘系能力は傷の共有という、回復能力者が隣にいることが前提でないと使いにくい能力を持った絵里。
このままではいずれ自分はリゾナンターにとってお荷物にしかならないと思って姿を消したとしても、
それを責める気には余りなれなかった。

ただ、絵里がいないことは無性に寂しいと想う。
そのふわふわとした空気で、皆を癒していた絵里。
いなくなってから気付く、ムードメーカーがいるのといないのとでは皆の士気が全然違うということを。
絵里が戻ってきたとしても戦況は大きくは変わらない、だが、それでも絵里はリゾナンターに必要な存在なのだ。

そして、気付いたことがもう一つ。
9人揃っていた時と比べると、明らかに今の8人では共鳴で得られる力が弱いのだ。
もちろん、共鳴で得られる力というのは普段の状態からは考えられないくらいの力である。
だが、1人欠けただけで驚くくらいその力が減った。

絵里が帰ってきてくれたら、リゾナンターは本来の共鳴を取り戻せる。
そうすれば、少しは楽に戦い続けることができるはずだ。
だが、それはこちらの一方的な想いであってそれを絵里に押しつけることはできない。
彼女が何故去ったのかは分からないが、戻ってくる気があるのならば呼びかけにだって応えてくれるはずなのだから。


ため息をつきながら、自分の住むマンションへの帰り道を歩く里沙。
疲れてはいるが、家に着いたら今日の戦いをまとめて分析しなければ。
曲がり角を曲がれば、マンションが見えてくる。

ようやく一息つけると里沙が安堵した瞬間、辺りに満ちる闇の気配。
瞬時に里沙は警戒態勢に入り、敵の姿を探して視線を右に左に散らす。
その姿を見た瞬間、里沙の動きは止まった。


「ガキさん、こんばんわ。
久し振りですけど、元気にしてましたか?」

「…カ、メ?」

「そんな驚いた顔で見なくたっていいじゃないですか。
あれ、ひょっとして絵里が死んだとか思ったりしてました?」

「そんなこと思ってないけど。
ねぇ、これはどういうこと?」


どういうことか分かっていながらも、問いかけてしまうのは。
目にした事実を認めたくないからに他ならない。
闇の力が溢れ、そして目の前には絵里がいる。
他に誰の姿も見えないのに闇の気配がするということは、すなわち。


「どういうことも何も、こういうことです。
力が欲しかったから、闇に手を伸ばした、それだけです」

「そ、んな…」


目の前で妖しく微笑む絵里の身を包むのは、闇色の服。
それは、絵里がダークネスの能力者として生まれ変わったということ。
共鳴で呼びかけても応えを返さないのは、もう絵里を呼ぶ声が聞こえない者に生まれ変わったから。
その事実に、里沙は唇を噛みしめる。


「ガキさん、絵里メチャクチャ強くなったんですよ。
この力があったら、誰にも負けないってくらい」

「それが…あんたの出した答え?
闇に手を染めて力を手に入れて、それで満足?」

「満足してますよ、これだけ強ければ大切な者を守り抜ける。
甘いんですよ、共鳴じゃどうやったって限界があることくらいガキさんも知ってますよね。
でも、この力は違う。
望めば望むだけ強くなれる、この力があれば」

「このバカ!
そんな力手に入れたってしょうがないでしょう!
どんなに強くなったって、そんな力にあたしも…皆も守られたいだなんて思わない。
だから、あたしは前のカメを取り戻す」


宣言して、里沙は自らの力を解き放つ。
いつの間にか、その両腕にはキラリと光るピアノ線。
絵里は鋭い目で睨み付けてくる里沙を見て、フッと鼻で笑ったかと思うと。
服のポケットから取り出した両刃のシースナイフを、迷うことなく己の腕に振り下ろした。


「あああっ!!」


傷の共有を使って攻撃してくるとは思っていなかった里沙は、傷が生まれた腕を掴んで上体を傾けた。
キツく掴んでも溢れてくる血が、その傷の深さを物語っている。
そんな里沙の様子を見て、絵里は微笑みながらナイフを引き抜くと。
今度はそのナイフを太ももへと躊躇することなく一気に振り下ろした。


「あああああ!!!」

「んー、さすがに今のはちょっと痛いかも。
…絵里、痛覚が鈍くなってるんですよ、だからこんな真似をしても殆ど痛みを感じないんです。
おかげで、嫌いだった自分の能力が戦闘に活かせるようになって嬉しいんですけど。
ふふ、何かガキさん蝶々みたいですね、ピンで固定されて動けないって感じで」


妖しい微笑みを絶やすことなく、絵里は地面に膝をつく里沙の姿を見つめる。
その瞳に宿るのは、狂気と愉悦。
片腕からも片足からも血を流しながら、絵里は悠然とした足取りで里沙に近づいてくる。
近づかせないように攻撃をしたくても、痛みがひどくて上手く集中できない里沙。

里沙の前に立った絵里は、ふわっと微笑むと里沙に向かって血の流れ続ける手を翳す。
瞬間、絵里の手から放たれたのは―――鎌鼬。
反射的に無事な方の手でその鎌鼬を受けた里沙は、声にならない悲鳴を上げる。
こんな能力が使えるようになったのかと、里沙は絵里を鋭く睨み付けながら想う。

里沙の鋭い視線を意にも介さず、絵里は妖しく微笑んだまま。
しゃがみこんで里沙の頬に手をかけ、唇が触れそうな位置で言葉を紡ぐ。


「ガキさんは可愛いなぁ。
ねぇ、ガキさん、絵里と一緒のモノになりましょうよ。
そうしたら、きっとガキさんもどれだけこの力がすごいか分かりますって」

「絶対、嫌。
あたしはそんな力欲しくない」

「んー、ガキさんって本当そういうところ融通きかないっていうか、頑固っていうか。
でも、そういうところ好きですよ」

「ありがとう、ってこの場面で言うと思う?」

「言ってほしかったんですけどね。
で、まだやるつもりですか?
ガキさんのこと好きだから、これ以上はちょっと傷つけたくないんですけど」


そう言って、愛おしそうに里沙を抱きしめる絵里。
以前と変わらない温もりと、攻撃をこれ以上加える気がないという発言。
間違いない、闇に染まったように見えるけれど、絵里の中にはまだリゾナンターとしての魂がある。

―――今なら、絵里を取り戻せる!


絵里が動けないように、痛む腕を気にすることなく里沙は腕を伸ばして絵里を抱きしめ返す。
傷ついた腕で精一杯、キツくキツく抱きしめながら。
里沙は己の持てる力を最大限に放つ。
里沙の持つ能力、マインドコントロール。

里沙の思惑に気付いた絵里が離れようとするより先に、里沙は絵里の意識へと侵入した。


深い深い闇に覆われた世界がそこにはあった。
荒廃しきった世界に佇むのは、絵里によく似た姿の女性。
ただ、その女性の瞳は蒼く澄んでいる。

この女性が、絵里の人格に深く侵入し主導権を握っているのか。
ゆっくりと地面に着地しながら、里沙は相手の強さを探る。
人の意識下における戦いならば、リゾナンター最強と言える里沙。
だが、自分の力でこの女性を倒せるのかは全く分からなかった。


「あなたが、絵里の隙をついて絵里を支配した人格ね?」

「隙をつくなんて失礼なことを言う。
絵里が望んだのだ、力が欲しいと。
それを叶えただけなのに、何故そんな目で私を見る?」

「カメの皆を守りたいという純粋な想いにつけこんでおいて、よくそんなこと言えるわね。
カメは確かに力を欲したのかもしれないけれど…断言してもいい。
カメが望んだのは皆を守る為の力。
皆の存在を切り捨て、共鳴の絆を断つことで得られるこんな邪悪な力なんかじゃない」

「何を分かったようなことを。
私には聞こえたぞ、強くなりたいという絵里の叫びが。
共鳴などという不安定なモノに左右されない、強い力が欲しいと」


闇色のローブに身を包む女性は、そう言ってニヤリと笑う。
嫌な微笑みだと反射的に思いながら、里沙はポケットに手を入れてピアノ線を取り出した。
この女性を倒せば絵里を取り戻すことが出来る。

―――負けるわけにはいかない。


仕掛けたのは、里沙が先だった。
自分の意識を半分だけピアノ線に乗せ、自在に操る戦闘術。
ピアノ線は瞬時に女性の手足を拘束し、後は力を入れるだけでトドメを刺せる状態になる。
ピアノ線を操作しながら、里沙は線に力を込めた。

手足をバラバラにされ、女性は力尽きるはずだったのに。
女性はニヤリと笑って、自らの動きを拘束するピアノ線を引きちぎった。
瞬間、里沙は片膝を付く。
自らの意識を半分乗せているピアノ線を引きちぎられたことによって、里沙の意識にダメージが与えられたのだ。

強い、里沙はゆっくりと立ち上がりながらそう想う。
おそらく、この女性は絵里の人格に同調しながら支配することによって、
2人分の力をその身に宿した状態なのだ。
女性1人の力だけならさっきの攻撃で片が付いていたに違いない。
厄介だなと思いながら、里沙は相手の様子を窺う。


「さすがに、マインドコントロールの使い手なだけあって強いね。
だけど、絵里の意識や人格を支配しているのはこの私。
私の世界で私に逆らうのは、無茶を通り越して無謀。
残念だけど、この勝負、私がもらうわ」

「…バカじゃないの?」

「何?」

「完全にあなたが支配仕切れているなら、あたしはここにいることなく死んでいたわ。
だけど、こうしてあたしがここにいるということは、カメを支配仕切れていないということ。
これって、どういうことか分かる?」


里沙は微笑みながら、大きく息を吸い込む。
里沙の言ったことの意味を女性が知るよりも早く、里沙は声を上げた。


「アホカメ!
聞こえてるんなら、こんな奴じゃなくてあたしに力を貸しなさい!
あんた、後悔してるんでしょ?
後悔してるからあたしの前に現れたんでしょ?
助けるから、絶対にあんたを助けるから。
だから、力を貸して!!!」


その声が辺りに響き渡った瞬間、里沙へと流れ込む温かな力。
リィリィと音を立て、里沙の身から放たれる黄緑色のオーラが深い闇を貫く1本の光の柱と化す。


「馬鹿な…意識下で共鳴出来るなんて…そんなことがあっていいのか!」

「…逆に、意識下だからこそより強く、より激しく共鳴出来るのかもよ?
悪いけど、これで終わりにさせてもらうわ」

「くそ、この世界は私の世界だ、お前なぞにやられて」


女性が全ての言葉を紡ぐより先に、女性の体はバラバラになる。
鮮やかな光を放つ里沙の腕には、いつの間にか新たなピアノ線が巻き付いていた。
女性が狼狽した隙をついて、里沙は先程と同じようにピアノ線による包囲網を展開し。
女性が気付くよりも早く、女性を瞬時に拘束、そしてバラバラにしたのだった。

闇が消えていく。
明るい太陽の光と、見る者を魅了する程の青空が広がり。
そして、里沙の目の前に立つのは、失踪する前と変わらない姿で立つ絵里。


「ガキさん…」

「アホカメ、本当あんたアホだわ。
あんたがいなくなって、皆がどれだけ辛い想いしたか分かってるの?
やっと会えたって思ったら、あんなのに意識乗っ取られてるしさー。
本当、勘弁してよね」

「ごめんなさい、ガキさん。
でも、絵里は力が欲しかったんです。
激しくなっていく戦いで傷を負う皆のことを考えたら。
絵里の力って、ただのお荷物にしかなってないって思ったから」

「荷物になるとかならないとか、そんなこと考えてどうするのよ!
そういう風に皆思ったことなんかただの一度だってないわよ。
…あんなものに手を伸ばすより先に、あんたはすることがあったでしょーが」


言いながら、里沙は絵里に駆け寄ると。
その体をキツくキツく抱きしめる。
おずおずと、絵里が里沙を抱きしめ返そうとした時に、里沙は再び口を開く。


「ちゃんと相談しなさい、そりゃ、あんたの欲しがってる答えを返せるかは分からないよ。
でも、あんたの苦痛を取り除くことなら出来る。
何も言わないでいなくなられるくらいなら、どう言ってあげれば苦痛を取り除いてあげれるのか
悩む方がよっぽど精神的に楽だわ」

「ガキさん、ごめんなさい」


「あたしにはもう謝らなくていいから。
それよりも、帰ったらちゃんと皆に謝ること。
1人で謝るのが怖いなら、あたしも一緒に謝ってあげるからさ」


その声に、ようやく絵里は里沙の体を抱きしめ返すと。
頬に涙を伝わらせながら、ふわっと微笑む。
皆がよく知っている、穏やかな微笑み。

どれだけ抱擁しあっていただろうか。
やがて、里沙は絵里の腕からそっと抜け出すと。
柔らかく微笑んで、帰るねと言った。

その声に、はい、また後でと返して。
里沙がゆっくりと意識から浮上していくのを、絵里は微笑みながら見送った。



「…あー、しんどかった」



言いながら自分の身を起こそうとして、里沙は苦痛に顔をしかめる。
程なく起きあがろうとした絵里もまた、苦痛に顔を歪めて。
お互い視線を合わせて吹き出して、また痛みに顔を歪めて地面を転がりながら。

2人は何を言うこともなく、手を繋ぐ。
伝わり合う温もりに、自然と微笑みを浮かべながら。
ようやく元の9人に戻れる。
そのことが嬉しくて、2人は皆が駆けつけるまでずっと微笑んでいた。


その後はと言うと。


「絵里のアホ、今度こういうことになったら許さんから覚悟しとくがし」

「さゆみに何も言わずにいなくなるとか…絵里、後で説教ね」

「アホやとは思っとったけど、まさかダークネスの手先になってたとか…ありえんと」

「戻ってきたから、まぁ、もういいカナ☆」

「よかったー、ほんまよかったわー」

「亀井サン、皆に心配かケたかラ、バナナ段ボール10箱は買っテもらウ」

「9人揃っタことでスし、これかラ頑張りマしょウ、バッチリデース!」




帰ってきて頭を下げた絵里と里沙に、それぞれがそれぞれの想いを乗せて言葉を紡いで。
その言葉達に込められた想いに涙しながら、絵里は小さく微笑む。
ようやく帰って来れた温かい場所、そして温かい仲間達。

先に見える未来が暗いものであったとしても。
それすら変えていけると思える程、皆から伝わる想いは温かくて強い。

忘れてはいけなかったのだ。
強くなることは大切なことかもしれないけれど。
皆を悲しませてまで力を得ようとすることは、愚かなことなのだと。

皆を守りたいという強い想いがあれば、闇に手を伸ばすことなくとも強くなれるのだ。
心に吹く一陣の風にそっと目を伏せて。
本当の強さを探していこう、そう想う絵里の背中を。


―――里沙は微笑みながら、静かに見つめていた。




















最終更新:2012年11月25日 09:54