(12)068 『新たなる敵、G現る!』



「精神感応も通じないし、テレポーテーションでも追いつけないなんて…!」

愛は悔しそうに唇を噛んだ。

「何でもいいから誰か早く!ほら、カメ!」
「絵里の能力じゃ無理ですって。奴は飛べるんですよ!?」

二人にも為す術はなく、敵から目を離さずにいるだけで精一杯だった。

「もうこうなったらどこかに消えるのを待つしかないですね…」

愛佳が力無く呟くと、みんなも視線を床に落とした。

「ごめんね、私が油断してたせいで…」
「愛ちゃんのせいじゃないよ。私も罠を仕掛けておくんだった…っ」

愛と里沙は自分の失敗を嘆いた。


「…それなら今からでも間に合うんじゃないですか!?」

絵里がそう叫ぶと、みんなはゆっくりと顔を上げた。

「今、やっつけましょうよ!」
「そうやな。目の前の敵を逃がすわけにはいかんよな」

絵里の言葉をきっかけに、4人の目に光が戻った。

「そうと決まれば、急いで行ってきます!」
「任せたよ、みっつぃー」

愛に向かってしっかりと頷き、愛佳は駆け出した。

「この罠にみんなホイホイ引っ掛かってきたんだから」
「アンタを倒すのも時間の問題だよ」
「みっつぃーが帰ってくるまで絶対逃がさんからな」

3人は敵を逃がさないように、一定の距離をとって周りを囲んだ。



だが、敵も大人しく待っているわけがない。
一瞬で背中の羽根を広げ、里沙に向かって飛び掛かった。

「うおおおおお!!」
「ガキさんっ!」
「ガキさん逃げてー!」

敵はそのまま姿を消した。

「くそっ、逃げられた!」
「私がやられちゃったから…ごめん」
「ガキさんのせいじゃないですよ!いつか倒しましょう、必ず!」

3人は、励まし合いながら愛佳の帰りを待った。
そして、帰ってきた愛佳と共にいつか必ず倒すと誓い合ったのだ。


数日後―


「奴がついに罠にハマったで!」

愛が悪戯っ子のような笑顔で、3人に報告した。

「愛ちゃん本当に!?やったー!」
「へへーん、絵里達を倒そうなんて百年早いよ!」
「これで安心して宿題に集中できます」

ハイタッチをする4人は、まだ気付いていない。
まだまだたくさんの敵が身近に潜んでいることを…。




















最終更新:2012年11月24日 19:35