「精神感応も通じないし、テレポーテーションでも追いつけないなんて…!」
愛は悔しそうに唇を噛んだ。
「何でもいいから誰か早く!ほら、カメ!」
「絵里の能力じゃ無理ですって。奴は飛べるんですよ!?」
二人にも為す術はなく、敵から目を離さずにいるだけで精一杯だった。
「もうこうなったらどこかに消えるのを待つしかないですね…」
愛佳が力無く呟くと、みんなも視線を床に落とした。
「ごめんね、私が油断してたせいで…」
「愛ちゃんのせいじゃないよ。私も罠を仕掛けておくんだった…っ」
愛と里沙は自分の失敗を嘆いた。
「…それなら今からでも間に合うんじゃないですか!?」
絵里がそう叫ぶと、みんなはゆっくりと顔を上げた。
「今、やっつけましょうよ!」
「そうやな。目の前の敵を逃がすわけにはいかんよな」
絵里の言葉をきっかけに、4人の目に光が戻った。
「そうと決まれば、急いで行ってきます!」
「任せたよ、みっつぃー」
愛に向かってしっかりと頷き、愛佳は駆け出した。
「この罠にみんなホイホイ引っ掛かってきたんだから」
「アンタを倒すのも時間の問題だよ」
「みっつぃーが帰ってくるまで絶対逃がさんからな」
3人は敵を逃がさないように、一定の距離をとって周りを囲んだ。
だが、敵も大人しく待っているわけがない。
一瞬で背中の羽根を広げ、里沙に向かって飛び掛かった。
「うおおおおお!!」
「ガキさんっ!」
「ガキさん逃げてー!」
敵はそのまま姿を消した。
「くそっ、逃げられた!」
「私がやられちゃったから…ごめん」
「ガキさんのせいじゃないですよ!いつか倒しましょう、必ず!」
3人は、励まし合いながら愛佳の帰りを待った。
そして、帰ってきた愛佳と共にいつか必ず倒すと誓い合ったのだ。
数日後―
「奴がついに罠にハマったで!」
愛が悪戯っ子のような笑顔で、3人に報告した。
「愛ちゃん本当に!?やったー!」
「へへーん、絵里達を倒そうなんて百年早いよ!」
「これで安心して宿題に集中できます」
ハイタッチをする4人は、まだ気付いていない。
まだまだたくさんの敵が身近に潜んでいることを…。
最終更新:2012年11月24日 19:35