(07)496 名無し募集中。。。 (れいなの秘密)



~夕暮れ リゾナント~
「ただいま」
リゾナントの鐘が鳴ると同時に元気な声がする。
リゾナントの看板娘れいなが帰ってきた。

「おかえり、、ってれいな!どうしたの?その恰好?」
れいなのツナギの上下はペンキでぐちゃぐちゃに汚れていた。
「最近の流行とよ?愛ちゃん知らんと?」
れいなはにひにひと意地悪な笑みで返す。
「流行?こんなんがぁ?」
愛は大仰に驚いていた。

れいなは「じゃ、先にお風呂入るけんね~」と言いながら二階に上がっていった。




愛は誰もいなくなった店内でため息をついた。
「愛ちゃん!」
「うわぁ!!びっくりした~」
誰もいなくなったと思っていたが、ソファで絵里が寝ていた。
「なに、ため息ついてるんですかぁ。ため息ひとつつくと幸せが一つ逃げるんですよ?」
絵里は腰に手をあて得意満面に愛に説教している。
「ごめんごめん。なんか飲むけ?」
愛は苦笑いでそれを受け流し、絵里に聞く。

「愛ちゃん、悩んでますね?」
ふと、後ろで声がした。
振り返るとさゆみがむちゃくちゃ近くで立っていた。
「うわ、重さん、いつからそこに?」
愛は一気に3歩引いた。
「愛ちゃんがため息ついたところからです」
さゆみもまた、得意そうに愛に答えた。

「愛佳にはわかりますよ~、高橋さんの悩み」
うへへへとオカマ声で笑いながら愛佳が椅子の下から出てきた。

「光井?いつから?てか、なんで椅子の下?」
愛はカウンターに身を乗り出した。
「亀井さんと道重さんと一緒に来たんですよ、うへへへ」
光井もこれまた得意そうに答えた。


「小春だってわかるもん!!」
今度は小春がリゾナントのドアを開けると同時に叫んだ。
「って、小春、外で聞いとったん?」
愛はいい加減呆れながらも聞いた。
「きらりはぁ、外にぃ、いませんでしたよ?」
と、なぜか小春はアイドルスマイルでそれを返す。

「高橋!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
雄たけびが聞こえた。
と、思うと小春を突き飛ばしジュンジュンが入ってきた。
「悩み、イクない!!ワタシ、聞くアル!!!」
ジュンジュンはなぜかテンションが高い。
「はは、ありがとう。ジュンジュン」
愛はもう笑うしかなかった。
小春を助け起こしながらリンリンも入ってきた。
「もう、ジュンジュンだめですよ。小春、痛いってナイてましたよ~」
「小春、泣いてないもん!っていうか久住さん!!」
小春はリンリンに抗議する。
「アイヤー。小春怖いアルwww」
リンリンは逃げるフリをする。
「早口言葉にするなー」
小春も甲高い声で応戦する。


「静かにしなさ~い!!」
里沙の声が聞こえる。
そして、トイレの流水音。
「あんた達、話がずれすぎ!愛ちゃん、困ってるでしょ?」
里沙は手をハンカチで拭きながらトイレから出てきた。

「いや、あの、ガキさん?いつからトイレに・・・?」
愛は恐る恐る聞いた。
「それよりも!」
里沙はにんまりと笑って愛の肩に手を置く。
「愛ちゃん、れいなが心配?」
「ふぇっ?」
突然の質問に愛はまともに返せない。

「最近、れいなリゾナントにあんまりいませんもんね~」
絵里が言う。
「そうそう。しかも、必ず服汚れてるしね」
さゆみが引き継ぐ。
「だいぶ疲れてるみたいですもんね」
愛佳がオカマ声で答える。


「小春にも全然絡んでこないし、、。べ、別に絡んでほしいわけじゃないけど!」
キタ、小春、ツンデレww
「ジュンジュンのバナナ食べないっていうし」
ジュンジュン寂しそうに言う。
「田中がバナナ食べないのは前からだよ~」
リンリンはわきをパカパカさせてジュンジュンに突っ込む。

「というわけで、みんなでれいなの後をつけてみました」
里沙がパンパカパーンとファンファーレをつけて教えてくれた。
「みんなで?」
愛は聞く。
「そう。ばれるかな~と思ったけど案外大丈夫なもんだね」
里沙はにこやかに言う。
「それで?」
愛の問いかけに里沙は指を鳴らす。


小春が前に行き、白紙に念写する。
どんどん浮かび上がってくる画像にはれいながペンキを一生懸命塗ってる姿があった。
もう一枚には工事現場でセメントを塗っているれいな。
もう一枚には道路で旗振りをしているれいな。

「これ、、、」
愛は言葉に詰まった。
「それは、れいなに聞いてね」
里沙はやわらかく聖母のように微笑むと手をパンパンと鳴らした。
「はい、みんな。帰るよ~。これからはれいなと愛ちゃんの時間」
「え~」「やだぁ」とあちこちで声があがる。
「30秒以内に外に出ないと今日の夢にお化けを出すよ」
里沙が時計を見ながら告げるとみんな一目散にリゾナントを出て行った。
「愛ちゃん、ばいば~い」「おやすみなさ~い」「また明日ね」
「今度ケーキ作って」などと愛に言いながら。

「じゃあ、愛ちゃん。私も行くね」
「里沙ちゃん、、、、」
「田中っちの気持ち、愛ちゃんわかるよね?あんま叱っちゃだめだよ」
里沙はそれだけ言うとかばんを肩にかけ、リゾナントを出て行った。




~夜 リゾナント二階~
「れいなぁ~。寝た?」
れいなのねぐらに向かって愛は聞く。
「愛ちゃん?どうしたと?」
れいなは目をこすりながらおきてきた。
「あのねぇ、、んーとねぇ」
「愛ちゃん、なん?なんもなかったられいな寝るよ?」
言いよどむ愛にれいなはちょっと怒ったみたいだ。
「あのね、れいな、これ」
愛はそう言うと小春に念写してもらった写真を見せた。

れいなはばつが悪そうに目を背けた。
「これ、どういうこと?」
愛は聞いた。
れいなは下を向いて沈黙している。
「れいな?」
愛はかがんでれいなを見る。
れいなは目にいっぱい涙をためていた。
「れいな・・・」
「やって、愛ちゃんれいなにはなんも言うてくれんやん。
やけんれいな少しでも愛ちゃんが楽になってくれればいいなって。
もっと簡単にたくさん稼げるっておっさんに言われたけど、
れいな不器用やけん、こういうことしか出来んで」
れいなは開き直り、一気にまくしたてた。
「やからって、もし怪我でもしたら」
愛は気後れ気味に言う。
「怪我はいつだってする。どんな時だってする。
どうせする怪我なられいなは誰かのために怪我したい。
愛ちゃんのために怪我したい」



れいなの言葉に愛は目頭が熱くなるのを感じた。

「れいな、ありがとう。でも、こういうことはしなくていいよ。
      • せめて、コンビニにして?」
役に立ちたいというれいなの気持ちに負けて愛はれいなに週に2日のコンビニでのバイトを認めた。



「めでたし、めでたし…だよね」
里沙がリゾナントでカフェモカを飲みながら言う。
視線の先にはリゾナントの目の前のコンビニで働くれいながいた。
愛は顔を赤らめながら照れくさそうにうなずいた。




















最終更新:2012年11月24日 10:50