(06)621 名無し携帯屋)。。。(せつない愛ジュン)



喫茶リゾナントの客席に座り辺りを見渡す



数時間前までは小春とリンリンがギャーギャー騒ぎ

さゆと絵里が奥の席で楽しそうに笑い

れいなとみっつぃがトランプで勝負してて

バナナを食べまくるジュンジュンを注意するガキさんがいた




いつものあたしなら何処かの輪に入り一緒になって騒いだりしているのだけど今日はしなかった








 ……最後にみんなの笑顔をこの瞳に焼き付ける為




ずっと思っていた


自分が存在しているからこの世界が不幸になっているんじゃないのかって


i914…


高橋愛とは別の名前
ダークネスの力を継ぎ、人を大量消滅させる人間兵器


いや…もう人間でもないかもしれない


忌まわしき力
何度自分の力を呪ったか…


だからダークネスと闘う事を決意した


自分みたいな人間をこれ以上作らせない為
それにこれ以上…世界を悲しませない為


同じ能力を持つ仲間と共にダークネスと闘う




914とダークネスが滅びれば世界を脅かすものは無くなるはず


それにリゾナンターのみんなが危険にさらされる事も無くなる



だから今夜…
あたしはダークネスを討つ!


自分が居なくなった後の喫茶リゾナントはれいなとさゆと絵里に任せれば大丈夫


案ずる事はなにもない


ゆっくり客席から腰をあげ外に出る為にドアノブを握る



「バイバイ…みんな」





――ガチャ

「……っ」
「高橋サン、こんな夜中に何処行くダか」
「……ジュンジュン」

ドアを開けた先には決してこの時間にここに居る事のないはずのジュンジュンがいた

「ジュンジュンこそ…何でここにおるん?」
「ワタシは高橋サンを止めに来たです」
「…っ」

気付かれていた…?

「高橋サンみたいな精神感応の能力ジュンジュンにはない。だから高橋サンの過去に何があったか分かんない」
「……」
「でも…今、貴方が何をしようとしている事かくらい分カル」
「ジュンジュン…」
「きっと…高橋サンはみんなの前から消えるツモリ」

誰にも感付かれないように普段通りにしていたつもりだったのだけど

とんだ失敗だ



「ジュンジュンそんなのイヤダ」

「…でもねジュンジュン。あたしが存在しとる限り…世界は平和にならんのよ」


あたしが…i914が生きている限りダークネスが滅びようとも…その力を欲するものは出て来るだろう


「平和の為にね?…ジュ…」
「そんなの知らネェ!」

「―!?」


ジュンジュンの突然の罵声にビックリして一歩後ずさる



「世界が平和にナル代わりに高橋サンが居なくナルんだったらソンナ平和イラナイ!」
「っ…」

「世界が平和になってもジュンジュンの心、平和ジャナイ!」


ジュンジュンは泣きながら…それでも真直ぐあたしを見てくれている


「ジュンジュンだけジャナイ…絶対みんな哀しむ…ドウシテそれがワカラナイ!」

「……」



「残サレタ者の気持ちヲ…考えて下さいダ…」

目の前にいるジュンジュンの姿が何だかぼやけて見える


あぁ。そっか…
あたし泣いとるんや


「高橋サン」

「ジュ、ン…ジュン…」


ギュッて抱き締めてくれたジュンジュンの胸の中はすごく暖くて
不思議と涙が止らない


i914…
消える事ない現実


だけど今は…
もう少しだけi914の事を忘れて高橋愛として生きさせてもらうよ


そして願わくばこのまま…
高橋愛として生涯を終えたい



从;´ヮ`)てかジュンジュン…夜中に大声出さんよ

川;*´・_O・)た、田中!いつの間に!?

从;`Д´)田中"さん"やろうが!

川;'ー')しぃー!今、夜中やから


从;´ヮ`)だいたい愛ちゃんはちゃんとさん付けなのに何でいつまでたってもれいなは呼び捨てとよ…

川*´・_O・)田中バナナ下さい
从;´ヮ`)もう諦めるっちゃ




















最終更新:2012年11月24日 10:07