隠されていた高橋の真価を前に、残りの面々はなす術もなくその敗北を突きつけられた。
「五番目(フィフス)」
割って入った新垣の声には、どこか彼女らを気遣うような気配すらあった。
それほどまでに、高橋との実力差の壁を目の当たりにした彼女らの動揺は大きく見えたのだろう。
「それが私たち同期の桜が受けた計画の通称。
要するに人体実験だよ。人権? 自由?
そんなものこのオカルトな国家権力の前には無意味な概念だと認めた方が話は早いね」
話を次いだのは紺野だ。講義は彼女の得意分野である。
新垣が紺野と示し合わせたような発言をしたことに驚きを示す者はいない。
もう、それだけの動揺の余地はすでに奪われている。
「結果から言えば、同期の一人の命と寿命を犠牲に、私たち3人は絶壁の能力を得た。
愛ちゃんの空間制御。ガキさんの洗脳能力。
使い方次第で国家をひとつ転覆させることも夢ではない異能」
最終更新:2013年01月19日 10:22