「あーし達は正義の味方なんかじゃない。
ただ…里沙ちゃんを…そして、今まで出会ってきた人、これから出会う人、
死ぬまで会うこともないかもしれない人…皆が生きていく世界を守りたいだけ」
「愚か、としか言いようがありませんね。
自分に近しい者を守りたいという感情はともかく、他の圧倒的大多数の人間までも守りたいだなんて。
果たして彼らは命を賭けて守るに値するだけの存在でしょうか?
自分達と異なる存在を阻害し、迫害し、本能の赴くままに傷つけることを厭わないような人間達。
あなた達も傷つけられ、悲しみに涙を流しながら生きてきたのでしょう?
そんな者達を守るために戦うとは…愚か過ぎて目眩がしますね」
「確かに、そういう人達もおったよ。
でも、あーし達は知ってる。
そういう人達は、傷つけられるのが怖いから、先に傷つけて自分を守ってるだけなんやって。
賢いあんたには理解できんやろうけど…あーし達は、その人達の気持ちも分かるから。
だから、あーし達は守りたい。
その心の弱さごと、包んであげたいって思うから…だから、あーし達はあんたを倒す」
「…愚かなあなた達に教えてあげましょう。
そもそも我々を貴女方の対立要素、対称の概念と考えることが間違っているのです。
我々は闇。「全ての誕生は、闇から光への誕生なのである」と『人間的自由の本質』で言及されているように、
我々はただ貴女方のいる光の側から闇の混沌へと還ったに過ぎない。
闇は光と対立する概念ではありません。光の存在の前提としてそこにあるのが闇なのです。
つまり闇とは清濁すべてをありのままに呑み込む強大、広大な力の根源。
貴女方が我々と比肩しようなどと、そもそもそれがおこがましいと評さざるを得ませんね」
「…まだ、分からんようやね」
「…そちらこそ、自分達が置かれた状況を把握できていないようですね。
もう満足に動けないのに、まだ勝ち目があると思っているんですか?
愚かだとは常々思っていましたが、まさかここまでとは…。
もう、遊びはここまでです。
終わらせましょう、全てを」
「そうやね、ここで終わらせる。
あーし達の光で、この深い闇を照らし出してみせる!」
「何を言うかと……!!!!」
「…あーし達は一人じゃない。
あんたにももう聞こえるやろ、あーし達に力を与えてくれる声が」
「そんな…共鳴因子を持たぬ者達の声に込められた想いを力に出来るなんて…。
ありえない、否、こんなことがあっていいわけがない!!!」
「…言ったやろ、あーし達は正義の味方じゃないって。
あーし達は―――共鳴者。
人々の想いに共鳴し、その想いを光に変えて闇を照らし出す者。
“皆”行くよ…光を掲げてこの世界を照らすんや!!!」
全ての者に告ぐ。―――蒼き“光”に共鳴せよ。
最終更新:2012年12月02日 11:51