(14)166 名無し募集中。。。 (ある科学者の胸中)



あの日、私は大切な人を失った。
あの人は私の同士であり姉妹であり親友だった。

私はその件に関して誰も責めることができず苦悩した。
なぜなら、私からその人を奪ったのもまた、私の同士であり姉妹であり親友である人だったからだ。

あれ以降、信をおいていた三人の仲間のうち
一人は言葉を交わせなくなり
一人は混乱に乗じて消息を絶ち
一人は姿を消した一人を追って私の傍から離れていった。
心を許せる仲間は、もういない。


絶望の淵に墜ちた私を這い上がらせてくれたのは、私からあの人を奪った存在への激しい憎悪だった。
といっても別に、直接の原因を生んだその人を憎んでいるわけではない。
私が憎んでいるのは、能力という存在そのもの。
それさえなければ、どれだけの涙が流れずに済んだことだろう。
もう、それのために涙する人は見たくないのだ。・・・自分も含めて。

私は滅多に自分の力を使わない。
使うのは組織で培った体術と持って生まれた頭脳、それに自分が開発した品だけ。
――――私は誰より能力の消滅を願う――――
この忌まわしい力を消すためにはどんな犠牲も厭わない。
例え、自らが闇に染まろうと。
かつての同士を敵にまわすことになろうと。

私の決意は、揺るがない。


 ※保全



















最終更新:2012年12月02日 11:07