保全 SIDE Darkness



(13)169 保全 SIDE Darkness 2008/08/04(月) 13:41:26.14 0


最初は胸にあいた小さな穴だった
自分でも気付かないくらいの

やがてその穴は大きくなった
でもその向こうにあるものが何かは見えなかった

穴はどんどん大きくなった
それでも穴の向こう側は見えなかった

何も見えないのではない 漆黒の闇がずっと見えていたのだ

そう気付いたときにはそれはもう穴ではなくなっていた
闇そのものになっていた

あたしはその闇に飲み込まれた
そして闇そのものになった




保全 SIDE Darkness






(13)240 保全 SIDE Darkness 2008/08/05(火) 15:54:39.89 0


最初はただただ怖ろしかった

果てしないその昏さが
じわじわと迫ってくるようなその重圧が


だけどあるとき気付いた

闇の持つ優しさに
その包み込むような温かさに

今まで求めても決して得られなかったものが闇にはあった
闇はあたしを救ってくれた


闇はあたしにとって母であり
闇はあたしにとって神であり

闇はあたしにとって・・・あたし自身




保全 SIDE Darkness






(13)279 保全 SIDE Darkness 2008/08/06(水) 09:42:11.15 0


物心ついたときからそれは傍らにあった
どこにいても何をしていてもその存在を感じないことはなかった

部屋で一人のときも 雑踏の中にいるときも
深い孤独に囚われたときも 誰かの前で笑顔のときも

あたしにとってそれは最初の友達であった
対等に会話のできる唯一の親友だった


不思議に思ったこともあった

それが自分の身近に片時も離れずに存在するのは何故かと
他の者の目に映らないのは何故かと

そもそもそれとは何であるのかも分からなかった


だけど やがて知った

それの名が闇であるということを
そしてそれは自分自身に他ならないのだと

あたしは闇
闇から生まれ 闇の中で生きている

あたしは・・・闇



保全 SIDE Darkness






(13)325 保全 SIDE Darkness 2008/08/07(木) 12:02:22.18 0


わたしが依存しているものが闇であるのは分かっている
それがすなわち何を指すのかということも

闇への依存は ある者にとっては安らぎとなるだろう
あるいはそれが偽りの安らぎだと理解していたとしても

だが一度闇に身を任せた者は 誰もがその深みに堕ちてゆく
出口を探そうとするその意志や気力ごと

闇を闇と認識していても していなくても
闇を闇と知っていて踏み込んでも 知らぬ間に踏み込んでも


だからわたしは戻れない
いや 戻る気もない

わたしは望んで闇に染まった
譬え望まずとも結局染まらずにはいられなかっただろうから

それ故わたしは闇になった
それがわたしの目的を果たすに当たって必要なことのすべてだから




保全 SIDE Darkness






(13)375 保全 SIDE Darkness 2008/08/08(金) 11:46:28.67 0


闇は何にも染められない
全てを逆に塗りつぶす

闇は何にも乱されない
いつでも静かにそこにある

闇は殊更美しい
触れるものを魅了する

闇は殊更頼もしい
縋るものを受け入れる

闇は殊更怖ろしい
私は私が・・・怖ろしい




保全 SIDE Darkness






(14)112 保全 SIDE Darkness 2008/08/21(木) 11:35:41.25 0


闇の世界に 私の棲む世界に
光など射すはずがないと思っていた

喩え微かな光が差し込んだとしても
無窮なる闇に一瞬で呑み込まれて消える

そう思っていた

だけど・・・
その光は真っ直ぐに闇を切り裂いて照らし出した

私の往くべき道を
そして眩しいほどに私自身を




保全 SIDE Darkness???






(14)127 保全 SIDE Darkness?? 2008/08/21(木) 18:01:17.13 O


優しき天使が、地を救おうと空を飛んだ
人の手に届く高さを飛んだために
救いの天使の翼を、肉を、人々が手に欲しがり
最後は、一片の羽すらも残らなかった

保全 side Darkness ???






















最終更新:2012年12月02日 10:58