彼女は笑顔を絶やさない。
たとえ、どんな光も届かぬ新月の夜であろうと。
たとえ、吐息も凍てつく極寒の地にいようと。
たとえ、自らの命が危険に晒されようと。
いつでもどこでも何があっても、彼女は笑っていた。
素面とも仮面ともとれる完璧な笑顔だった。
彼女の笑顔。
それは、心満たされている者には天使の微笑と映るだろう。
だけど、絶望で満たされている者には悪魔の嘲笑と映るかもしれない。
その笑みにどんな意味が込められているかはわからない。
彼女は顔をほころばせるだけで、何も言おうとしないから。
最終更新:2012年12月01日 21:05