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『クリスマスプレゼント』:(短編)

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匿名ユーザー

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■どうするの?

「ねぇルリ姉」
「何かしら私は忙しいのだけれど」
可愛い妹の私が話しかけているというのに、
我が姉は『だれでもできる簡単ラッピング法』
なんて本から眼を離そうとしない。
が、こんなことは良くあることだし、
返事が返ってきただけましとしよう。
・・・これが珠ちゃんだったら違うんだろうと、ちょっと目頭が熱くなる。
「もうすぐクリスマスだねー」
「そうね」
「高坂くんに何をプレゼントするつもりなの」
「貴方が知るようなことではないし、まだ渡すかも決めてはいないわ」
・・ふーんそんな本読んどいてそんなこと言うんだ。
包装用のリボンだって沢山買ってきたくせに。
「もしかしてルリ姉、このあいだの大量のリボンを自分に巻いて、
 高坂くんに「私がプレゼントよ」とかやっちゃたりしてー、 っていくらルリ姉でも・・」
「///////////そそそ、そんな馬鹿な真似をするわけないでしょう、
あ、あなたはああ、姉をなんだと思っているの!」
「・・・・・(ポカーン)」
マジだよ!!長年妹をやってきた私にはわかるマジだってことが、
てっきり練習用で大量購入しただけで、冗談のつもりで言ったのに、
この人マジで自分を捧げる気だよ・・・いやーまさか現実にやる人がいて、
それが実の姉だなんて思いもよらなかったよ、高坂くんに写真残してもらおうかな 。
「けど、それって何だかプロポーズみたいだよねー」
「!?」
「だって、自分をプレゼントにして渡すってことは「自分の全てを捧げる」ってことでしょ、
もうそれって『一生貴方に寄り添いますって』って言ってるようなものじゃない?」
ルリ姉はボンと音を出した後、顔を真っ赤にして、
「あ、あ、あっ、あっ・・・・」とか「あうあう」とか、放心していたかと思うと、
「だめよ」とか「私たちまだ高校生だし」とか「親が許してくれないわ」とか、
しまいには「貴方が働くなら私も働くわ」とか、「子供は何人欲しいわ」なんて言って、
ころころと転がり続けている。どんな妄想を繰り広げているのかしらないけど、
幸せそうなのは間違いなく、我が姉ながらなんとも可愛い。
「高坂くん、こんなルリ姉まだ見たことないんだろうなぁ」
こんなに想われているなんて高坂くんも幸せものだね。
はやくプロポーズして、ルリ姉をもっと幸せにしてあげてね。
「冬だっていうのに、暑くて仕方がないよ」

ちなみに、クリスマスがどうなったかなんて、
ルリ姉は一晩帰って来なかったって言えばわかるよね。

■プレゼント

「えっプレゼント?」
「そ、そう、きょ、今日はクリスマスだから、 プレゼントを用意してみたのだれど・・・」
「すっげー嬉しいよ瑠璃ありがとな」
予定はちょっと狂っちまったけど、 クリスマスだから貰えるかもしれないと、
期待してなかったわけではないので嬉しい・・・のだが
「何で俺、目隠しされてんだ?」
「わ、渡すのにじゅ準備がいるのよ」
どういうことだ?なんかするすると擦れる音が聞こえるんだけど、
目隠しされているから、何が起きているのかわかるわけがねぇ。
もしかして・・
自惚れかもしれないがもしかして手作り?
それで、恥ずかしいからってところだろうか?
「ま、待たせてしまったわね、準備が終わったわよ」
あれ?なんかさっきにも増して、声が上擦っていないか?
たたでさえ、恥ずかしがりやな俺の彼女が目隠しさせるくらいに用意したものって一体?
「で、これはまだ外してくれないのか?でないと確認しようがないんだが」
「ププププププププププレゼントは、ここここここコレよ」
「わっ」
がしりと腕をつかまれ、プレゼントと呼ばれる
柔らかくほんのりと熱をもった「何か」に手が触れる。
ナンダコレ?
わからん、何なんだこれ?
さらさらしていたり、ぷにぷにとしたり、
手のひらサイズってわけでもないよなぁコレ
「・・・っ・・・・んぁ」
けどこの触感を良く知っている気がする・・・・
なんだ?小刻みに震えだしてきたぞ?
「だ・・そこ・・・くすぐった・・あっ」
ところでさっきから瑠璃はなんで、そんな何かに耐えるような
甘くせつない声を発しているんだろうか・・・・・・
エッ?
チョットマテ?
モシカシテ?
イヤイヤマテマテ
ソンナワケ
ケド
イマオレガサワッテイルモノッテ?
「も、もしかして、プレゼントって・・・・・瑠璃?」
「・・・ぁ、正解」
の声とともに目隠しが外される。
急激だったせいか反動で眼が眩んで良く見えない。
視界が回復して目の前を確認すると、
「る、瑠璃、その格好」
俺が手を触れていたものは、一糸纏わぬ姿の上にぐるぐるとリボンを巻いた瑠璃だった。
ぐるぐると言っても、大事なところは隠されているのかどうかの瀬戸際で目のやり場に困る。
おまけにご丁寧にというべきなのか、頭、両手首、両足にリボンが巻かれ蝶々結びがされている。

「・・・・・・・(ごくり)」
言葉が出なくて生唾飲み込んじまった。
こんなのはエロゲーの中だけであって、起こって欲しいとは思いつつも、
現実でこんなことするやついねーよ普通、 なんつって否定していた、

だってのに現実にやる奴がいて、 それが俺の彼女だなんて思いもよらなかったぞ。
つーかこれってこの後に続くセリフはもちろん。
「・・・・私がプレゼントでは、ダメ、かしら・・・・」
自信なさげに上目遣いでこちらを見上げる瑠璃、
よくみりゃ眼にみるみると雫が溜まっていくのがわかる。
「そんなことない!!めちゃくちゃ嬉しいぞ」
自分の彼女が、俺のためにここまでしてくれて嫌なはずが無いだろ!!
ここで喜ばない男がいるなら俺の前にでてこい。
「・・そ、そう、良かった、喜んで貰えて」
引かれてしまうんじゃないだろうかという不安があったのか、
安堵の息を漏らす瑠璃。
・・今の俺の気持ちがわかるだろうか?
例えるなら桐乃が日向ちゃんに珠希ちゃんに覚える感情が分かり易いと思う
「・・あまりじろじろとみないで頂戴」
じろじろつーか、この格好で見ても安全なところって、
顔を見つめるくらいしかないんだけど・・・
俺だって健全な高校生で健全な男である、
その格好で顔を真っ赤にしながら手を前で組んで、
そっぽ向いてもじもじとされたらだな・・・・
「ところで瑠璃」
「な、なにかしら、鬼気迫るものを感じるのだけど・・・」
「これは俺へのプレゼントだから、好きにしていいんだよな」
「え、ええそうなるわね」
「となると、「見せて」終わりなんてことないよな」
「・・・・それはそのつまり」
返答はせずそっと瑠璃を抱き寄せ、そのまま・・・・

・・・・
・・・・・
・・・・・・

情事の後、順序がおかしくなっちまったけど、
「ほんとは俺から渡したかったんだけどな」
「これは?」
「俺から瑠璃へのクリスマスプレゼント」
「京介が私に?」
俺とは違って自分が貰えるとは思っていなかったみたいで、
借りてきた猫みたいにきょとんとしている。
「空けてみても?」
「あーつっても全然クリスマスプレゼントっぽくないのは許してくれ」
知ってのとおり俺はプレゼントなんてものに精通はしていない、
クリスマスにぴったりのお洒落なお店なんてものも詳しくはない、
ただどうしても「引っかかっていたこと」を、まずは何とかしたかった。
「これ・・」
「ああ」
あの時は渡せなかったもの、
「今度は受け取ってくれるよな」
「(コクリ)・・覚えていてくれて・・・大切に・・するから」
そういって瑠璃は、俺からのプレゼントを1筋の雫を流しながら笑顔で胸に抱え受け取ってくれた。

今では新型なのか俺にはわからないけれど、
瑠璃(神猫様)とのはじめてのデートのときに見つけ、
付き合った記念で渡すことができなかった。
『新型のペンタブレット』を・・・・









と、ここで終わりと思いきやもう少しだけ続く、
見方によってはかっこ悪いのかもしれないけどな。

「実はな、もう1つあるんだ」
「えっ?けど今」
まぁそうだよな、ふつープレゼントと評していくつも渡すものじゃないよな。
分かってはいる、どうしようか散々悩んで出た結論が、
渡したいものを渡すってことだ。
ほら、さすがに彼女へのクリスマスプレゼントが、 ペンタブレットじゃぽくないだろ。
あれは付き合った記念だしな。
「クリスマスだからって安直な理由で悪いんだけどな」
本命の白く輝く十字架のネックレスを首に掛けてやる。
おっ、去年は桐乃にぼろかす言われたけど、
俺のセンスだって悪くないじゃないか、
見込んだとおり瑠璃に良く似合っている。
「綺麗・・・けれどこんなに沢山してもらって私・・」
ここは素直に喜んで欲しかったんだがなぁ、
申し訳なさそうにシュンと小さくなってしまう瑠璃の頭にぽん、と手をのせる
「いいから気にするなって、恋人同士になっての初めてのクリスマスなんだから、
記念として少しくらいかっこいいところ見せさせてくれよ」
「//・・・・・・(貴方はいつだってかっこ・・)」
「ん?何か言ったか?」
「な、なんでもないわ」
顔を背けられてしまった。

やり方はちょっと卑怯かもかもしれない。
けどさ別にいいだろ、クリスマスなんだし、
一番大切で、一番ずっと一緒にいたい瑠璃と、
「ありがとう京介」
聖なる十字架の前でキスをして。
この世で一番の笑顔を見れるんだから。

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