2ch黒猫スレまとめwiki

◆LZMIcrC9aKqC

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hiesuke

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 転校がなければあったかもしれないお話

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『繋いで』


「部活対抗リレー?!」
「ああ、そうだ」

まだまだ残暑が厳しいある日の部活
部長がなにやら話があるらしい

「来月、うちの学校の体育祭があるわけだが
 そこで部活対抗リレーにエントリーしてきた。」
「はぁ…まためんどうな事を…
 第一、部活対抗なんてしたら運動部が勝つに決まっているじゃないですか。」

まぁその通りだろうな。普通ならだが

「うちの部活対抗リレーはそうとは限らないんですよ。
 むしろ文化系のほうが有利なんです。」
「体育祭で運動部が不利になる競技?訳が解らないわ。」

真壁くんの話に今度は黒猫が首を傾げる

「つまりこの競技はだな、ハンデ付きの異種混合リレーなんだよ」

よく解らないだろうな。説明しよう

このリレーは1チーム五名。
バレーやバスケのような男女分かれている部は合わせて五名で合同チームとする。
第一走者:100M、第二走者:二人三脚、第三走者:障害物競走、第四走者:借り物競争

「なるほど。単純な走力だけでは勝てないってことですね。」
「おう、そしてさらにハンデが付く」
「ハンデ?」
「リレーというからにはバトンが必要だ。
 そしてバトンはそれぞれの部活に因んだものを使わなければならない。
 例えば剣道部なら防具一式。陸上部ならハードルを2個とシューズだったかな。
 当然リレーだから前の走者が脱いだ防具を身に着けて走らなければならない。
 第一走者は次の二人三脚のために自分の分ともう1セット持って走るんだ。」
「それは…けっこうきついかもしれませんね。あ、サッカー部とかどうなんです?
 まさかゴールを担げとか言いませんよね。」
「さすがにそれはない、ボールだよ。ドリブルしながら走るんだ。」
「サッカー部がドリブルなんてハンデにならないのではなくて?」
「ふっ、甘いな五更。ボールは一人1個なんだぜ?
 つまり二人三脚では同時に1個ずつドリブルするんだよ。」

毎年サッカー部はここで脱落するんだよな
大きく蹴りだしてあとは普通に二人三脚したヤツもいたが失格になってたっけ
どう見てもドリブルじゃなくてパスだろうとクレームがついたらしい

「あのー、因みに水泳部はどうなんですか?
 ま、まさか脱ぎたての海パンを受け取って『ふ…まだお前の温もりが残ってるぜ』なんて展開が!!」
「おい瀬菜!自重しろ!!」
「水泳部はコースロープだな。コースを仕切ってる浮いてるやつだ。それの25Mを1本」
「ゲー研のバトンはマウス1個なんですよ」
「…確かにそれなら勝算がありそうね。それで人選は?」
「ここにいる5人だな。走りに向かない体格や幽霊部員じゃ意味ないだろう。」
「あとは誰がどこを担当するのかだが、公平にくじ引きにしてみた。」

くじ引きの結果こうなった

100M 高坂
二人三脚 真壁、瀬菜
障害物競争 三浦
借り物競争 五更


「やるからには絶対勝ちましょうね?真壁先輩!」
「おう、その意気だぜ赤城。このレースは体育祭で分化系が目立てる数少ないチャンスだ。
 みんな、よろしく頼んだぜ。」
「「「おー」」」




そして体育祭当日

パァン! と号音が響くと同時に俺は駆け出す
マジで走ったんだぜ?
ヘタな走りをすると後で五月蝿いからな。妹様がよ
100Mを二位で駆け抜け、二人にマウスを渡す

「あとは頼むぜ、瀬菜、真壁くん」
「はい!いきますよ真壁先輩。せーのっ1」 コケッ

…だめかもしんない

「もう、真壁先輩、ほら立って!内側の足からいきますよ!
 せーのっいち、に、いち、に、いち、に゛」 ポテッ ムギュ

「おいおい真壁くん、ワザとじゃねぇだろうな?」
「そ、そんな事あるわけないじゃないですか」

どうだかな。うらめやましい

「いいから、ほら、もっと身体を密着させて、呼吸を合わせていきますよ!」
「1、2、1、2、1、2、……」

なんとか走りきったが順位を4位まで下げていた
が、次の部長が圧巻だった
梯子抜け、網くぐり、スラローム、跳び箱、平均台、
それらをほぼトップスピードで駆け抜けた。
部長曰く、「コミケの混雑に比べたらこんなもの障害とは呼べんよ」
流石だよ、部長

見事に逆転トップで黒猫にバトンを渡す

「よっしゃ!いけっ五更!」

コクンと頷き走り出す黒猫
置いてある封筒から一通選び、中のお題を確認する
そこで黒猫が固まった

「おい五更、どうした?」
「五更さんはやく!」

俯いたまま動かない

「黒猫!いそげ!」

俺の声が聞こえたのか、黒猫は走り出した
俺たちのほうに向かって

「五更さん、お題は?借り物は何なんですか?」

瀬菜の声が聞こえているのかいないのか、黒猫は真っ直ぐに俺を見て言った

「先輩、来て。」

そのまま俺と手を繋ぎ駆け出す黒猫
よく解らねぇが行くしかないだろ
また走るのは正直きつかったが、それでも俺達はトップでゴールした

「へへっ、やったな黒猫。俺達の勝ちだ。」
「…ええ、ハァハァ…そうね。フゥ」

息を切らせながら、それでも満足げに微笑ってる黒猫にドキッとしたのは内緒な
そこへ実行委員だろうか。マイクを持った係の人がやって来た

「おめでとうございます。見事暫定一位となりました、ゲーム研究会でーす」

ワーパチパチ 会場から拍手があがる
ん?まて、暫定一位!?

「ええ。順位を確定するにあたって、借り物のお題を確認させてもらいます。
 借り物とお題が一致していれば、そこで改めて一位となります。」

あーなるほどな。適当なもので誤魔化されないようにするんだな

「さ、封筒をこちらへ」
「あ、えと…その、」
「?どうしたんだ黒猫。ほら。」

後ろ手に隠した封筒をヒョイと摘まんで係の人に渡してやった

「あ……」
「えーと、それではお題ですが…え?これは…」

俺の顔を見る係の人

「し、失礼しました。お題はですね… 『大切な人』 です。」

おおお!?!? 
きゃぁぁぁ♪
会場全体が揺れた気がした

「お、おま、これって、どういう…」

黒猫は真っ赤になって固まっている

「一応、確認なんですが、あなたは彼女にとって『大切な人』でよろしいですか?」

係の人、面白がってるんじゃないだろうな?
…でもよ。こうなった以上、覚悟を決めるしかねぇだろ

「……ああ、その通りだ。間違いない。」

きゃぁぁぁぁぁぁぁ♪♪

さっきよりも大きな歓声が起こる
『爆発しろ!』とか聞こえた気もするが
俺は気を失った黒猫を抱えて救護室に走ったんで後の事はよくわからん





コンコン

「どうぞー。」
「よう五更。お疲れ。具合はどうだ?」
「五更さん、大丈夫ですか?」

黒猫が落ち着いた頃、部長達が見舞いにきた

「御免なさい。心配をかけたわね。」
「びっくりしましたよ~。
 気絶するほど恥ずかしいなら全校生徒の前で恋人宣言なんてしなければいいのに。」
「ち、違うのよ?あれは…そう、勝負に勝つ為には仕方の無い事だったのよ。」

手をパタパタと振って否定する黒猫
え~そうなの?肯定しちゃった俺の立場は?

「またまた~今更隠してもしょうがないでしょ。
 いいですか?お題は『大切な人』だったんですよ?
 つまり私でもよかったんですよ『大切な友達』でしょ?。他にも観戦に来ていた御家族とか。」



「「……あ。」」

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