京介「なあ日向ちゃん、小さい頃の黒猫ってどんな感じだったんだ?」
日向「小さい頃のルリ姉? なんでいきなりそんなこと聞くの?」
京介「なんでもいいじゃねえか。何となく気になったんだよ」
日向「ふーん……ま、別にいいけどさ。えーっと、そうだなぁ……結構お転婆だったかな? あ、それと、かなりの泣き虫だった」
京介「お転婆? ……泣き虫ってのは分からんでもないが、それはなんか意外だな」
日向「そうかな。今もそんなとこない? まあ、昔は今よりもっと酷かったけど」
京介「と言うと?」
日向「『この子は前世で私の下僕だったのよ』とか言って野良猫を拾ってきて、勝手に部屋で飼おうとしてお母さんに叱られて泣いたり」
京介「夜って元は野良猫だったのか」
日向「『私は木登りの達人だから』とか言って木に登って、降りれなくなって泣いたり」
京介「まるで猫そのものだな」
日向「『人間に牙を抜かれた獣など恐れるに足りないわ』とか言って犬を撫でようとしたら、のしかかられて泣いたり」
京介「だからあいつ猫党なの?」
黒猫「……ちょっと、さっきから聞いていれば。随分と好き勝手に言ってくれるじゃない」
日向「えー、だって事実じゃん」
黒猫「どこが事実なのよ。京介も信じないで頂戴。大体、お転婆で泣き虫だったのはあなた自身の話でしょう?」
日向「またまたそんな、強がっちゃって。ルリ姉、口から出まかせ言わないでよ」
黒猫「あら……それなら、近所の犬に不用意に近付いて吠え立てられたり、捨てられていた子猫をどこからか拾って来たり、
お祭りで風船を貰ってはしゃぎ回った末に転んだりして、泣きべそをかいて『お姉ちゃん、お姉ちゃん』と私の背中にに引っ付いていたのは、
一体どこの誰だったのかしら?」
お祭りで風船を貰ってはしゃぎ回った末に転んだりして、泣きべそをかいて『お姉ちゃん、お姉ちゃん』と私の背中にに引っ付いていたのは、
一体どこの誰だったのかしら?」
日向「なっ! か、勝手に過去を作り変えないでよ! ちょっと、高坂くん、ルリ姉の言ったことは全部ウソだからねっ! 分かった!?」
京介「……とりあえず、おまえらが昔から仲良しだったってことは、よーく分かったよ」