2ch黒猫スレまとめwiki

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匿名ユーザー

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「ねぇさま、ご本をよんでくださいっ」
「これは……有名な童話ね。分かったわ、こっちへいらっしゃい」
「はいー!」
 とてとて

『――お婆さんのお耳は、どうしてそんなに大きいの?』
『それは、お前の可愛い声がよく聞こえるようにさ……』
『それなら、お婆さんのお口は、どうしてそんなに大きいの?』
『それはね……』
『フッ……それは、“お前を食べるためさ”とでも言うつもりかしら?』
『何っ……!?』
 狼さんは、ベッドから飛び起きました。
『貴様……いつから気付いていたッ?』
『――この家に入ったときからよ。あなたのその獣臭さと、血の匂いでね』

「ねぇさま、血のにおいってどんなにおいですか?」
「……あなたも大人になれば分かるわ」

『フン、まあいい。気付かれたところで、貴様がオレに喰われることに変わりは無い!』
 牙を剥き、赤ずきんちゃんに襲い掛かる狼さん。
 しかし、目の前にいた筈の赤ずきんちゃんの姿は、そこにはありませんでした。
『……遅いわ』
 赤ずきんちゃんは、一瞬の内に狼さんの背後を取っていたのです。
『なん、だと――グァッ!』
 赤ずきんちゃんは片手で狼さんの後ろ首を掴み、宙吊りに持ち上げました。

「ねぇさま、赤ずきんちゃんってちからもちなんですねっ」
「ええ、真の能力を隠していたのね」

『き、貴様一体……!?』
『私のこの頭巾が何故“赤”なのか教えてあげるわ。それは……あなたたち魔族の返り血の色だからよ』
『まっ、まさか貴様があの“魔狩りの赤い災厄”だと言うのか……ッ!? そんなバカな……ッ!』
『……終わりよ。闇の深淵に還りなさい……』
『莫迦なぁぁぁぁぁッ!!』
 狼さんを倒した赤ずきんちゃんは、燃え上がるお婆さんの家を後にして呟くのでした。
『お婆さん……仇は取ったわ。――でも、私の戦いは終わらない。全ての魔を、滅ぼすまで――』

「めでたしめでたし。――邪悪な存在は必ず滅ぶという真理を物語った童話ね。少しアレンジしたけれど」
「ほぇ~、赤ずきんちゃんってつよいんですねっ! 面白かったです!」

 そんな二人を襖の隙間から呆れるように見つめる小さな影。

「……子供相手に何聞かせてんのルリ姉ェ……」

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