2ch黒猫スレまとめwiki

◆iImnD8ZhUs

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匿名ユーザー

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だれでも歓迎! 編集
 ― 負け戦 ―

注1)あくまでも『if』の話です。原作とは乖離しています。
注2)書いていて、思ったよりも切ない話になってしまいました。
    そういうのが苦手な人は、ご遠慮ください。





「よう、久しぶりだな」

あなたはいつものように私たちに挨拶をした。

私たち三姉妹も、いつものようにあなたを迎える。

「今日は一人だけなの?」

「ああ、桐乃はちょっと仕事が忙しいらしくてな」

玄関から上がりながら「ハイ、お土産」と言って、私にケーキをあずけてきた。

「ありがとう、すぐにお茶を入れるわ」

そう言って私はキッチンへと向かう。

「おにぃちゃん、またいろいろお話しましょ。」

珠希はそう言って、あなたの手をとってリビングへと向かった。

今日、私はある決心をしていた。

あなたの様子をうかがいながら、折を見て話そうと思う。



私は紅茶をティーポットに入れて、お湯を注ぐ。

リビングからあなたたちの楽しそうな話し声が聞こえてくる。

なぜか私の心がチクリと痛んだ……

きっと、これは私の「嫉妬心」。

いつのころからだったかしら…… 

あなたが他の女の人と話していると、胸が痛い。

こんなことを感じても、どうしようもないのに……

「お待たせ」

そう言ってリビングに入り、お茶をテーブルに並べえていく。

「おう、ありがとう」

そう言ってあなたはカップを手に取ると、口元に持っていく。

そんなあなたを見ていて、なぜか昔のことが思い出された……



初めてあなたにあったとき、あなたは私のことなど相手にしていなかった。

――いいえ、違うわね。あなたは私を『女性』として見てはいなかった。

もちろん、私もあなたを『男性』というより『お兄さん』という目で見ていたわ。

そのころは、別にそれで良かった。

それ以上のことなど、望んではいなかった。



その後、時々あなたと会って、話をするようになった。

私はそれだけで十分だった。

あなたと馬鹿騒ぎをしたり、たまには真剣な話をしたり、

そんな日々がとても楽しくて、それ以上のことなど無いと思っていた。

でも、しばらくしたある日、私は気付いてしまったの。

私の心の中にある、別の気持ちに……



そんな私の心の変化は、最初は小さなもので、

だからあまり気にも留めなかったわ。

でもね、あなたと会うたびに、その「気持ち」は変化していった。

その「気持ち」はだんだんと大きくなっていき、

あなたが私の心を占有していくのがわかったわ。



それでも、私はその「気持ち」を必死で隠そうとした。

――いいえ、隠すのではなく、「否定」しようとしていたわ。

だって、それは叶わぬこと。

いくらあなたが私の心の中で大きな場所を占めていったとしても、

あなたの心の中では、きっと私は小さな存在でしかないのだから。

あくまでも…… 

あなたは私の「お兄さん」という振る舞いしか、してくれなかったから。



でもね、そろそろ、限界かもしれない。

もうこれ以上、自分に嘘をつけないわ。

まるで袋小路に迷い込んでしまったよう。

こんな毎日は、苦しくて苦しくて……

だから、私は素直になろうと思ったの。

私の気持ちをあなたに伝えてみる。

そうすることで、あなたと私の関係は壊れてしまうかもしれない。

それはとても怖いことだけれど、

それでも、今の状態よりも「マシ」な気がした。

それくらい、私は切羽詰っていたわ。



そして今、リビングには私とあなたの二人だけ。

珠希があなたにクッキーを作ってあげるということで、

その準備をするため、珠希たちはキッチンで作業をしている。

「どうしたんだ? 何か悩み事でもあるのか?」

あなたは優しく私に問いかけてきた。

どうやら、あなたには私の想いが少しバレているみたい。

「え、ええ、そうね。ちょっとだけ……」

私は歯切れ悪く答えるしかなかった。

初めてあなたに会ってから、もう5年が過ぎていたのね。

あなたはこうしてときどき家に遊びに来てくれるけれど、

それは私に会いに来てくれているわけじゃない。

そんなことは、とっくにわかっている。

あきらかに、負け戦なのはわかっているわ。

でも―― 今だけ私の我儘をきいてほしい。

別にあなたを横取りするつもりなんかない。

ただ、あなたに、私の気持ちを伝えたい。

あなたに私の気持ちを伝えたら、その後はまた『妹』に戻るから。

だから……

私は自分の素直な気持ちをぶつけることにした……

「こ、高坂くん。ちょっと聞いてほしいことがあるんだ……」

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