2ch黒猫スレまとめwiki

◆mIO446hOp.

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匿名ユーザー

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「京介くんってさ、桐乃さんとぜんっぜん似てないよね~」

珠希に絵本を読んでくれている京介くんに、あたしは前々から感じていたことを告げてみた。
京介くんは嫌そうな顔をしながらこちらに顔を向けてくる。
うーん、やっぱり似てないよね。

「なんだよ突然に」
「いや、桐乃さんって凄い綺麗だからさービックリしちゃったんだよね。
 ルリ姉の友達で京介くんの妹さんっていうから、
 もっとオタクっぽい人で地味っぽいカンジを想像してたんだけどぉ」
「待て。そりゃどういうことだ?」

どういうことって、そのままなんだけど。
ぶっちゃけ京介くんの妹って言われなかったら絶対わかんないっしょ。

「いやー前に写真は見せてもらってたんだけど、
 京介くんに会ってからさー、どーせあれは絶対ニセモノかフォトショ加工済みかどっちかだって思ってたんだよねー」
「質問に答えろって。いや、もう答えなくていいや。
 悪かったな似てない兄妹で。」
「別に悪いなんて言ってないじゃん。
 兄妹でも華のある無しってあるんだなーって思っただけだし~」

なんか京介くんて髪型もダサいしぃ、やる気なさそうな目してるしぃ。
あたしの至極当たり前の指摘に気分を悪くしたみたい、
京介くんは言ってはならない一言をまた口にした。

「余計なお世話だ。大体何度も言うが、お前だって五更三姉妹で一番地味じゃねえか。
 人のこと偉そうに言う前に自分のことなんとかしろよ」
「なっ!また言ってくれたね!そんなに乙女をイジメて楽しいわけ?」
「乙女……、ねぇ」

嘗め回すようにあたしの頭から脚までを見て、わざとらしく大きなため息をする京介くん。
なんていうか、いい性格してるよねー。
あたしは立ち上がって京介くんに指差しして宣言する。

「くぅ……。わかった!京介くんがビックリするくらいキレイになってあげるから、そしたら今の言葉撤回してよね!?」
「おうよ、撤回でも土下座でもなんでもしてやるよ。」







「ってわけなの。」
「あンのバカッ!ホントデリカシーの欠片もないんだから!」

桐乃さんは握り締めた割り箸を震わせながら言った。
あの後、とりあえずどうしたら見返せるか考えたあたしは、まずルリ姉に相談しようと思ったんだよねー。
でもルリ姉もぶっちゃけ素材だけで勝負してるって感じだしぃ、あんまり参考にならないかなってことで、
それならいっそ、桐乃さんに相談しちゃえって電話しちゃったんだ。
そしたらなんと仕事帰りに寄ってくれるっていって、こうしてファミレスでご馳走にまでなっちゃったってワケ。

「で、ひなちゃんは綺麗になってあいつを見返してやりたいって思ったってワケ?」
「そういうことなんです。で、電話したのは、ちょっと桐乃さんに頼みたいことがあって……」
「ん?なになに?」
「あたし、ルリ姉のおさがりのダサい服しか持ってないから、
 いっつも綺麗な桐乃さんにすっごい憧れてるんだよねー。
 だから、桐乃さんのいらない服とかあったらもらえないかなーって」

ちょっとずうずうしいかなって思ったりしたけど、でも洋服買ってもらうなんてなかなかできないし……。
桐乃さんなら可愛い服とかもたくさん持ってそうだし、助けてもらいたかったんだよね。

「いいよ。ついでにコーディネートもしてあげる」
「ほんとに!?ありがとう!」

あたしの無茶なお願いに桐乃さんは笑顔で答えてくれた。
さすが、人見知りするあのルリ姉の数少ない友達、超いい人だー。
早速明日家まで来てくれることになった。







というわけで、桐乃さんプロデュースでお世話になることになったんだけど――

「えっと、この格好で、これをつける、の?」
「そうそう、それはこうして……っと。やーん、超可愛い!」
「あの……、ありがとう」
「あとこれ、練習しといて」
「……なにこれ?」
「いいからいいから。読めばわかるから」

なにやら怪しくなってきたような気がする。
まあ確かに可愛い格好だからこれなら京介くんもびっくりするかな。
ルリ姉は不審がっていたけど、桐乃さんが言うなら間違いないっしょ、たぶん。

よっしゃ!覚悟しといてよ京介くん!










俺は高坂京介、高校三年生だ。
ぶっちゃけ大学も無事合格したので暇をもてあそんでいて、
今日は一週間ぶりに黒猫の家に来た。
夕飯をご馳走になり、いつものようにリビングでくつろがせてもらっている。

黒猫の両親は遅くなるらしい。
今日は桐乃は仕事で一緒には来なかった。
当然色々期待したりなんかしちゃったりしたが、
残念ながら二人っきりというわけにはいかず、二人の妹たちと一緒なわけだ。

今も珠希ちゃんと一緒にメルルのDVDを見ていたら、割烹着姿の黒猫がお茶を入れてくれた。
まあこういうのも、嫌いじゃねえがな。
日向ちゃんは先ほどから部屋にこもっているけど、何をしてるんだろうか。

「う~ん………」
「珠希ちゃん、もう眠いのか?」
「はい……、ねむいです」
「じゃあ無理しないでもう寝なさい、ほら」
「わかりました……。姉さま、えほんを読んでください」
「わかったわ、こちらに来なさい。
 ごめんなさい、京介。少しゆっくりしていて頂戴」

洗い物を終えたらしい黒猫はもう半分寝かけの珠希ちゃんを連れて寝室に入っていった。
そうか、もう珠希ちゃんは寝る時間か。

「おにぃちゃん、おやすみなさいです」
「あぁ、おやすみ、珠希ちゃん」




珠希ちゃんを見送ると、リビングには俺一人。
手持ち無沙汰なのでとりあえず見終わったDVDを片付けていようか。
すると、

ガラガラ

日向ちゃんが戻ってきたらしい。
俺は振り返り、

「あ、日向ちゃ―――」

言葉を失った。
そこにいたのはいつもの日向ちゃんではなく、

「……どうしたんだ?そ、その格好は?」
「………」

かわいらしいニットに、プリーツの入った派手なスカート。
いつもは後ろでまとめている髪も下ろし、大きなリボンのついたカチューシャをつけている。
どれも今までに見たことのない格好だった。
って言うか、なんとなく既視感が――

「あ、あの……きょうすけにいに……」
「はひぃ!?」
「ひ、ひな、きょうすけにいにと、い、一緒に遊びたいなー(棒)」

どうしたんだ?悪いものでも食ったのか?
日向ちゃんは俺の狼狽にかまわず、いつものように俺の膝の上に飛び乗ってきた。

「わーい、きょうすけにいに、だーいすき(棒)」
「………」
「………わーい(棒)」
「………」
「………」
「………」
「………わ、わーい(棒)」
「………桐乃に吹き込まれたのか?」
「なんでわかったの!?」

バッと立ち上がる日向ちゃん。
わかるに決まってるだろ。
お前の格好も、その気持ち悪い口調も、
どれもこれも今あいつがハマってるエロゲーのヒロインの妹キャラそのまんまじゃねえか!

「この格好にこの口調なら京介くんビックリするよって教えてくれたんだけどな~」
「なんのことだよ」
「ちょっとちょっと!
 ビックリするくらいキレイになるから地味だって言ったこと撤回してって言ってたじゃん!
 ま、まさか忘れたの?」
「あぁ、アレか。それでお前、そんなトチ狂ったようなことを……」
「トチ狂ったって……、まあいいや。
 で、どう?キレイ?」

なにやら嫌いなものを食べるときのガキみたいな顔で(どうやら流し目のつもりらしい)ポーズを決める日向ちゃん。
う~ん。

「そうだな、きれいきれい」
「キー!なんなのさそのテキトーな言い方!せっかくがんばってお洒落したのに!」
「だって、お前、その格好意味わかってんのか?」
「意味って?」
「……なんでもねーよ」

今のお前の格好が、まさか素直になれなかったツンデレボーイッシュ妹が、
着飾って主人公に告白してそのままエッチシーンに突入するってときのものだなんて、
口が裂けても言えんわ!

終わり














おまけ

結局ビックリはしたみたいだけど、なんだか予想とは違ったカンジ。
もっとあたしにメロメロってカンジになるかと思ったんだけどなぁ。
と、肩を落とすあたしに京介くんがフォローを入れてきた。

「まぁ、お前はいつものお前でいいんじゃねぇの?
 妙に着飾ったりなんてらしくないっていうか……」
「はぁ?京介くんが地味だのなんだのいうからこんな格好したんじゃん!
 いまさら何言ってるのさ?」
「いや、悪かったって。
 でも地味だって言ってもお前はまだガキなんだからさ」
「子ども扱いしないでよね!あたしだって――」
「まあ聞けって。お前はまだこれから成長してくんだから、
 黒猫と同じで見た目は可愛いんだし、おてんばなのも元気で明るいって考えればさ」

あたしは京介くんに投げつけてやろうって構えてたカチューシャを思わず落としてしまった。

「か、可愛いって、なにそれ。
 い、いきなり小学生口説くなんて京介くんやっぱロリコン?」
「ちげーよ!客観的に見てさ、お前だって3、4年もしたら桐乃みたいになるんだろうなって思ったんだよ」
「桐乃さんみたいに?」
「あぁ、あいつも昔はお前みたいにおてんばなくらいだったなって、最近ふと思い出してさ……。
 まあ桐乃みたいに見た目がちょっと可愛いからって派手で香水くさくなったりしないでくれよ。
 黒猫が心配するだろうからな」
「うん……」

桐乃さんみたいに、か。




まあその後はなんとなくウヤムヤにってカンジにはなったんだけどさ、
まだ桐乃さんの悪口を色々言ってる京介くんを見ていると、無性に一言言ってやりたくなった。

「ってゆーかさー、京介くんあたしのこと地味だ地味だってサンザン言ってくれてるけどさー、
 言っとくけどあたし、元々けっこうモテてるんだからね。
 転校してからもう二人に告白されてるんだから!」
「げ、マジで?って小学生だろ。
 しかし近頃のガキはマセてるな。」
「そのガキと同レベルな京介くんに言われたくないよねー。
 いまだにチューもできない奥手のくせにィ」
「なっ、なんで知ってんだよ!黒猫から聞いたのか!?」
「………やっぱりまだだったんだ。」

信じらんない、もうすぐ大学生でしょ?
あたしのひっかけにあからさまに狼狽する京介くん。

「て、てめぇ!ひっかけやがったな!」
「………あのさー、前々からおもってたけど、京介くんってチキンすぎない?」
「うっせー、ほっとけ!こういうのは色々あんたよ!
 だいたいそんなお前はもう彼氏つくったりしたってのか?」
「か、彼氏なんて作ってないし!同級生なんてガキ相手にできるわけないじゃん!」
「そうなの?」
「当たり前じゃん。同級生の男子なんて鼻たらしながら走り回ってる子供だしィ。
 彼氏作るならそうだね――」

あたしは京介くんの顔をじっと見つめる。
マヌケで甲斐性もなさそうで、いっつも情けないカンジだけど、
ルリ姉をすっごく支えてくれてるお兄ちゃん。
そう、

「……なんだよ?」
「最低でも7歳は年上じゃないとねー。」
「なんだよそれ。ずいぶん年上――」

「あ、ああああなたたち、な、何を言ってるのよ!?」

その声に振り返るあたしたち。
ルリ姉がなにやら狼狽した様子で立っていた。

終われ

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