今日は久しぶりに黒猫が遊びに来た。
学校帰りに直接来たらしく、新しい制服だという、まぶしいセーラー服姿。
さっき褒めようとして声が出なかったのを散々からかわれてしまった。
あいさつの後、勉強に戻ろうと部屋に入ると、当たり前のようについてくる二人。
てっきり桐乃の部屋で遊ぶのかと思いきや、そのまま二人して俺の部屋に居座りやがった。
二人して漫画を読んだり雑誌を読んだりしながらあーだこーだとうるさい。
あのー、俺、一応受験生なんスけど。
学校帰りに直接来たらしく、新しい制服だという、まぶしいセーラー服姿。
さっき褒めようとして声が出なかったのを散々からかわれてしまった。
あいさつの後、勉強に戻ろうと部屋に入ると、当たり前のようについてくる二人。
てっきり桐乃の部屋で遊ぶのかと思いきや、そのまま二人して俺の部屋に居座りやがった。
二人して漫画を読んだり雑誌を読んだりしながらあーだこーだとうるさい。
あのー、俺、一応受験生なんスけど。
「ねえ京介、ちょっとそれとって頂戴」
ベッドに寝転び、漫画を読みながら俺を呼ぶ黒猫、おおちゃくなやつだ。
「ほらよ」
「ありがとう」
一瞬だけこちらに目を向け微笑んでくる。
その目を見ていると吸い込まれそうになる。
俺は小さく「どういたしまして」とつぶやいて目をそらした。
クソ、参考書の中身が頭に入らん。
ベッドに寝転び、漫画を読みながら俺を呼ぶ黒猫、おおちゃくなやつだ。
「ほらよ」
「ありがとう」
一瞬だけこちらに目を向け微笑んでくる。
その目を見ていると吸い込まれそうになる。
俺は小さく「どういたしまして」とつぶやいて目をそらした。
クソ、参考書の中身が頭に入らん。
「じー」
同じくベッドに腰掛けている桐乃。
わざわざ口に出して言うなよな。
どうやら黒猫に何か言いたげな様子。
「……なにかしら」
めんどくさそうに顔を持ち上げ、桐乃に視線を向ける黒猫。
「あのさー、アンタたちってもう付き合ってるわけじゃないのに、
なんでアンタはコイツのことを『京介(はーと)』みたいに呼んでるワケ?」
同じくベッドに腰掛けている桐乃。
わざわざ口に出して言うなよな。
どうやら黒猫に何か言いたげな様子。
「……なにかしら」
めんどくさそうに顔を持ち上げ、桐乃に視線を向ける黒猫。
「あのさー、アンタたちってもう付き合ってるわけじゃないのに、
なんでアンタはコイツのことを『京介(はーと)』みたいに呼んでるワケ?」
「っ!」
思わずシャーペンを落としそうになる。
黒猫を見ると予想外といった表情。
「別に深い意味はないわ。その……、私と京介はもう先輩後輩でもないし、
だからって前みたいな『兄さん』というのも可笑しいでしょう」
そうだな、兄妹でもないのに兄さんはおかしい。
まあ俺としても今でも黒猫に『京介』って呼ばれるたびにちょっとドキドキしてるのは秘密だ。
思わずシャーペンを落としそうになる。
黒猫を見ると予想外といった表情。
「別に深い意味はないわ。その……、私と京介はもう先輩後輩でもないし、
だからって前みたいな『兄さん』というのも可笑しいでしょう」
そうだな、兄妹でもないのに兄さんはおかしい。
まあ俺としても今でも黒猫に『京介』って呼ばれるたびにちょっとドキドキしてるのは秘密だ。
しかし桐乃は納得してない様子。
「アンタさー、コイツのこと『兄さん』って呼ぶ前は『貴方』とか呼んでたじゃん。それでいいじゃん」
「え?で、でも……、それはちょっと……」
うつむき、なにやらもじもじする黒猫。
うーん、やっぱりかわいいな。
「なに?なんかあるの?」
その問いには答えず、たっぷり十秒の後、
起き上がってベッドの上にちょこん、と正座をした。
小さく一息つき、真っ赤な顔をして、上目遣いで言った。
「アンタさー、コイツのこと『兄さん』って呼ぶ前は『貴方』とか呼んでたじゃん。それでいいじゃん」
「え?で、でも……、それはちょっと……」
うつむき、なにやらもじもじする黒猫。
うーん、やっぱりかわいいな。
「なに?なんかあるの?」
その問いには答えず、たっぷり十秒の後、
起き上がってベッドの上にちょこん、と正座をした。
小さく一息つき、真っ赤な顔をして、上目遣いで言った。
「ねぇ、あ、あなた……」
えーと、これは、その、
「な、なん…」
「ハイ死んだ――!!ハイあたし死んだよ――!!」
桐乃が残念な顔をしながらベッドの上でじたばたしていた。
「な、なん…」
「ハイ死んだ――!!ハイあたし死んだよ――!!」
桐乃が残念な顔をしながらベッドの上でじたばたしていた。
「その、『京介』、でいいよ」
ちょっと心臓に悪すぎる。
「そ、そう……、わかったわ、京介」
いつぞやと違い、今回は俺の希望を受け入れてくれた。
心臓はまだ早鐘を打っていた。
ちょっと心臓に悪すぎる。
「そ、そう……、わかったわ、京介」
いつぞやと違い、今回は俺の希望を受け入れてくれた。
心臓はまだ早鐘を打っていた。
End