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ラブホテル:17スレ目185-187(中編)

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匿名ユーザー

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「…そういえば貴方、以前に妹と行ったことがあるそうね?」
「(ギクッ!)…それはどこのことを行ってるんでしょうか?黒猫さん」

デート中、黒猫からの質問に俺は内心ビビりながら答えた。
最近黒猫が桐乃の話題を持ち出す時は注意が必要なんだよな。なぜかって?それは俺と
黒猫が付き合うようになってから、やたら桐乃がそれを邪魔するような事ばかりするからなんだよ。
…この間も「不眠症の治療」とかの理由で強制的に添い寝させられたことをバラしやがったし…
あの時は黒猫の機嫌を直すのに苦労したぜ…

「…だから、…その、 ら、らぶほてる、とか…いうところよ。」

…やっぱりそこですか。前に小説の取材とやらで無理矢理付き合わされたんだが、それも
きっちりバラしてるわけね、あの野郎。

「いや、それはたぶん聞いてると思うが小説の取材で無理矢理付き合わされただけで…」
黒猫は目も合わさず無表情のまま俺の"弁明"を聞いていた。…やべぇーなコレ。また機嫌
を直すのに時間がかかりそうだぜ… そう思ってる時に黒猫が何かつぶやいた。

「 …たい?」 声が小さくて聞き取れねえ。 「はい?」 俺は聞き直した。

「…だから、…私とも"そういうところ"に行きたいのかって聞いてるのよ。」
不機嫌なまま聞いてくる黒猫の言葉に俺はアセった。ここで言葉を間違えるとまた「暗黒呪殺モード」
に突入だぜ。

「いや、その、将来的には行きたいかなー? なんて… アハハ」
なるべく深刻にならないようなムードを取り繕って答えたが黒猫は無表情のまま「…そう」と答えただけ
だった。そして沈黙。

…やべぇ なんとか「暗黒呪殺モード」だけは避けたいと思っていたところに黒猫の声が聞こえた。

「べ、別に行っても構わないわ」 えっ?それって… 一瞬すごくハッピーな気持ちになりかけた俺に
黒猫の怒号が響いた。

「な、何を想像してるのよ!か、勘違いしないでちょうだい!わ、私も取材として行ってみたいと思っただけよ!
本当にどこまでも破廉恥な雄ね!」

ああ、やっぱりそうですよね。付き合い始めていきなりラブホテルでえっちなんてエロゲーぐらいしかないですよね。
健康な男子高校生の淡い期待を打ち砕いていただいて本当にありがとうございました。

で、俺たちは今、ラブホテルに来てるってわけだ。黒猫が桐乃の時と同じホテルがいいと要望したが、
あいにく満室だったのでその近くの別のホテルに入った。

「割と普通の感じね。」黒猫が部屋を見回してつぶやいた。
「回転する丸いベッドとか、もっと淫靡な照明が付いているのかと思っていたわ。」

どっから仕入れたんだよそんな情報。つーか、いつの時代なんだよそれは。
「バスルームの方も見てくるわ。」そういうと黒猫はバスルームに入っていった。

…しかし初めて来たんだから好奇心旺盛なのは分かるけど、もうちょっと意識ぐらいはしてほしいもんだぜ。
だって仮にも恋人同士の二人がラブホに来てるんだぜ。嫌が応にも意識するってもんだろうに。 …と、
考えていたところに「ザアー」と水の流れる音が聞こえてきた。

えっ? それってシャワーの音? マジ? マジで? 俺は再び高まる熱いwktkを抑えることができなかった。
だってシャワーを浴びるってことは、その後の展開を想像したらマジワクワクテカテカって… と、そんな高ぶりとともに
いろいろなパターンをシミュレーションしていたら、「バタン!」と扉の開く音が…

「わぁっ!」 「な、何よ急に。びっくりするじゃない。」

思わず声を上げた俺に驚いた黒猫の姿を見ると、さっきと同じ服を着たままだった。…あれ?
急速にしぼむwktk感が俺にうかつな言葉をすべらせた。

「いや、てっきりシャワーを浴びてるのかと…」 「…!? なっ!馬鹿なこと言わないでちょうだい!私はシャワーの
具合を試しただけよ! 本当に貴方って人は…」

ここにきて自分で地雷を踏むとは俺もお約束が板についてきたぜ、まったく。すっかり俺に呆れてしまった黒猫は、
むくれてTVのスイッチをいれた。もう「暗黒呪殺モード」の覚悟を決めた俺にはリモコンのピッ!ピッ!という連続音が
空しく聞こえるばかり…

そうするとやはりお約束というか例のアレが映し出されてきた。ラブホお馴染みのAV映像だ。普通のカップルならここで
照れの一つも出てくるところだ。しかし冷めた無表情で画面を凝視する黒猫の隣りで、いつ呪殺の呪文が聞こえてくるか
と恐れる俺にはとてもエロい気分にはなれなかった。マジ逃げ出してぇ…

「貴方もこういうので欲情したりするのかしら。」無表情のまま黒猫が聞いてくる。 「…まあ人並みには ハハハ」
「そうね。妹のノートPCでカ○リビアンコムとかいう下劣なサイトを閲覧するような輩なのだから。」

…生きた心地がしねぇ… 恋人同士でラブホにいるというのに、これ以上ないぐらい凍り付いた空気を感じながら、俺は
どうやってこの場を離脱すればいいのかを真剣に考えていた。

「…そろそろいいかしら。」そう言うと黒猫は再びバスルームに入っていった。しばしの解放。はあ~ …しかし初ラブホが
マジでこれかよ。一般のカップルとは違いすぎねぇ?マジ泣けてくるわ。もうさっさと帰った方がいいな。そう思っていると
すぐ黒猫が戻ってきた。

「さすがホテルね。お湯がたまるのも早いわ。」 …なんですかソレ? 意味不明な俺に黒猫が言葉を続けた。
「だからあれだけ大きいバスタブなのにお湯がすぐいっぱいになるのは便利だということよ。」
ああ、そういうことですか。まあそうでしょうねラブホですから。さっきバスタブにお湯も入れてたんですか。でもそれも調査事項
ですよね。じゃあそろそろ… と切りだそうとしたら黒猫が言葉でそれを遮った。

「…じゃあ私、先に入るから」 「はああああ!? は、入るって!?」
「何よ、大声出して。当たり前じゃない、せっかく来たのにあれだけ大きいお風呂に入らないなんてもったいないわ。こんな機会は
そうそうないのよ。」 …いや、そういう問題じゃなくて…

そう考えているうちにも黒猫はスタスタと一人バスルームに入ってしまった。…マジかよ。恋人がラブホで風呂入ってる間、一人で
外で待ってろってわけ? なにこの仕打ち。ああ俺は今、天に向かって叫びたい! こんなはずじゃねえって! こんなん違う!
ほとんど泣きたくなるような気持ちだったよ、マジ。


カチャ  扉が開くような音がしたので、そちらを見ると黒猫がバスルームの扉を少しだけ開いて
こちらを見ていた。髪をタオルで頭上にまとめているのが少し見える。

「な、なんでしょうか?」情けない気持ちのまま黒猫に問いかけると驚くべき答えが返ってきた。
「…あ、貴方も入りたいのなら、別に来てもいいわよ」

バタン! 言い終わるとすぐ扉を閉める黒猫。…マジ? マジで? 俺は地獄から天国に引き上げられる
ような眩しさを心に感じた。

…つづく

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