2ch黒猫スレまとめwiki

◆mIO446hOp.

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匿名ユーザー

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あたしが時間ぴったりに待ち合わせ場所につくと、あいつはもうすでに待っていたみたい。
こっちに気づいた瞬間、微かに笑顔を向けてくれた。

「やっほー!待った?」
「別に、今来たところよ」

あたしのほうに顔を向けて小さく呟くように黒いのは言った。
今日はいつものゴスロリではなく、あたしが選んであげた真っ白なワンピース姿。

「じゃ、さっそく行こっか」
「ええ、そうね」

なんであたしがこいつとこんなところにいるかというと、話は前日にさかのぼるんだけど。





~~♪~~~♪

夏休みも半ばに差し掛かったある日の夜、
夕飯も食べ終わり、ベッドで寝転びながら雑誌を読んでいると、ケータイに着信があった。
この曲は黒いのからだ。

「はいはい」
「あ、もしもし。こんばんわ」
「どうしたのこんな時間に?またあいつのこと?」

最近毎日かかってくる電話。
まあ内容は、決まって小学生レベルの恋愛相談なのよね。

「ま、またって……、そうだけど……」
「今度はなによ」
「えーっと、この土曜日、なんだけど、京介がプールに行こうって言ってるのだけど……、どうかしら?」

プールかぁ。
これだけ毎日暑いと、プールで遊べばさぞ気持ちいいだろう。
人ごみが苦手なこいつが、プールでデートなんてできるのかはわかんないけど。

「ふーん、たしか晴れの予報だったし、いいんじゃないの」
「そう、よかった。
 ところで……その……、私、水着なんて学校のしか持ってないんだけど、それで行っても、いいのかしら?」

「黒にゃんのスク水キタ━━━ヽ(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)ノ━━━ !!!
 絶対旧スク!旧スクしか認めない!
 胸には『るり』ひらがなで、あざといとか無視、これ基本だから!」

「ちょっと……、あなた……、何を……」
「……あ、ゴメンゴメン、ちょっと心の声がもれちゃった」
「あなた最近ちょっとおかしいわよ」

うーん、自分でも若干自覚してるんだけど。
なんかさー最近黒いのに相談されたりすることが増えて、
こういうときだけはちょっと可愛い妹ができた感じというか、なのよねー。
今までどちらかというと、その、こいつには助けてもらったりとかのほうが多かったし、
あのバカのことは置いといて、あたしもこいつの力になれるってのがちょっと嬉しかったり。

「コホン、まあデートでスク水ってのはちょっとあれよね。
 まったく何も持ってないの?」
「しょ、小学校のころのはもう妹にあげたわ」

いやいや、あんた高校生でしょ、水着の一着くらい持っていようよ。
まあいいけど。

「ふーん、じゃあ買いに行こっか」
「え?」
「水着、いるでしょ。買いに行こうよ、選んであげるから。
 明日は午後暇?」
「大丈夫、だけど……」
「じゃあ決まりね。えーと、じゃあ2時に―――」





というわけで、冒頭のシーン。
なんで今日はこいつはこんな格好かっていうと、
この前あたしが試着するのに脱ぎにくいゴスロリは着てくるなって言っておいたからってワケ。
しかしこの格好のこいつっていかにも儚い少女って感じで正直超可愛いよね。
さっきからこいつのこと、周りのアホそうな男どもがチラチラと見てるのこいつ気づいてるのかな?
あたしが来るのもう少し遅くなってたら、ひょっとしてナンパでもされてたかもね。

一方のあたしはというと、今日はデニムにシャツで、
髪の毛も後ろでまとめてボーイッシュって感じ。
二人並んで歩いてる姿って、周りから見たらこれだとまるで――

「なんかあたしたち、デートしてるみたいだね」
「な、何を言っているの?どこをどう見たら……」
「ねえ、あいつと手繋ぐのなかなか上手くできなかったんでしょ?
 今からあたしと練習しよっか」
「え?え?」
「ほら、手出して。いいでしょ女同士なんだから」
「あ……、うん」

うひょー手やわらけー
すっげーきめ細かいし、スリスリしたいー

「……なんだか凄い寒気を感じたわ」
「そう?ちょっと冷房きついかもね、ここ」
「そうかしら?」

今日行くのは今年の春にオープンしたばかりの新しい駅ビル。
有名どころからマイナーでもお洒落なショップまでいろいろ入ってて、結構繁盛してるみたい。
あたしはあやせとかと何度か来たこともあったけど、黒いのははじめてみたい。

「………」
「ちょっと、落ち着かないのはわかるけどあまりキョロキョロしないでよね」
「あ……、うん」

実はここ、今近隣で一番水着コーナーが充実してるんだってさ。
エスカレーターを登って5階につくと、色とりどりの水着が並んでいた。
夏休みだけあって、たくさんの女の子たちが水着を手に取っている。
圧倒されている黒いのを引っ張ってあたしは早速物色開始。
フヒヒ、腕が鳴るわ。





「ほら、これ着てみてよ」
「ちょっと、これって、こんな紐みたいなの着れるわけないでしょう」

15分ほど見て廻って、あたしが黒いのに手渡したのは布面積がかなり少ない、いわゆる紐ビキニ。
まあ、これを着るなんて最初から期待してないし。
でも、ここはあえてこう言うのよね。

「えーでも今時の女子高生ならこれぐらい当たり前っしょ、あんたは知らないかもしれないけど。
 あいつだってこれくらいの水着は着てくると思ってるよたぶん」
「そ、そうなの?でも……」

ぷぷぷ、こいつこういうことには世間知らずだから、若干信じてる。
で、ここでちょっと引いてみる。

「わかったわかった、じゃあこっちならどう?」
「そうね……、これくらいなら……、まあ着てみてもいいわ」

計画通り!ちょろいわー、ちょろ猫だわー。

「はいはーい。じゃあこっちとこっちも。あと、この色もね」
「ちょ、ちょっと……」
「いいからいいから、あたしに任せて」

店員さーん、試着させてくださーい。有無を言わさず押し付ける。



シャーという音と共にカーテンが開かれ、真っ白な肌に真っ黒なビキニを着た黒いのが出てきた。
胸元とパンツのところレースがチャームポイント。
し、しかしこれは――

「ど、どうかしら?」
「……」



ピロリーン ピロリーン



「ちょっと、写メなんて撮らないで頂戴」
「はっ、手が勝手に!?まさかこれが闇の力……」
「馬鹿なことを言わないで。あなたなんかに闇の力が宿るわけがないでしょう。今すぐ消しなさい。」
「ちょっと、ケータイ引っ張んないでよ!」
「消しなさい」
「はいはい、わかったわよ。 はい、消したから」
「本当に?」
「本当だってば」

もちろん嘘だけど。

「はぁ、まったくあなたは。
 で、どうかしら?……その、ちょっと肌が見えすぎというか……」
「超似合ってるよ!マジぴったりだし!ビキニならそれくらいおとなしめなくらいだって!」
「そ、そうかしら?」
「あんたって足も腰も超細いし、
 こんな感じのヒラヒラがついてるとなんかスラってした感じが強調されたって感じで超可愛い」
「かわ……」
「これならあいつもメロメロね」
「そ、そう。ありがとう。」

うすうす気づいてたけど、こいつって結構押しに弱いのよね。
自分の土俵では強気に出れるけど、ってタイプ。
まあ鏡に映った自分の姿をみて満足気味だから問題ないっしょ。
あたしはあくまで背中を押してあげただけってワケ。





そのまま何着か試着して、何枚か撮影して(勝手に)、で、結局最初のビキニを買うことに。

「あなたに来てもらってよかったわ、ありがとう」
「いいって、あたしも楽しかったしね」

黒にゃんフォルダが充実したし。
目当てのものも買えたしちょっとカフェにでも入ろっか。
そう思い、口を開く直前だった。
黒いのは思いもよらないことを告げてきた。

「ところで、あなたは当然水着をもう色々持っているのよね?」
「あたし?まあ持ってるには持ってるけど、なんで?」
「なんでって、もしあなたも必要だというなら、あなたの分も買っていかなくてはいけないでしょう」
「はぁ?なんであたしが?」

あたしにはこいつが何を言いたいのかがいまいち理解できなかった。
するとこいつは当たり前のように言ってきた。

「あなたもプールに行くのだから、当然でしょう」

「なにそれ!?兄貴とデートだって言ってたじゃん!」
「別に私は二人で、とは言ってないわ。前からあなたも土曜日は特に予定がないと言っていたし、
 プールのことを誘ったとき、あなたも『いいんじゃないの』と言っていたじゃない」
「あれはあんたらが二人で行くのがいいって意味だし!
 大体なんであたしがあんたたちと一緒にプールに行かなきゃ行けないのよ。
 お邪魔虫じゃないの、あたし。」
「何を言っているのよ。私はあなたとも一緒に遊びたいって思っていただけよ。」

無言のあたしにこいつはさらに言葉を続けてきた。

「京介とは去年、一度だけ一緒に行ったわ。とても楽しくて、大切な思い出だった。
 でも、今年はあなたも一緒がいいのよ。
 京介とだけじゃなく、桐乃、大切なあなたとも」

こいつの気持ちはよく理解している。
あたしだって、いつまでも一緒にいたいと思っていたから。

「今、私がこうして幸せでいられるのは、あなたのおかげよ。
 あなたのことをお邪魔虫だなんて思うわけないじゃない。」

こいつがあたしのことを大切に思っていてくれているのが理解できるからこそ、
その一言一言が染み渡ってくる。
あたしのことをわかってくれてるんだって、幸せな気持ちがわいてくる。
でも、でもさ――

「あたしはもう、あんたたち二人のことも認めてるし、応援するって言ったじゃん!
 別にあたしは前みたいに無理してるってわけでもないし、
 あんたがあたしのこと気にかけてくれてるなら嬉しいけどさ
 せっかくまた付き合うってことになったんだし……、やっぱりさ……」
「あら、柄にもない、そんなこと気にしてたの。
 いいかしら、あなたがどう思っているかじゃないの。」

突き出したあたしの手を黒いのがやさしく包み込むように握ってきた。
とても心地よかった。

「私が、あなたと一緒がいいと言っているのよ」
「あんた……」

そして上目遣いであたしの顔を覗き込むようにして、聞いてきた。

「こんな私の願いは、いけないものなのかしら?」

そこまで言われてはもう答えは一つしかない。
あたしは目をそらしながら言った。

「はいはい、わかったってば。あたしも行く、行けばいいんでしょ」
「そう、最初から素直にそう言えばよかったのよ」

ふふん、と満足そうな様子。
なんかもうねー、ここまで言ってくれてるわけだし、抱きしめてもいいかな。
まあ人目があるから自重するけど。

「で、沙織も来るの?もちろん声かけてるんでしょ?」
「沙織は用事があるみたいだから途中から合流するそうよ。
 あと日向と珠希も連れて行ってもいいかしら?」
「もちろん!ふひ、楽しみになってきたー。
 じゃあそうと決まったらあたしも水着新しいのを買おっかな。
 そうねー、あんたとお揃いってのもいいかもね、色違いで。
 ぷぷぷ、あいつきっとびっくりしちゃうだろうなー。
 まあたぶんあたしに釘付けだろうね、なんせあいつってば、筋金入りのシスコンだから」
「あらあら、威勢がいいわね。いつもの調子が戻ってきたじゃない。
 でも京介はなんだかんだ言って私に夢中だからそれは期待しないほうがいいと思うわ」
「なによ」
「ふふっ」

言っとくけど、あたしを誘ったからには、もう兄貴とイチャイチャする暇なんか与えないからね。
遊びたおしてやるから、覚悟しときなさいよ!

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