2ch黒猫スレまとめwiki

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匿名ユーザー

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だれでも歓迎! 編集
特典小説読んで妄想した「追憶」の続き
※ネタバレを含みますので未読の方は注意


 そして、――私は知ってしまった。
 気まぐれに参加した『特別な二次会』で。

 遂に“宿敵”に出逢ったのだと。

 一瞬でもこの茶髪女を『除け者同士』などと思ってしまった自分が愚かしい。
 僥倖、……この女こそ、“現世”に於いて“堕天聖”たるこの私が倒すべき宿命の相手。
 “前世”でつかなかった決着をつけようと言うのね、望むところよ。――生憎、今の私にその記憶はまだ蘇っていないけれど。

 まあいいわ。“最終決戦”はまだ先のこと、焦る必要は無いわ……今は、ね。

「これだから邪鬼眼電波女はさぁ!」
「……いいでしょう。表に出なさいな“売女”」

 ――前言撤回。こ、この女……今すぐ縊り殺してやるわ……。

「なッ──! アンタ今何て言ったっ!」
「……ふ、ふん、女の子限定のお茶会に彼氏同伴で来るような女には相応しい呼称だと思うけれど」
「…………は?」

 あの女の眼光に精一杯の気力で対抗した台詞だったが、当の相手の反応は『拍子抜け』そのものだった。

「あれ、さっき紹介されなかったっけ? ――まぁいいや、俺はこいつの兄で、高坂京介だ」

 ……うるさいわね。言われたような気もするけれど、極度の緊張状態だった自己紹介のシーンなんて記憶に残っているわけないでしょう。

「ったく、何でみんなしてそういうキモい勘違いが出来るワケ? 目が腐ってんじゃないの!?」

 ――ひとり毒を吐くあの女の隣で、『兄』といってやや苦笑する、高坂京介と名乗った人間。
 無気力で、凡庸な、どこまでも“私の毛嫌いする只の人間風情”なその人物に……私は少し違和感を覚えた。
 駅前で最初に見かけた時の雰囲気とはまた別の、何ともいえない奇妙な感覚――。

「まぁまぁ。それよりこれから皆でアキバ巡りと洒落込みませぬかな?」

 相変わらず口元をωにして沙織が仲裁に入る。ふん、余計なことを……。
 まあ、妹に『遅くなる』と言ってしまったし……余暇潰しには丁度いいでしょう。
 決して乗り気では無いけれど、もう少し付き合ってあげてもいいかしら――

 それから、4人でアキバのショップを見て回った。
 グッズやDVD、同人誌。
 私とあの女があれこれと言い合い、沙織がにやにやと笑い、そんな私達をあの女の兄が遠巻きに見ている。

 ――何故かしら。やっぱり少し“彼”のことが気になる。
 現世の私にも可愛い妹たちがいるけれど、私が妹たちを見守る眼差しと、彼が“妹”を見るその眼は……どこか違う。
 私の知らない感情がそこには在る……そんな気がした。

 そんなこんなで結局、あの女とは、終始互いの主張が交わることは無かったけれど。
 それでも――

 こんなに楽しい時間は初めての経験だった。

 ――このときの私に必要だったのは、“神の創造物”に魂を捧げた“同志”では無く。
 たとえ趣向が違っても、お互いの思いの丈を全力でぶつけ合える“対等の相手”だったのかも知れない――

「……それにしたって少しは自重なさいな、曲がりなりにもここに置いてあるのは『R18』なのだから。管理人さんならともかく」
「? ……何を言っているのですかな黒猫氏。拙者、黒猫氏と同い年ですぞ?」
「……え」
「黒猫氏ときりりん氏には、拙者と歳も近しいとお茶会の返事にも書いたではありませぬか。きりりん氏は拙者達より一つ下でござったかな」
「……なん……ですって……?」

 メールの文面なんて、疾うの昔に忘却の彼方に旅立ったわ。その時はオフ会必勝法を検索するのに必死だったのだから。察しなさい。
 それにしてもこの“巨神”が私と同い年、“茶髪女”が一つ下ですって――?
 よ、世の中間違っているわ。一体何を捕食したらそんなに無駄に育つのよ。パワー餌? 赤いキノコ?

「え、そうなんだ。この“ちっこいの”、てっきりアタシより年下だと思ってた」

 ――やはりこの女、今すぐこの場で息の根を止めておいたほうがいいかしらね……?


 帰り道。

 家路に向かう足取りがこんなにも軽いのは、可愛い妹たちと夕飯を食べるのが楽しみで仕方ないからよ。勘違いしないで頂戴。
 ――あの2人とは携帯の番号も交換したし、夜になったらまたメッセで話をする約束になっている。
 勿論、今日のことについて山ほど文句を言ってやる為だけれど、とりあえず最初に聞くことはもう決まっているわ。

「あなたたち、参考までに、普段はどんな食生活をしているのかしら」――と。

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