【黒猫探偵団機密資料/out of game】

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【プロジェクトみなかみ 交渉担当者用マニュアル/2011年7月20日版】

株式会社ナインクルーズ 企画運営部

01 最初に

 当マニュアルは、プロジェクトみなかみにおける企画運営部の業務、および経験知の一部を視覚化することで、
誰でも一定の成果が挙げられるようにしたものである。

 マニュアルは、交渉活動における心構え・態度・知識の3点から構成されており、
各人がこれらの要点を暗記することで、基本的な内容を習得できたと見なすことができる。

【注意】

 マニュアルの内容は、あくまで基本的なものであり、現場では常に臨機応変な対応が要求される。
各人は常日頃から、交渉相手との問答を想定し、
どんなに裏をかかれても平然と受け流せるように心がけておいて欲しい。

02 目次

最初に 1P
目次 2P
交渉時の心構え 3P
 クライアントの笑顔を第一に! 3P
交渉時の態度 4P
 姿勢 4P
 表情 4P
 言葉遣い 5P
 社外での社員同士の会話について 6P
交渉に必要な知識 7P
 みなかみ町の基本データ 7P
 ランド建設反対派について 8P
 みなかみランドについて 10P
  ランド内施設概要 10P
  ランド外施設概要 10P
  ホタカくんのライセンスについて 11P

03 交渉時の心構え

 交渉時の心構えは、社の基本理念の上に立脚している。このため、見覚えのある内容となっているが、
気分を入れ替える意味でも一読しておくことが望ましい。

クライアントの笑顔を第一に!

 交渉に臨むにあたり、忘れてはならないのが、
我が社のスポンサーであり、我々の給与の源泉でもあるクライアントの存在である。
交渉を行う際は、クライアントが我々の活動に対して、どのような成果を期待しているのか、
重々理解してから臨むべきである。

 特にプロジェクトみなかみにおいて、クライアントが期待しているのは、
みなかみランド建設用地の買収を計画どおり、確実に遂行することである。
企画運営部の計画も、この目標を達成するために組み立てられていると言って過言ではない。
このため場合によっては厳しい時間外労働が求められるが、主旨を理解して業務に励んで欲しい。
 各人が、各々の使命を肝に銘じて交渉を行えば、その分、目標の達成も早まる。
クライアント・ファースト
この基本理念を忘れずに、交渉を進めよう。

04 交渉時の態度

姿勢

 交渉に臨む際は、常にスーツを着用すること。
クールビズ、スーパークールビズ、ウルトラクールビズ、ハイパークールビズなどは一切、認められない。
また、正体が発覚することで業務に支障をきたすことが憂慮される場合は、サングラスの着用を認める。

 交渉時は引かれない限り、交渉相手をヨイショするような態度を心がけると良い。
多くの人は必要性を認められたり、ほめられたりすることで、その気になるものである。

 その上で、契約をその場で締結するよう柔らかく求めること。
契約書の内容は非常に複雑であり、用いている言葉も難解であるため、
交渉相手がその場で全容を正しく把握することは、ほぼ不可能である。
つまり、その段階で「問題ない」という誠実な姿勢を見せることができれば、それが信用の担保となるのである。

 言葉による柔らかな警告については、最終手段であると理解するべきである。

表情

 交渉中は、常に笑顔を心がけること。
笑顔で交渉し続けることで、その交渉が決裂しても、次の機会に繋げることができる。
 また、微笑みながら「契約しない理由をたずねる」ことで、交渉相手は「自分の方が

05

悪いのではないか」という心理状態に陥りやすくなる。怒りの表情で交渉相手を萎縮させるのではなく、
笑顔で相手の心を溶かすような気持ちで接すると良い。
 なお、前述した柔らかな警告時のみ、笑顔を崩すようにすると、
相乗効果でより強い衝撃を交渉相手に与えることができる。

言葉遣い

 まず、最初に交渉相手の名前をフルネームで覚えること。
自分の名前を覚えられて悪い気分になる人はいない。
また、名前で呼びかけることは、互いの親密さを高める方法の中で、もっとも安価で効果的なものである。

 会話のやり取りにおいては、まず相手に話させるように仕向けると良い。
老人の多くがそうであるように、人は自分の話を聞いてくれる人に心を開くものである。

 また、会話中は丁寧語を心がけること。
特にこちらから話しかける際は、できる限りゆっくりと話し聞かせるようにしゃべると良い。
交渉相手を対等な存在ではなく、自分より劣っている存在と考え、
一言一句を染み込ませるように話せば説得力が生まれる。

 さらに、こちらから選択肢を提示する際は、二者択一を用いると良い。
今回の交渉で言えば「受け入れがたい条件」と「受け入れやすい条件」を提示して、
本来存在する「土地を売らない」という、もうひとつの選択肢を隠すと効果的である。

 最後に交渉相手が敵対的すぎる場合は対立を避け、受け流したり、引いたりするよう心がけること。
不用意な発言を行うリスクは、避けることが賢明である。

06 ※2011 年7 月20 日版より追記

社外での社員同士の会話について

 昨今の人員入れ替えの激化や、それに伴う企業スパイの可能性を考慮した結果、
社員同士が社外で会話をする際に符帳(合い言葉)を用いることが社長より通達された。
 符帳については、セキュリティ部を統括する副社長ないしは、セキュリティ部部長(部長不在時は課長)より
個別に通達がある。各自、符帳を忘れないように注意すること。

【注意】

 符帳を確認する際には、周囲の状況に配慮した上で、可能な限り、はっきりした声で行うこと。
各自が思っているほど、周囲は君たちの行動を見てはいないので、安心して行ってもらって構わない。

07 交渉に必要な知識

みなかみ町の基本データ

 2005年10月に利根郡月夜野町・水上町・新治村が合併して生まれた町。
 関東北部の群馬県最北に位置し、群馬県で最も広い町域面積を持つ。

谷川岳・三国山の麓を流れる利根川の源流域で、矢木沢ダム、奈良俣ダム、須田貝ダム、藤原ダム、
相俣ダムを有していることから「関東の水瓶」とも称される。

 町の主産業は、町内全域に散在する温泉郷を中心とした観光業。
今回の買収予定地域である湯原地区は、JR水上駅前から始まる旧水上町の中心街であり、
利根川沿いに多くの温泉旅館が建ち並ぶ温泉街でもある。

利根川遊歩道、諏訪峡遊歩道沿いの景色は風光明媚であり、JR 水上駅裏の水芭蕉園や、
諏訪峡側の与謝野晶子歌碑記念公園など細かな観光スポットも多数存在している。

 なお、2011年7月1日から同年9月30日まで行われる群馬デスティネーションキャンペーン中は、
快速SL みなかみ号が運行されるため、例年より多くの観光客が湯原地区を訪れるものと思われる。
このため、交渉活動は週末を避けることが望ましい。

08 ランド建設反対派について

 以下に記載する団体、および個人は、みなかみランド建設に反対する者たちである。
彼らとの和解は本プロジェクト完遂に必要不可欠ではあるが、
不適切な受け答えをすると、我々に不利益が生じかねないため、接触には最新の注意を払う必要がある。

• みなかみ町観光協会 (みなかみ町月夜野1744-1)
• ⽔水上温泉旅館協同組合 (みなかみ町鹿鹿野沢70-8)
• ひがきホテル (みなかみ町湯原701)
• ラ・ビエール (みなかみ町湯原681-3)
• 桑屋 (みなかみ町湯原702-2)
• ホテル・サンバード (みなかみ町藤原4957-1)
• グランボレ・パラグライダースクール(みなかみ町師2151)
• 有限会社フォレスト&ウォーター(みなかみ町高日向648-1)
• 石坂美里(みなかみ町観光協会/鹿鹿野沢在)
• 阿部光利(東京在住の大学生/実家は幸知)

【注意】

反対派が町外住民への呼びかけに使った映像に岸町長が出ていることから、少なくと

09

も町長も反対派であると考えるべきである。ロビー活動時には注意すること。

10 みなかみランドについて

ランド内施設概要

 みなかみランド内の施設はその種類から大きく、
アトラクション施設、販売施設、宿泊施設の3つの区分に分けられる。

園内でもっとも面積を占めるのはアトラクション施設であるが、アトラクション施設は観光客を呼び込むための餌であり、
ランドとしての利益確保のためには販売施設、宿泊施設の回転率が重要となる。
 このため、ランドの各施設は、できる限り機械化とコンピュータ制御による自動化を推し進め、
運営コストの低減に努める。

 また、ランド内での消費活動を促進するため、ランド周辺の個人商店に対しては、今の段階から継続的に交渉を行う。
 なお、ランド内の運営スタッフは、地元の地理に疎い町外の派遣従業員を雇用し、地域との関連性を断つことで、
プロジェクトみなかみ全体の安定性を保つものとする。

ランド外施設概要

 みなかみランド外の施設は、派遣従業員用の宿舎を中心とした副施設群と、森林部の主施設群の2つに分けられる。

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 このうち副施設群では、ランドの運営業務に従事する派遣従業員の宿舎を建設すると共に、
従業員の生活消費活動も副施設群内で完結するように取りはからう。
 また、森林部の主施設群に従事する従業員は、全てクライアント経由で人材を揃える。
 同時にランド内外で発生する煙や水の定期検査、四季の移り変わりなどによる主施設露呈の可視検査、
不法侵入者阻止のための監視などを主施設側で行うものとする。

【注意】

 今回、我が社は主施設群の土地買収のみに関与する。主施設群に関する情報は、
役員のみ閲覧可能な機密情報であるため、主施設群は基本ないものとして考えること。
 地域住民との交渉においても、主施設群を示唆するような発言は慎むこと。

ホタカくんのライセンスについて

 みなかみランドのマスコットキャラクター・ホタカくんのライセンスは
原則、ランド建設に賛成した個人、団体のみに貸与する。
 なお、ライセンス料については、観光企画部で調整中だが、
ランド建設活動への貢献度合いによって優遇される変動型のライセンス料を考えている。

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最終更新:2011年07月30日 09:23