妊産婦のための食生活指針
- 妊産婦の為の食生活指針基本的考え方
- 妊娠期・授乳期において母子の健康の為に適切な食習慣の確率を図る為のもの。
- 厚生労働省が2006(平成18)年2月に策定
- 妊娠前からの食生活の重要性が再認識されることと共に作成
妊産婦のための食生活の指針
- 1.妊娠前から健康なからだづくりを
- 妊娠前に痩せすぎ、肥満はありませんか。健康な子供を産み育てるためには、妊娠前からバランスのよい食事と適正な体重を目指しましょう。
- 妊娠時の体重増加が7kg未満だと、低出生体重児を出産するリスクが有意に高い
- 低出生体重児は成人後に糖尿病、高血圧などの生活習慣病が発症しやすい
- 過度のダイエットは卵巣機能不全を起こすので注意が必要
- 妊娠糖尿病、妊娠高血圧症候群を発症する危険率が高い
- 妊娠前から食事バランスガイドを参考に、主食、主菜、副菜を組み合わせたバランスのよい食事を心がけ、適正な体重を保つことが大切
- 2.主食を中心に、エネルギーをしっかりと
- 妊娠期・授乳期はショクジバランスや活動量に気を配り、食事量を調節しましょう。また体重の変化も確認しましょう
- 妊娠期は母体のエネルギーだけでなく、胎児の発育にもエネルギーが必要
- ご飯、パン、麺などの主食を中心とした食事が望ましい
- 主食の量
- 妊娠初期~中期:1日5~7つ(SV)
- 妊娠末期~授乳:1日6~8つ(SV)
- が目安になる。
- ※SVの考え方⇒食事バランスガイド
- 妊娠中の体重変化は個人差がある為、推奨体重増加量を参照に体重の変化を確認しながら食事量を調節することが大切。
体格区分別 妊娠全期間を通して推奨体重増加量
体格区分 |
推奨体重増加量 |
低体重(やせ)BMI18.5未満 |
9~12kg |
ふつうBMI18.5異常25.0未満 |
7~12kg |
肥満BMI25.0以上 |
個別対応 |
BMI25.0をやや超える場合は5kg増が目安
著しく超える場合は、他のリスクなどを考慮しながら臨床的な状況を踏まえて個別対応していく
体格区分別 妊娠中期から
体格区分 |
1週間当たりの推奨体重増加量 |
低体重(やせ)BMI18.5未満 |
0.3~0.5kg/週 |
ふつうBMI18.5異常25.0未満 |
0.3~0.5kg/週 |
肥満BMI25.0以上 |
個別対応 |
妊娠初期については体重増加に関すり利用可能なデータがとぼしいので1週間当たりの推奨体重量の目安を示していないため、つわりなどの臨床的な症状を踏まえ、個別に対応していく
- 3.不足しがちなビタミン・ミネラルを副菜でたっぷりと
- 緑黄色野菜を積極的に食べて葉酸を取りましょう。
- 特に妊娠を計画していたり、妊娠初期の人は神経管閉鎖障害発症リスク軽減の為、葉酸の栄養機能食品を利用することも勧められています
- 野菜に含まれているビタミン、ミネラル、食物繊維などの栄養素は、妊娠期の母体の健康及び胎児の発育維持
- 授乳期の母乳の分泌に必要
- 副菜の量
- 妊娠初期:1日5~6つ(SV)
- 妊娠中期・末期・授乳期:1日6~7つ(SV)
- ※SVの考え方⇒食事バランスガイド
- 野菜は煮たり、茹でたりすることにより、生より多く摂取することができる
- ⇒調理法を工夫することにより多く野菜を摂取することができる。
- 果物もビタミンC、カリウムなどの供給源である
- 果物の量
- 妊娠初期:1日2つ(SV)
- 妊娠中期・末期・授乳期:3つ(SV)
- ※SVの考え方⇒食事バランスガイド
- ビタミンBに属性している葉酸は、神経管閉鎖障害発症リスクが低減できる
- 妊娠1か月~3か月に葉酸、ビタミンを多く含むバランスのよい食事をとることが必要
- 食品からの葉酸摂取に加え、栄養補助食品から0.4mg/日の葉酸を摂取することが望ましい
- ※但し1.0mg/日以上の葉酸摂取はしてはいけない
- 4.からだづくりの基本となる主菜は適量を
- 肉、魚、大豆製品をバランスよく摂取しましょう
- 赤みの肉や魚などを状にに取り入れて貧血を防ぎましょう
- ただし妊娠初期にはビタミンAの過剰摂取に気を付けて
- たんぱく質は、身体の構成成分となるだけでなく、代謝調節などの様々な機能を果たす
- 肉、魚、卵、大豆などは主菜の主な材料になり、良質タンパク質の供給源となる
- 主菜の量
- 妊娠初期:1日3~5つ(SV)
- 妊娠中期・末期・授乳期:1日4~6つ(SV)
- ※SVの考え方⇒食事バランスガイド
- 必須脂肪酸のうち、n-3系脂肪酸は胎児の神経系器官形成に必要
- DHAやEPAなどの摂取が少ないと早産、低体重児出生のリスクが高くなる
- ただ魚介類から水銀摂取による胎児への影響が報告されているが、水銀濃度の高い魚介類に偏って多量摂取するのを避ける
- ビタミンAは過剰摂取により胎児の奇形を生じる報告がある
- 妊娠計画のある者、及び妊娠3か月以内の者はレバーなどのビタミンA含有量の多い食品、ビタミンAを含む栄養機能食品やサプリメントなどの継続的な大量摂取を避ける
- ※プロビタミンAのβ-カロテンは植物由来のもので、ビタミンAが不足するとビタミンAに変換される
- プロビタミンAの過剰摂取による障害は知られていない
妊婦が摂取の際、注意すべき魚介類の種類とその摂取量(筋肉)の目安
1回約80gとして妊娠2か月に1回まで
(1週間当たり10g程度)
バンドウイルカ
1回約80gとして妊婦は2週間に1回まで
(1週間当たり40g程度)
コビレゴンドウ
1回約80gとして妊婦は週1回まで
(1週間当たり80g程度)
キンメダイ、メカジキ、クロマグロ、メバチ(メバチマグロ)
エッチュウバイガイ、ツチクジラ、マッコウクジラ
1回約80gとして妊婦は週2回まで
(1週間当たり160g程度)
キダイ、マカジキ、ユメカサゴ
ミナミマグロ、ヨシキリザメ、イシイルカ
※マグロの中でもキハダ、ビンナガ、メジマグロ(クロマグロの幼魚)、繋管は通常の摂取で差し支えない
- 5.牛乳・乳製品などの多様な食品を組み合わせて、カルシウムを十分に
- 妊娠期・授乳期には、必要とされる両のカルシウムが摂取できるように、偏りのない食習慣を確立しましょう
- 妊娠期のカルシウムの付加量は必要ない
- ⇒現在の日本人のカルシウム平均的摂取量は少なく、食事摂取基準の目安量を下回っている
- 非妊娠時にもカルシウム摂取に気を付けなければならない
- 乳・乳製品だけでなく、大豆・大豆製品、緑黄色野菜、小魚、海藻類などにも多く含まれる
- 上手く組み合わせて摂取できるようにする
- カルシウム摂取量
- 妊娠初期・中期:1日2つ(SV)
- 妊娠末期・授乳期:1日3つ(SV)
- ※SVの考え方⇒食事バランスガイド
- 牛乳はカルシウムだけでなく、良質タンパク質源としても有効だが、人によっては食物アレルゲンの場合もある
- 妊婦や家族にアレルギー多湿がある場合には、医師の指示に従い、個別対応を図る
- 6.妊娠中の体重増加は、お母さんと赤ちゃんにとって望ましい量に
- 体重の増え方は順調ですか?
- 非妊娠時の体格や体重増加量によって新生児の体重及び妊娠高血圧症候群、帝王切開、分娩時出血の状況に相違がみられる
- 推奨体重増加量や妊娠中期から末期の1週間当たりの体重増加量を目安に体重を増やす
- ※妊娠初期はつわりなどの臨床症状に考慮して個別の対応が必要
- 体格区分別 妊娠全期間を通して推奨体重増加量
体格区分 |
推奨体重増加量 |
低体重(やせ)BMI18.5未満 |
9~12kg |
ふつうBMI18.5異常25.0未満 |
7~12kg |
肥満BMI25.0以上 |
個別対応 |
- BMI25.0をやや超える場合は5kg増が目安
- 著しく超える場合は、他のリスクなどを考慮しながら臨床的な状況を踏まえて個別対応していく
体格区分別 妊娠中期から
体格区分 |
1週間当たりの推奨体重増加量 |
低体重(やせ)BMI18.5未満 |
0.3~0.5kg/週 |
ふつうBMI18.5異常25.0未満 |
0.3~0.5kg/週 |
肥満BMI25.0以上 |
個別対応 |
妊娠初期については体重増加に関すり利用可能なデータがとぼしいので1週間当たりの推奨体重量の目安を示していないため、つわりなどの臨床的な症状を踏まえ、個別に対応していく
- 7.母乳育児も、バランスのよい食生活のなかで
- 母乳育児はお母さんにも赤ちゃんにも最良の方法です
- バランスのよい食生活で、母乳育児を継続しましょう
- 母乳は乳児にとって最良のもの
- 出産後に母乳が十分に分泌されるように妊娠中から適切な乳房管理を心がけ、母乳育児への意欲を高める
- 出産後は分娩による身体の消耗を補う
- 母乳分泌を維持できる状態を保つ為に体重の変化を確認しながら食事量を見直す
- 授乳期の死亡の過剰摂取は避ける
- 母乳中の必須脂肪酸を維持する為に魚由来のn-3系脂肪酸(EPAやDHA)の摂取が推奨される
- 8.煙草とお酒の害から赤ちゃんを守りましょう
- 妊娠・授乳期の喫煙、受動喫煙、飲酒は胎児や乳児の発育、母乳分泌に影響を与える
- 喫煙、禁酒に努め、周囲にも協力を求めましょう
- 妊娠、授乳中の喫煙は胎児や乳児の発育、母乳分泌に悪影響を与える
- 乳児の受動喫煙は、小児呼吸器系疾患、乳児突然死症候群の発症頻度が高い
- 妊娠期にアルコールを常用すると知能障害、発育障害を伴う胎児性アルコール症候群の子供が生まれる可能性が高い
- ※授乳期の飲酒の場合、飲酒量の約2.0%が乳児に移行する
- 9.お母さんと赤ちゃんの健やかな毎日は身体と心のゆとりのある生活から生じます
- 赤ちゃんや家族の暮らしを楽しんだり、毎日の食事を楽しむことは、身体と心の健康に繋がります
- 妊娠期には、ホルモン分泌の変化だけでなく心理・社会面でも大きな変化を体験する
- ⇒身体的、精神的に不安定になりやすい
- 個人の生活状況に応じたライフスタイルを確立できるように支援
最終更新:2011年03月18日 16:21