妊娠高血圧症候群
- 妊娠高血圧症候群とは
- 1992年に病型分類が改定され、1997年に発症時期による病型分類が追加された
- 妊娠高血圧症候群の定義・分類はこれまでの妊娠中毒症の用語・定義・分類とは異なる
- 日本の妊婦全体の約5~10%に認められる疾患
- 徐々に減少傾向であるが、重症例の頻度は減少しておらず、母体死亡あるいは周産期死亡の主要な原因を占める疾患である
- 定義と分類
- 妊娠高血圧病の病因が未だに解明されていない
- 定義:妊娠20週以降、分娩後12珠までに高血圧が見られる場合
- または高血圧にたんぱく尿を伴う場合のいずれか
- かつこれらの症候が偶発合併症によらないもの
- 病因と病体
- いくつかの遺伝要因(遺伝多型)と環境的要因が複合して発症するもの
- 病因:不明
- 病態:全身の血管痙攣、交感神経活性化、凝固線溶系以上、脂質代謝異常など
- 相互に密着に関与しつつ妊娠高血圧症候群の病態を形成。
- 病型分類
- 1.妊娠高血圧腎症(preeclampsia)
- 妊娠20週以降に初めて高血圧が発症
- かつたんぱく尿を伴うもの
- 分娩後12週までに正常に復すもの
- 2.妊娠高血圧(gestational hypertension)
- 妊娠20週以降に初めて高血圧が発症
- 分娩後12週までに正常に復するもの
- 3.加重型妊娠高血圧腎症(suprimposed preeclam psia)
- ・高血圧症が妊娠前or妊娠20週までに存在、妊娠20週以降にたんぱく尿が伴う
- ・高血圧とたんぱく尿がが妊娠前or妊娠20週までに存在、妊娠20週以降にいずれかor両方が悪化
- ・たんぱく尿のみの腎疾患が妊娠20週まえに存在し、妊娠20週以降に高血圧が発症
- 4.子癇(eclampia)
- 妊娠20週以降に初めて痙攣発作を起こす
- 癲癇や二次性痙攣が否定されるもの
- 発症時期により妊娠、子癇、分娩子癇、産褥子癇に分類
- 発症時期の分類
- 早期型(early onset type):妊娠32週未満に発症
- 遅発型(late onset type):妊娠32週以降に発症
- 栄養管理の基本
- 妊娠高血圧は本態が明らかではないため、食事療法の一般論すら確立していない。
- 正しい食事療法の理論は明らかではないが、いくつか判明している事実もある
1.食塩
一般の高血圧患者に対する食事制限をするべきという考えは打倒である。
しかし近年、食塩制限は妊娠高血圧症候群を憎悪させることがあっても改善させることが少ない。
だからといって食塩制限を全て否定してよいかは空論の余地がある。
2.エネルギー
肥満が妊娠高血圧症候群の重要な危険因子であることが多々報告あり
ほぼ確立した事実
BMIが30以上の妊婦の妊娠高血圧症候群発症は、BMI30未満の者に比べて2倍
非妊娠時BMI24以下の妊婦:30kcal×標準体重+200kcal
妊娠体重増加量は7~10kg
非妊娠時BMI24以上の妊婦:30kcal×標準体重
妊娠体重増加量は5~7kg
3.たんぱく質
タンパク質過剰摂取は腎糸球体障害を進行させる
タンパク質制限を実施することで、腎不全の進行を大幅に遅らせることができる
非妊娠時(1.2~1.4g/kg標準体重/日)と同程度が望ましい
最終更新:2011年03月16日 15:42