破都宮 陽天(はつのみや ひあま)

  • 性別:女:俎板
  • 学年:2年
  • 所持武器:鉄扇「双星」
  • 出身校:妃芽薗 評価点数500
  • 固有技能:普通
  • 攻撃力:4 防御力:15 体力:6 精神力:5 FS「自己保身」:0

特殊能力『陽の落ちる時』 発動率:100% 成功率:100%

効果1:オリジナル魔人召喚(ZOC無し・生贄不可) 34
範囲対象:同マス味方 1倍
効果時間:1ターン 1倍
時間付属:死亡非解除 1.2倍

効果2:再行動(単発効果) 110
範囲対象:同マス味方 1倍
効果時間:一瞬 1倍

効果3:ZOC無視付与 20
範囲対象:同マス味方 1倍
効果時間:1ターン 1倍
時間付属:死亡非解除 1.2倍

非消費制約1:DP差で負けている時のみ0.85倍
非消費制約2:死体のあるマスのみ 0.9倍
消費制約:自分死亡 55

●オリジナル魔人
名前:破都宮 陰命
性別:男性
体格:俎板
学年:2年
所持武器:短刀「双星」
FS名:姉への想い

ステータス
攻撃:20
防御:0
体力:2
精神:0
FS:8

特殊能力
「命輝く時」

効果1:攻撃上昇1 5
範囲対象:自分自身 0.75倍
効果時間:1ターン 1倍

効果2:カウンター待ち受け貫通 25
範囲対象:同マス敵1体 0.7倍
効果時間:1ターン 1倍

効果3:通常攻撃 30
範囲対象:同マス敵全員 1.2倍
効果時間:一瞬 1倍

制約なし:10
発動率95%
<補足>
オリジナル魔人を召喚させて色々付与したり。
代わりに自分は死亡。
オリジナル魔人は攻撃上昇した上での同マス全員攻撃能力者。
1体だけならカウンター待ち受け貫通。

<能力原理>

「陽の落ちる時」
陰命に融合していた陽天の精神が消滅し、陰命が主人格を取り戻す。
姉が世界から去った事を知った陰命は、復讐の刃を煌かせる。

「命輝く時」
目覚めたばかりの陰命の力の片鱗。
陰命が軽く短刀を振るうと、それだけでその場にいる敵全員に対して、「存在しない刃」が急所を穿つ。
陰命が集中すれば、いかなる防御姿勢をも貫き通す。
尤も、未だ目覚めたばかりの彼の力では1人に対して集中することしかできないのだが。

キャラクターの説明

はつのみや ひあま。
膝の辺りまで伸びている長い黒髪が特徴。
中性的な顔つきをしたスレンダーな美少女。
温和で優しく人当たりもいい性格。ただし、時々笑顔で毒を吐く。
また、(滅多にないが)怒った時は顔からまったくの感情が消えた無表情となり、冷酷に相手を攻め立てるので恐れられている。
女子高という環境からか、恋愛対象は当然女の子。強気な女の子を弄って、涙目にしたり赤面させたりするのが大好き。

だが、実際は陽天は女性ではなく『男性』。
家族、友人、周囲の人間、世界中の全ての人間。それどころか本人ですら自分のことを『女性』だと認識している。
それは陽天の魔人能力によるものであり、この世界にいる人間は例外なく陽天を女性だと認識してしまうのだ。

尤も陽天を女性だと認識する事が間違いというわけでもない。
何故なら彼女の精神は紛れもなく女性であり、体だけが男性なのだから。
その体は本来は陽天の弟である『破都宮陰命(はつのみや みこと)』のものであり、紆余曲折あって陽天が精神憑依しているのだ。
現在の主人格は憑依した陽天のものであり、陰命の精神はやや影響を与えている程度となっている。
(怒った時は冷酷になったり、女子好きだったりするところは陰命から影響を受けているといえる)

陽天は別に陰命を支配したいから、体を奪っているわけではなく、彼の命を守る為に憑依している。
理由としては破都宮家の色々が関わっているのだが、ここでは割愛(エピソード参照)。
その為、彼が無事成長し、独り立ちできるようになったと思ったら、自分は消えるつもりでいる。
(陰命の精神が陽天に影響を与えているように、陽天の成長や経験も陰命のものとなる)
仮に戦いになっても、自分が戦うつもりでいるが、明らかなピンチの時は(陰命を殺すわけにはいかないので)陽天の精神を消滅させる覚悟がある。
なんだかんだで陰命の体なので、陰命が使った方が強いことには変わりないからだ。

勿論、一度消えた陽天の精神が蘇ることはない。
陰命にとって何よりも大事な愛しい姉が、この世界から消えた時‥‥。彼は己の力で、姉を消滅に追い込んだ敵を殺すだろう。

陰命の能力は「己の力でできる現象は、時系列や物理法則を無視して結果を引き起こす」というもの。
例えば、目の前に敵が1人いたとしよう。陰命の体術であればナイフを首で切り裂く事は容易であるものとする。
陰命がそれを理解し、世界としてもその認識が正しければ、陰命が「目の前の敵を殺したい」と考えただけで、『存在しない刃』が敵の首を切り裂くのだ。
(できる可能性があることであれば何でもその結果を引き起こす。但し、絶対に出来ないこと(世界を絶対零度の冷気で包むとか)は絶対出来ない)

あまりにも強大な能力な為、彼がこの力に目覚めた時は暴走してしまい、惨事の原因となった。陽天が陰命に憑依した原因でもある。
だが、その事件から数年経って成長した今であれば、ある程度制御することが可能となった。

●鉄扇「双星」
そのまんま鉄で出来た扇。
普通の鉄扇と違うのは、変形することによって短刀となることである。
陽天は鉄扇状態を好んで使い、陰命は短刀状態を好んで使う。

エピs-ド1

破都宮家。
古来より異能の力を求め続けた一族。言うまでもなく、一族の人間の殆どが魔人である。
彼らが力を求め続けた理由はただひとつ。『神殺し』の為だ。
彼らの言う神が、存在としての神か、それとも概念としての神かは分からない。何故なら現在の破都宮家の人間ですら何をもって神とするべきなのかを正確に把握していないからだ。
恐らく、『神殺し』の正確な意図を把握しているのは創始者ぐらいであろう。だが、一族は長い歴史の中で、人も魔人も超えた存在(=転校生)と戦い、何度も滅びの危機に瀕したことがあった。
だからこそ破都宮家の人間は神に近しい存在をいることを認め、それらを殺さなければ人間に未来は無いと考えていた。

陽天はそんな破都宮家に生まれた『長女』であった。
両親は優れた異能の素質を持つ彼女に期待し、育てた。
大事に、そして厳しく育てられた彼女であったが、その教育に愛は無く、幼子でありながら陽天の目には輝きがなかった。

第二子、陰命が生まれる。『長男』だ。
だが破都宮家では、「男」は望まれない子供であった。
何故ならば、破都宮家の血を引いた子供は「無能力者」か「暴走を起こす危険能力者」のどちらかにしかならないからだ。
(その為、破都宮では女性が代々当主となり、男性はまた異能に優れた別の家から婿を貰う)
よって、男を育てるメリットは一切無く。両親も陰命を殺すつもりであった。その事情が変わったのは、陽天だ。
弟が生まれて、姉になった――その事実が、陽天の目に輝きを取り戻させたのだ。
これは2人の両親にとって非常に喜ばしいことであった。
彼らが欲したのは「感情を失くした道具」ではなく「感情豊かな人間」であり、後者でなければ異能を発揮することはないからだ。
(それなのに両親が陽天に愛を注がなかったのは‥‥単純に彼らも愛を理解していなかったのだろう。歪んだ歴史は繰り返される)
よって、両親は陽天の為だけに陰命を育てることにした。やはりその子育てには愛は無く、それどころか陽天に施した教育もない、実にぞんざいなものだった。
(無能力者になることを望んだので当然ではあるが。ちなみに学校などには行かせているので、基本的な教育は受けている。
あくまで異能者としての特別な教育が無いというだけ)

結果、どうなったか。
姉は弟を溺愛し、弟は自分を愛してくれる姉を愛した。
親から受けるべき愛を知らなかった2人は、姉弟という絆で愛を知り、それ故に姉弟の絆を何よりも大事にしていた。
(この「愛」が異性としての愛なのか、家族としての愛なのかは分からない。それを理解するには、彼らはまだ幼かった)
愛を知り、人間らしい豊かな感情を得た陽天は両親の期待に応えるように力に目覚め、姉の愛を受けた陰命は、普通の人間として一般生活を楽しんでいた
(親の愛を知らない為やや性格は歪んだものの、まだ思春期の少年のブレの範疇といえるレベルであった)

転機が訪れたのは、陽天が高校2年生、陰命が中学2年生の時であった。
無能力者であってほしいという両親‥‥そして陽天の願いも虚しく、陰命は力に目覚め――暴走させてしまった。
力の暴走に立ち会ってしまった陽天は、巻き込まれ命を落とすことになる。
消え行く意識の中‥‥陽天はそれでも陰命の事を何よりも優先して考えていた。
陰命が力を暴走させたことを両親が知ってしまったらどうなるか――当然、両親は陰命を処分するに違いない。
そんな事をさせるわけにはいかない、と陽天は死ぬ直前の最後の力を振り絞って、あることをした。

その日を境に、陽天は死に、陰命という存在は消え――新たな陽天が生まれた。

陽天が行ったのは、自身の精神と陰命の精神の融合である。
分かりやすく言うならば、陽天の霊が陰命の体に憑依したというとこだろうか。
なんだかんだで、精神の強さだけで言うならば、陽天は陰命よりも上だ。その為、本来の体の持ち主である陰命の人格を抑え、陽天が主人格となった。
尤も、陽天の精神が陰命の精神の影響を受けてないわけではなく。どちらかというと陽天寄りの新しい人格が形成されたと考えるべきだろう。
そして異能(魔人能力)とは精神に由来するものだ。新しい陽天の精神が発動させた能力は「陰命を陽天として認識させる」能力。
その能力の結果、誰もが(男性である)陰命の身体を見ても、(女性である)陽天と認識し、また体だけでなくその他様々な事に関しても陽天と認識するようになった。
両親も、陰命という存在は「無かった」ものと認識するようになり、子供は「中学2年生の陽天」だけだと認識するようになった。
(仮に写真などの記録媒体を見ても、自動的に都合のいいように認識が改変される)

そして、陰命の体に憑依した陽天は妃芽薗学園に入学し――高校2年生となった。

エピソード2

 破都宮 陰命は望まれない子供だった。
 破都宮家では、男が生まれた場合処分を行うことになっている。何故なら、破都宮の男は無能力者か暴走能力者にしかならず、育て上げるメリットはないからだ。
 そして、陰命の両親はメリット・デメリットだけで子供の命を奪うことができる、情の無い人間であった。
 そんな陰命の命を救ったのは、彼の姉である陽天。
 両親の愛の無い教育のせいで感情を失った陽天だったが、弟という家族ができたことで、感情を取り戻し、弟に愛を注ぐようになったのだ。
 これを見て、両親は陰命を処分しないことを決める。何故なら、破都宮が求めたのは感情の無い道具ではなく、感情を持つ人間。人間でなければ『神殺し』の領域にたどり着けないからだ。
 陽天は陰命の命を救い、陰命は陽天の心を救った。

 数年の月日が流れ、陽天は中学2年生、陰命は小学5年生となった。
 相変わらず両親からは愛情を注いでもらったことはないが、姉弟はお互いが支えあい精神を安定させていた。
 姉である陽天は人に好かれる優しい性格でかつかなりのブラコン少女となり、弟の陰命はどこか冷めた目で世界を見つつも、しっかりとしたシスコン少年になっていた。
 まぁ、シスコン少年とはいっても、思春期の少年らしく「べ、別に姉さんのことなんて好きじゃないし! うざいだけだし!」と主張しているのだが。
 例えばお風呂に入る時とか。
「風呂沸いたか‥‥。じゃあ、入るかな」
「あー、ミコト君お風呂入るの? じゃあ私も一緒に入るー」
「‥‥いや、さ。姉さんも女の子なんだからさ。弟と一緒に風呂入るってのに恥ずかしいとか思わないの?」
「思わないよ?」
「‥‥何それ。ちょっと姉さんは女性として大事な感覚が欠落してるんじゃないかな」
「そんなことないよ! ミコト君以外だったら一緒にお風呂入りたいと思わないもの」
「えー‥‥あー‥‥」
「それじゃ、一緒にお風呂入ろっか」
「って、ちょ――!? 結局そうなるの‥‥!?」
 なんてことは日常茶飯事ではあるし。

 例えば夜寝る時とか。
「‥‥あのさ、姉さん」
「何?」
「ここ、俺の部屋で、俺の布団だよね?」
「そうだよ」
「‥‥なんで姉さんが俺の布団に入ってるの」
「一緒に寝たいからに決まってるじゃない」
「‥‥俺、ちょっと別の場所で寝るよ」
「駄目ー!」
 立ち去ろうとする陰命の服の裾をしっかり掴む陽天。
「弟は姉と一緒に寝なきゃいけないって、法律で決まってるのよ!」
「そんな法律ないよ!?」
「‥‥ミコト君は、そんなに姉さんと寝たくないの‥‥?」
 涙目で陰命を見上げる陽天。陰命は陽天のこの目に弱い。――なんだかんだで姉が大好きだからだ。
「――もう、分かったよ。ほら、そっちつめて」
 一緒の布団に入る陰命。つめてと言われた陽天だが、つめるなんてことはせずに陰命をぎゅーっと抱きしめる。
「‥‥はぁ、仕方ないな」
 抵抗はしない。どうせ、いつものことだから。
「ねぇねぇ、ミコト君」
「‥‥んー」
「おやすみのちゅー」
「‥‥はいはい」
 頬にではなく、唇を重ねる2人。
 抵抗はない。何故なら、いつものことだから。
 一応、一線はまだ越えていない。彼らにとって、これは「家族の愛」故の行為だからだ。
 尤も家族の愛情を親から受けてないので、どこからどこまでが「家族の愛」なのか本人達は理解していないのだが。

 そんな彼らに悲劇が訪れるのは、それから3年後。
 陽天が高校2年生。陰命が中学2年生の時。
 ‥‥ちょうど、現在から3年前の出来事である。




最終更新:2011年08月17日 09:38