【石垣】東日本大震災の被災者に加え、罹(り)災、被災各証明書を持たず、行政の支援が受けられない自主避難者の生活も支援しようと、石垣市と市民団体が連携し、「被災者支援ネットワーク会議いしがき」(仮称)を週明けにも立ち上げることが3日、分かった。市と民間ボランティアが被災者や避難者の生活の現状、ニーズを把握し、情報を共有化することで、効率的な生活支援を図る。(又吉嘉例)
官民協働による自主避難者の支援組織の発足は、県内で初めてとみられる。同日夜、市被災地支援対策本部職員と市民団体の代表ら約40人が市内で意見交換し、発足の方針を確認した。当面は市が支援組織の事務局を兼ねる。
市対策本部は「行政としては、罹災、被災証明書による一定の線引きが必要なため、自主避難者を支援できず、もどかしくもあった。民間ボランティアを支援し、今後も増える可能性がある自主避難者に対応したい」とした。
意見交換では市に対し、居住先や生活物資、医療などについての情報掲示板の設置や、対策本部内でも住居や教育など各分野別の職員の配置を求める声が出た。介護や看護、カウンセリング関係者からは、被災者や避難者の必要があれば、専門的なケアに応じるという申し出もあった。
出席した女性は「例えば『空き家があるが、個人的に避難者に紹介していいのか』と戸惑っている人もいる。市民のボランティア精神を結集するよう音頭を取ってほしい」と市主導の組織化を求めた。
男性出席者は「証明書がなくても助けを求める人に対し、市独自の支援ができないか。『どこにもないから石垣市がやる』という姿勢で取り組んでほしい」と要望した。
市対策本部は問い合わせや市民からの情報提供を基に、市への自主避難者を20~30家族と推計している。