彼は、だからこそ何も出来なかった。
目の前にあるのは一つの凶器。
戦いのために振るわれる拳と。
殺しのために振るわれる銃と。
それらは今、何の力も持たない彼を簡単に追い詰める。
一瞬、その油断だけで、彼は窮地へと陥った。
それ故に、死の瞬間すらも一瞬だった。
タクト・エトミヤの一生はあっという間すらなく幕を閉じる。
――
ネゥ・トロワロゥは憤慨していた。
ここは死の戦場。
殺せるものは殺し、抗うものは抗う。
その中には絶対の有利不利があると少なくとも彼女は思う。
そして尚且つ、それがいい。
彼女は有利不利を楽しむ存在であるし、そのためならば自身を傷つけることすらしよう。
だからこそ、許せなかった。
彼女の力に制限が掛かっている。
その事に、直ぐに気がついた。
そして、それ故の憤怒。
ネゥは許さなかった。
対等などありえない殺し合いに対等を持ち込んだことを。
だから決めた、全て殺す。
不利である有利である状況を作り出す。
そのために彼女は、このゲームの主催者すら殺す決断をした。
――
「運命ってわかるかしら? 偶然とか必然とか」
「なんだぁ、なにを唐突に」
「暇なのよ。人間もいないし悪魔もいない、ここにいるのは狂人だけよ?」
「おめぇそれ全部賄えるじゃねぇかよ」
「自家発電よ」
「…………」
「サキュバスって知ってる?」
「脱線」
「運命って何? それを決める必然ってなに?」
「ベリィィィイイメロンだ。それ以外にはありえねぇ」
「つまり、そう言うことよ」
「なるほどなぁ……て、ぉぉおおおおおおい、流石の俺もそれには賛同できんぞぉおおお!」
「そう言うことなのよね」
「私にとってベリィメロンは即ち全てだ! 運命などと言うただ一単語で語れるものかぁぁぁぁあ!」
「そう言うことなのよ」
繰り返す。
レミリア=スカーレットは何度でも繰り返す。
無言で、無音で、無法で、それだけは幾度となく繰り返す。
そもそも繰り返すどころの話じゃあない、レミリアも人が悪い、解りきったことをまるで空気のように言うのだ。
それほど暇だったのだろう。
「運命とはつまりそう言うことよ、全て、全てなのよ。
誰かと会話をするのは運命であるし、誰かを憎むのはつまり運命。
わかるかしらね、つまり――」
構える。
たったそれだけだった。
紅を持つ血。
それが一つ、世界から抜け出る。
しかしそれは抜け出ないまま、当然のように、雪山の、その場所へ叩き込まれる。
「が、ぎゃがぁああああああああああああ!!」
中村栄一、隠れることを選んだ人間の末路は、酷く単純なものだった。
「こういうこと、なのよね」
それをビクトリームとウーは酷く不思議そうに見ていた。
――
ネゥの手元にあったのは銃とラジオ。
どちらも彼女からしてみればすさまじく技術の必要な代物だった。
それに彼女は、どうしようもない有利を感じたのだ。
優越。悦に浸ると言っていい。
そうしてだからこそ、彼女は圧倒的な状況で敵を圧倒していた。
相手は杖のような枝のような、言うなればヤドリギとでも言うべき木から、力を放つ。
能力を使用しない、銃というのも使用には慣れず、あくまで近距離の専門であったネゥからしてみれば不利な話だ。
シェルシア・ダーク。
この殺し合いに巻き込まれた、単純な姉妹の姉である。
「……おつよい、ですわね」
それでも、ネゥはシェルシアを圧倒していた。
それは単純な年の功か、それとも技術の問題か。
幾多かの魔法を操る少女の、手腕を持ってなお、舞い続けるネゥには届かない。
「貴方もよくわからない方ですね。一人では苦戦をするのは当然のはず。
だったら何故戦ったの? 貴方は強すぎはしないですが、一人前とはいえたはず」
「……愚問ですわね」
ヤドリギを、少女は構える。
ネゥという敵を持って。
それを迎え撃つ為に、あくまでそのためだけに。
「それが、人生ですの! わたくし、シェルシア・ダーク、たった一人の!」
そこから迸る、幾重の雷。
速度を知らない電光石化!
けれどもそれを。
「……納得、不利な人間だったんですね」
ネゥはただ一度、軽く飛ぶだけで、回避した。
そうして、今まで遣うことのなかった殺傷能力を、そうしてから解き放つ。
「大好きですよ、そう言う人」
どうしようもなかった事だ。
目の前で、悪意を込めて、人が殺されて。
飛び出さないと言う選択肢は、なかったのだ。
【場所・時間帯】F7 寒村 昼前
【名前・出展者】ネゥ@トロワロゥ@戦争系
【状態】健康
【装備】拳銃(種類は不明)
【所持品】ラジオ@某テイルズ 基本一式×3 不明支給品×2
【思考】
基本:有利不利を余すところなく堪能し、全部殺す。
1、イイカンジですよ。
2、さて、どうしようかしら。
【ラジオ@某テイルズ】
ナナカが始めて弄った機械。
超性能、ただしここでは何の意味もないためただの工具箱。
-ドライバーは紛失中。
――
「つまり、ね」
もう一度、レミリアは構える。
終わりではなかった、一つではない。
運命とは、一度変わってもまた替わる。
「ぁぁぁああああああああああ!!」
「こうやって、誰かを殺すことも、運命なのよ」
目の前に、少女が飛び出してくる。
レイン・ダーク。
その行動原理は、皮肉にも自身の姉とまったく同じだった。
「神槍「スピア・ザ・グングニル」――――」
紅く放たれる宣言。
「意味は、必ず穿つ」
まるで、一つの運命のように。
そうしてもう一度、紅は舞った。
【タクト・エトミヤ@Knight Turtle's Story 死亡】
【中村栄一@列車 死亡】
【シェルシア・ダーク@三つ巴の世界 死亡】
【レイン・ダーク@三つ巴の世界 死亡】
【場所・時間帯】青色エリア・F6・雪の中・昼前
【名前・出展者】レミリア・スカーレット@東方project
【状態】健康 ちょっと魔力消費
【装備】ロベルタの傘@BLACK LAGOON、ビクトリームの魔本@金色のガッシュ!!
【所持品】基本支給品一式、ほんやくコンニャク@ドラえもん(使用済)、不明所持品1品
【思考】基本:ウーを利用しつつ、ゲームに乗り優勝する。ウーは使えなくなったら殺す
1:暇ねぇ、暇そうねぇ。
2:こいつ等、どう利用してやろうかしら
※雨は無理だけど、雪ならセーフのようです
※ウーの言葉が分かるのは、ほんやくコンニャクを食べたからです
【名前・出展者】ウー・クリストファ@いぬ
【状態】健康
【装備】ソーディアン・アトワイト@テイルズオブデスティニー
【所持品】基本支給品一式、ベリーメロン@金色のガッシュ!!、不明所持品1品
【思考】基本:レミリアについていく。レミリアには信用しきっている。ビクトリームは遊び相手
1:うー♪
2:ビクトリームって、おもしろいなぁ
【名前・出展者】ソーディアン・アトワイト@テイルズオブデスティニー
【思考】1:い、一体なんなの……?
2:で、彼女達は何を喋ってるのよ
基本:出来る限り助言はする。また、もし持ち主が殺し合いに乗ったらなんとか説得する
※ロワ内では誰でもソーディアンの声を聞くことができます
※また、威力は落ちるもののソーディアンさえ持てば誰でも晶術を扱えます
※相変わらず状況が把握できていません。
【名前・出展者】ビクトリーム@金色のガッシュ!!
【状態】尻と股間にダメージ小
【装備】無し
【所持品】基本支給品一式、不明支給品1~2品
【思考】基本:優勝する
1:ベリー・シィィィィット!!
2:なるほど、わからん。
3:今はレミリアに従う
4:どうにか魔本を取り返す
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最終更新:2011年06月12日 11:40