「……」
しばらく沈黙が続く。
素っ裸で生まれたばかりの姿をさらすフェンリルと、それを(多分)ニヤニヤしながら眺めている祈祷
フェンリルは顔を真っ赤にして服を着ようと探すが、ここを離れたら祈祷が何をするか知れたものじゃない。
ついでだから祈祷に質問をする。
「あの、本当に、祈祷さんなんですよね?」
「だからあたしは祈祷だけどあんたなんか知らなかったし」
フェンリルは彼女が何を言っているかを察せない。
「でも、もしも私の知っている祈祷さんと違う祈祷さんだとしても、そっくりすぎますよ……だって名前一緒じゃないですか」
祈祷は大体察している。
彼女がいう”祈祷”は自分とは違う祈祷ということを。そして、彼女は自分をその”祈祷”と思い込んでいることを。
フェンリルは近くに干してある服にやっと着替えることができた。
そして落ち着いた(?)ところで、参加者名簿を見ることにした。
(……やっぱり、祈祷さん……?)
彼女の名前はくっきりとそこに書かれている。
そして、フェンリルにとっての先生、祈祷にとっての姉……輪廻の名前も書かれている。
さらには彼女の想い人である少年や、彼女のクラスメートの名前まで――それはもう、はっきりと書かれている。
どうせ見せても無駄だとわかってはいたが、祈祷に見せてみることにした。
「祈祷さん、これ」
「誰だこれ」
「……」
やっぱり無駄だった。
* *
「あたしはいつまでもこんなところに留まるつもりはない」
「いつまでも留まっていたら、じきに動けなくなりますね」
巨大な木を仰ぎ、二人はそう、交互に呟いた。
「あたしは行く」
「私もいきます」
「あんたもか」
「私はいくところが見つからないので、祈祷さんについていきます」
「勝手にしな」
そういいながらも、拒みはしていない。
「私たちはどこへ行くんですか?」
「知らん。あっちの方向」
祈祷が指差した先は――寒村。
「ちょっと様子見にいってくる。ここで待ってろ」
「わかりました」
祈祷は、橋の上へと移動し、フェンリルは樹のそばでただじっとしていた。
彼女は信じている。祈祷が、絶対に戻ってくると。
*******************************************:
【場所・時間帯】C3、世界樹付近、朝
【名前・出展者】フェンリル@Heroes Academy
【状態】髪が少し濡れてる
【装備】なし
【所持品】基本支給品一式、不明支給品一品、毛布@現実
【思考】基本:殺し合いには乗らない
1:うぅうう……
2:あれ……なんかおかしい……
3:祈祷さんを待つ
※ここに参加している祈祷を、自分と同じ世界に居た“祈祷”だと思っていましたが違和感のほうが大きくなっています
【場所・時間帯】B4、橋の上、朝
【名前・出展者】命祈祷@東方二次幻想
【状態】健康
【装備】ソードカトラス@BLACK LAGOON
【所持品】基本支給品一式、おたま@現実、替えの弾薬
【思考】基本:面倒事には首は突っ込まないでおく、輪廻を探す
1:ゲラゲラゲラゲラ
2:弄りやすいな、こいつ
3:寒村へ向かう前に橋の上を様子見
前の話
次の話
最終更新:2011年04月13日 01:07