「……あー、やなもん見ちゃったわ全く」
黄色いポニーテールの髪の毛、赤い瞳が印象的な少女――メリーが、自分の髪の毛の先を弄って、そうつぶやいた。
彼女はHeroes Academyにかようごく普通(?)の11歳だ。
身体能力はお世辞にもあるとはいえないが、その手先の器用さでさまざまなものを生み出す。
でも――所詮11歳。
先ほどのような衝撃的なシーンを見せられ、殺し合いをしろといわれ、彼女は、今――。
「……にしても、暑いわ、ここ」
活火山のふもとにいるのだった。
「支給品……チェックしといたほうがいいかしら」
メリーはデイパックを開いた。中からでてきたのは……。
「……こんなもので戦えと言うの?」
ごぼう。掃除機。以上2点。
掃除機は改造さえすればなんとかなるだろう。問題は――ごぼう。
ごぼうとかいらなすぎるから。生じゃ食べられないから。好きじゃないし。
まあ、料理ができるひとを探せばいい。っていうかごぼうまるまる入れただけで調理道具ないのかよ。
ついでにメモ帳やら名簿やらも入っていた。
――知ってる人いないかな。
名簿を軽い思いで見ていたら、もののみごとに知らない名前がずらり。
「あっちゃ~……お、フェンがいるじゃん。あ、シェルヴィもいるー。タクミさんもだ。……え!? アニタもいるの?」
と一喜一憂していた。
「いのりんとかめぐるせんせいとか、あと………!」
そこに、彼女の忌み嫌う名前を見つけた。
自らの兄の名前。兄ではないと信じたい人間の名前。
「ティルも……参加してるのか」
この時点で、彼女は自分のするべきことを見つけた。
それは一瞬で決まった。
「決めた。ティルを殺そう。そうしないと清算がつかないわ」
……そして彼女は、また一つの目的を見つけたのだった。
「まずはこのクソ暑いところを抜け出さなきゃ……暑い……」
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【場所・時間帯】E2・火山のふもと・紫色エリア・朝
【名前・出展者】メリー・シュワンツ@Heroes Academy
【状態】元気(それにしても暑いぃぃぃ)
【装備】
なし
【所持品】
ごぼう、掃除機
【思考】
大前提:ティルを殺す
1.まずはこのクソ暑いところを逃げ出そう
2.ティルを探す
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最終更新:2011年04月10日 18:16