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ブォン!! 力任せに振り回された金棒は左之助とシェルヴィが避けたことにより目標を失って空を切った。その勢いで強い風が発生する。かなり重量がありそうな金棒。それだけでもまずいのに、あれだけ力強く振り回すことができるのなら、ゴーヤ自身がどれだけの力を持っているのか、容易に想像できるだろう。 力には自身がある左之助だが、粒々の尖った突起物(分かりやすく言えば小さなトゲ)がついたそれを素手で受け止めでもしたら掌がボロボロになってしまうだろう。 だが、重量のある武器を振り回している分、攻撃の後の隙も大きい。 (だから、その後にぶん殴ってやれば――!) ブォン!! 再び左之助とシェルヴィを狙って振り回された、黒光りする凶悪な金棒を避けると、左之助はその隙を狙って大きく一歩踏み込む。 まずはそのふざけた面(ツラ)をぶん殴ってやろうと、勢いよく拳を繰り出した。 しかし、その拳が悪魔の顔に届くことは無かった。 左之助は一瞬、何が起こったのか理解することが出来なかった。息苦しいほどの激痛が襲い掛かり、拳がゴーヤの顔前で止まっている。嫌な汗が流れたのを感じた。 完全に振り切ったと思っていた金棒が、左之助の脇腹の辺りにめり込んでいた。 「言ったろ? おめえらの考えてることはお見通しだってな」 人一倍頑丈な左之助は吹き飛ぶことこそなかったものの、足元がふらつく。膝が地面に落ちる。いっそ吹き飛ばされて地面を転がった方がマシだったかもしれない。――アロハシャツの悪魔が、再び金棒を構えてニタリと笑ったから。 「――私を忘れてないかしら!」 ゴーヤを狙って突風が吹いたのと、強気な台詞が飛んだのはほぼ同時だった。 手を宙に翳して風を圧縮させながら、赤い瞳がアロハシャツの悪魔をキッと睨んでいる。 あらゆるものを圧縮させるシェルヴィは、圧縮した風をゴーヤに向かって開放して突風を引き起こしていた。 けれどそれはゴーヤにとっては「何か面倒なもの」「あるよりない方が面倒じゃない」程度の認識だった。ゴーヤは突風を物ともせず、シェルヴィを見つめる。 標的(ターゲット)が変わった瞬間だった。 尚も風の圧縮と開放を繰り返すシェルヴィに向かって駆けるゴーヤ。直前まで来たところで地面に金棒を突き刺す。 ズドン! ――皮肉にも、シェルヴィはその音で漸くゴーヤが迫っていることに気がついた。 「――こ、来な――」 来ないで。その言葉が最後まで発せられることは無かった。 紺色の翼が。まるで蝙蝠のような形の悪魔の翼が、シェルヴィの小さな身体をズタズタに引き裂いていた。 (あれ……血……? な、んで……?) 華奢で、まだ成長途中の幼い肢体が地面に投げ出される。白い肌からは真っ赤な血液が留処なく流れた。 手足が震える。起き上がることが出来ない。血を視認してからじわじわと脳を侵食する、痛み。 「なんだ? まだ生きてるのか」 「……あ、う……」 唇が、上手く動かない。 (痛い……。からだ、じゅうが……全部が……いたい……) 地面から引き抜かれる金棒。 哂う悪魔。 あの男の、左之助の叫び声が聞こえたが――シェルヴィにはもう、彼が何を叫んでいるのか分からなかった。 (たすけて、誠一) 金棒は容赦なくシェルヴィ=トートスに振り下ろされた。 ぐしゃり。嫌な音が聞こえた。 それを見て、聞いた瞬間、獣の咆哮のような声を上げる左之助。それは絶望からか、悔しさからか。 立ち上がる左之助を見て、嘲笑うように悪魔は言う。 ――次は、おめえだ。 それでも左之助はゴーヤへと向かう。 咆哮を上げて、自らを奮い立たせて拳を握る。少女の命をあっさり奪った悪魔をぶん殴る為に。 ゴーヤが放った薄紫の光弾が左之助の顔面に命中する。強い衝撃にも負けずに左之助は拳を更に強く握り、咆哮する。 今度は雷(いかずち)が放たれる。電光に身を焼かれても、それでも彼は止まらない。 そうまでして向かってきた彼をゴーヤは迷うことなく金棒で打った。 (畜生……) 容赦も慈悲も一切無しに、彼の頭を強打した。 鈍い音と共にほんの少し飛ばされ、地面を転がる左之助をゴーヤは満足そうに見つめる。 (……ここで、終わり、かよ) 左之助はもう動かなかった。 けれど、最後まで悪魔に立ち向かった拳は、力強く握られたままだった。 &color(red){【シェルヴィ=トートス@HA 死亡】} &color(red){【相楽左之助@るろうに剣心 死亡】} 【場所・時間帯】B2・田舎っぽい町(水色エリア)・昼前 【名前・出展者】ゴーヤ@コロッケ!3 【状態】健康 【装備】かなり重い金棒(両手) 【所持品】基本支給品一式、金棒(装備中)、不明支給品1つ 【思考】基本:殺そう 1.満足感 2.これからどうすっかな 前の話 |046|[[純奈とメリーとツッコミ大貧民]]| |~|[[ジュンヤ兄貴とティル]]| 次の話 |048|[[同じ場所に居たクラスメイト]]|
ブォン!! 力任せに振り回された金棒は左之助とシェルヴィが避けたことにより目標を失って空を切った。その勢いで強い風が発生する。かなり重量がありそうな金棒。それだけでもまずいのに、あれだけ力強く振り回すことができるのなら、ゴーヤ自身がどれだけの力を持っているのか、容易に想像できるだろう。 力には自身がある左之助だが、粒々の尖った突起物(分かりやすく言えば小さなトゲ)がついたそれを素手で受け止めでもしたら掌がボロボロになってしまうだろう。 だが、重量のある武器を振り回している分、攻撃の後の隙も大きい。 (だから、その後にぶん殴ってやれば――!) ブォン!! 再び左之助とシェルヴィを狙って振り回された、黒光りする凶悪な金棒を避けると、左之助はその隙を狙って大きく一歩踏み込む。 まずはそのふざけた面(ツラ)をぶん殴ってやろうと、勢いよく拳を繰り出した。 しかし、その拳が悪魔の顔に届くことは無かった。 左之助は一瞬、何が起こったのか理解することが出来なかった。息苦しいほどの激痛が襲い掛かり、拳がゴーヤの顔前で止まっている。嫌な汗が流れたのを感じた。 完全に振り切ったと思っていた金棒が、左之助の脇腹の辺りにめり込んでいた。 「言ったろ? おめえらの考えてることはお見通しだってな」 人一倍頑丈な左之助は吹き飛ぶことこそなかったものの、足元がふらつく。膝が地面に落ちる。いっそ吹き飛ばされて地面を転がった方がマシだったかもしれない。――アロハシャツの悪魔が、再び金棒を構えてニタリと笑ったから。 「――私を忘れてないかしら!」 ゴーヤを狙って突風が吹いたのと、強気な台詞が飛んだのはほぼ同時だった。 手を宙に翳して風を圧縮させながら、赤い瞳がアロハシャツの悪魔をキッと睨んでいる。 あらゆるものを圧縮させるシェルヴィは、圧縮した風をゴーヤに向かって開放して突風を引き起こしていた。 けれどそれはゴーヤにとっては「何か面倒なもの」「あるよりない方が面倒じゃない」程度の認識だった。ゴーヤは突風を物ともせず、シェルヴィを見つめる。 標的(ターゲット)が変わった瞬間だった。 尚も風の圧縮と開放を繰り返すシェルヴィに向かって駆けるゴーヤ。直前まで来たところで地面に金棒を突き刺す。 ズドン! ――皮肉にも、シェルヴィはその音で漸くゴーヤが迫っていることに気がついた。 「――こ、来な――」 来ないで。その言葉が最後まで発せられることは無かった。 紺色の翼が。まるで蝙蝠のような形の悪魔の翼が、シェルヴィの小さな身体をズタズタに引き裂いていた。 (あれ……血……? な、んで……?) 華奢で、まだ成長途中の幼い肢体が地面に投げ出される。白い肌からは真っ赤な血液が留処なく流れた。 手足が震える。起き上がることが出来ない。血を視認してからじわじわと脳を侵食する、痛み。 「なんだ? まだ生きてるのか」 「……あ、う……」 唇が、上手く動かない。 (痛い……。からだ、じゅうが……全部が……いたい……) 地面から引き抜かれる金棒。 哂う悪魔。 あの男の、左之助の叫び声が聞こえたが――シェルヴィにはもう、彼が何を叫んでいるのか分からなかった。 (たすけて、誠一) 金棒は容赦なくシェルヴィ=トートスに振り下ろされた。 ぐしゃり。嫌な音が聞こえた。 それを見て、聞いた瞬間、獣の咆哮のような声を上げる左之助。それは絶望からか、悔しさからか。 立ち上がる左之助を見て、嘲笑うように悪魔は言う。 ――次は、おめえだ。 それでも左之助はゴーヤへと向かう。 咆哮を上げて、自らを奮い立たせて拳を握る。少女の命をあっさり奪った悪魔をぶん殴る為に。 ゴーヤが放った薄紫の光弾が左之助の顔面に命中する。強い衝撃にも負けずに左之助は拳を更に強く握り、咆哮する。 今度は雷(いかずち)が放たれる。電光に身を焼かれても、それでも彼は止まらない。 そうまでして向かってきた彼をゴーヤは迷うことなく金棒で打った。 (畜生……) 容赦も慈悲も一切無しに、彼の頭を強打した。 鈍い音と共にほんの少し飛ばされ、地面を転がる左之助をゴーヤは満足そうに見つめる。 (……ここで、終わり、かよ) 左之助はもう動かなかった。 けれど、最後まで悪魔に立ち向かった拳は、力強く握られたままだった。 &color(red){【シェルヴィ=トートス@HA 死亡】} &color(red){【相楽左之助@るろうに剣心 死亡】} 【場所・時間帯】B2・田舎っぽい町(水色エリア)・昼前 【名前・出展者】ゴーヤ@コロッケ!3 【状態】健康 【装備】かなり重い金棒(両手) 【所持品】基本支給品一式、金棒(装備中)、不明支給品1つ 【思考】基本:殺そう 1.満足感 2.これからどうすっかな 前の話 |046|[[純奈とメリーとツッコミ大貧民]]| |~|[[ジュンヤ兄貴とティル]]| 次の話 |048|[[同じ場所にいたクラスメイト]]|

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