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どうしてこんなことになったのか、なぜ自分がここにいるのか分からない。今日も、否昨日のほうが正しいか。いつもどおりに布団に入り寝たはずなのに。  それなのに殺し合いに参加することになってしまった――これはどういうことだろうか。  セミロングの髪の毛が引っかかっている首輪。これをはずそうとしたら爆発するらしい。現実にこういったことが本当にできてしまうことが恐ろしいことであろう。  という具合に栄一は現状把握を急いでいたのだが、もう殺し合いが始まっているという不安も同時に襲ってきて、どうも落ち着くことができないでいた。国内最強クラスの頭脳を持っていながらも。  栄一が先ほどから不審に感じていたのは、デイバックの中身であった。自分にとって好都合なものか、かたや罠か。デイバックを開けるか、開けないか。  栄一が選んだのは前者であり、中身を確認した。    入っていたのは縄だった。人を縛れる程度の長さはあった。しかし殺傷能力はないように見える。だが、奥底にもう一つ何か入っている。 「これは......」  練炭、そしてそれを熱するためのもの。一般的な練炭自殺ができる一式が全て揃っていた。 「なるほどな。しかし個室が必要......は、オレは何を。人を殺すことを考えるなんてな。とにかく今はオレは人は殺さないんだ――」  栄一は寒い寒い山の麓に身を潜めていた。天候的な条件が悪いところには人が来にくいと踏み、とりあえず身を潜めているにすぎないのだが。  だがその考えは栄一にしては安易すぎた。 「あれは人影......?まずい」  さっと隠れる栄一。去りゆく人影は気がつかない。というより、栄一が直接的な攻撃手段を持っていれば、今すぐ殺せてしまいそうなほどその者は衰弱していた。  直接的な攻撃手段というのは、剣や銃のこと。要はあまり手間がかからないものを指す。栄一の練炭は縄で縛るぶん二度手間になる。 「寒い......な。でも安易に外に出るのは危険だろうし、戦闘になりたくもない。まだ隠れていよう......」  寒さだけは、栄一に容赦をすることはない。いつまで耐えられるのか、それは疑問であるが、栄一もそれを感じている。 「こんなつまらないことで死んでたまるか――」 【場所・時間帯】F-6あたりでしょうか。 朝 【名前・出展者】中村栄一@氷河期の賢者 【状態】健康。 【装備】練炭殺傷一式セット。 【所持品】基本配布セット 【思考】 1.とりあえず留まろう 2.殺しはしない...... 前の話 |012|[[やる気の無い鴉とペンギン(?)の序曲]]| 次の話 |014|[[最速の男が平原を駆ける]]|

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