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やじくま道中記


「熊井君!ここ!ここだよ!
美味しいらしいよぉ、ここのラーメン!・・・あれ?熊井君?」

熊井はラーメン屋の隣、コンビニ前にたむろしているタチの悪そうな連中と睨み合っていた。
遙かに上方から熊井の三白眼がギラリと光る。
その迫力に地元の不良共が顔色を曇らせて思わず目を逸らした。

「だ、だめだよ!熊井君!ケンカしちゃ・・・コンニチワー!えへへ!」
矢島が抱きつくような形で熊井を抑えながら3人の男達に満面の笑みで挨拶をする。
人徳、というのだろうか。
矢島の笑顔には老若男女問わず、誰からも愛される不思議な力がある。

「さ、ほら熊井君!美味しいラーメン食べよ!ね」
「俺がウドの大木だと?・・・あいつら」
熊井の言葉を聞いた矢島の足がピタリと止まる。

「く、熊井君を・・・ウドの大木・・・?」
矢島の眼が一瞬、青白く光る。
だが頭をブンブンと振り、「や、そんなの気にしないでラーメン食べよ。ね?」
そう言って再び笑顔で熊井の背中を押し始めた。

その背中に不良共の声が聞こえてくる。
「何じゃアリャ?保護者付きかやー?w」
「ありゃーウドの大木言うより能なしの電柱やなwただデケーだけかやw」

「で、電柱・・・ぼ、僕の熊井君を電柱・・・」矢島が呟く。
「チッ・・・」と熊井が舌打ちをして振り返ろうとした時。

背中を押していた矢島の手の感触が消えていた。


やじくま道中記2


熊井が振り返った時にはもう2人の男が吹き飛ばされていた。
3人目の男の顎に矢島のアッパーが突き刺さり
その男は時代遅れのシャコタンのボンネットの上にまで飛んでいく。

「ケンカしちゃいけないんじゃなかったのかよ・・・」
「えへへ・・・ラ、ラーメン食べよ?・・・ね?・・・痛い!」

 ―――――――
「あー!美味しかったねー熊井君!」
「ああ、しかしオマエはホント美味そうに食うよな・・・」

おいしいね!えへへ!を連発しながら満面の笑顔で食べる矢島に店主も上機嫌で餃子をオマケしていた。

「だって本当に美味しいんだもん!・・まあ熊井君と一緒なら何だって美味しいんだけどね。えへへ!」
店を出てくる二人を10人以上の男達が出迎える。

「こいつか、俺らーのダチをやってくれたんは?」
木刀や鉄パイプを持った目つきの悪い連中がゾロゾロと二人を取り囲んだ。

「ほ、ほらね、熊井君。こういう事になっちゃうから知らない土地でケンカはしちゃいけないんだよ?
…えへへ!・・・・痛い!・・ゴメンナサイ!・・・痛い!!!・・熊井君・・ゴメ・痛い!!
…熊井君・・・無理・痛い!!・・僕気絶しちゃう・・・痛い!!!」
熊井(気絶させようと思ってるんだが・・・しぶといなコイツ・・・)

「なんじゃ?仲間割れかー電柱野郎」

「・・・で、電柱・・・僕の熊井君を・・・電柱・・・」
矢島の眼が青白く、ギラリと光った―――。

  おしまい